2012/7/4

『イラン人は面白すぎる!』は適度に面白い  

最近はイラン制作の映画を見る機会も増えた。
イランはペルシア語を話すペルシア人の国。アラブじゃないぞ。
ここらを間違えると怒られる。
アラビア語と聞き比べるとペルシア語ってフランス語っぽい。
日本人には習得し易い言語のはずなんだが。
イスラム教が入って来る前は多神教の国で、
日本と似たような生き生きとした神話が残されてるそうだ。

そんなこんなで、ちょっとお勉強のために読んでみました。

著者は東京でお笑い芸人をしているイラン人。
アメリカから敵視され経済制裁を受けてイメージが悪くなっちゃたけど、
普通の国民が普通に呑気に暮らしている様子をユーモアたっぷりに解説。
イスラム教国なのに戒律遵守意識がも一つ!シーア派ってそうなの?
何かと理由をつけてお祈りをサボる!隠れてお酒を飲んじゃう!
でも国の法律はイスラム法(シャリア法)で罪を犯すと即極刑!

今も日本はアメリカから「イランから石油買っちゃダメ」って言われてる。
そんなこと言われてもなー。仲良くしたいよねー。
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2011/9/7

月イチ図書館・台風は行ってしまった  

今回の台風も何事もなく通り過ぎた。
近隣の県の被害状況を見ていると、大変なことになってるのに。
避難勧告・指示が合計48万人って、いったいどこに避難すんねーん。
日本に最初に住み始めた人たちは、何でこんな隅っこまでたどり着いて
永住の地と決めたんだろうと不思議に思う。

『白の祝宴・逸文紫式部日記』森谷明子 東京創元社
中宮彰子が出産のため道長邸・土御門殿に滞在。
紫式部こと香子はそのおめでたい出来事を記すよう道長に命ぜられる。
同じ頃、中関白家が盗賊に襲われるが、犯人は土御門殿で忽然と姿を消す。
多くの女房・公達で賑わう屋敷のいったいどこに隠れたのか。
香子は女房たちの日記をもとに推理を働かせる。

紫式部による幾重もの謎解き。犯人の行方だけでなく、その正体、共犯者。
不審な中関白家(藤原道隆邸、中宮定子の実家)の人々の態度。
一条殿からは呪詛の札が見つかったり。
それだけではなく、作者による謎解きも。
「紫式部日記は何故あんなんなのか」「枕草子は何故あんなんなのか」
国文学者がいくら考えても結論のでないテーマをフィクションの世界で
見事に解き明かしてくれる(でもフィクションだから!信じちゃいけない!)。

またここで描かれている彰子は誠に天晴な中宮。
自分に関わるものすべてを守り通そうとする理想の女性。
こうやってちまちまネットに文章を残す身は明らかに
「書き留めずにはいられない」日本人の文化を受け継いでいるんだ。


『時が滲む朝』楊逸 文藝春秋
農村から友人・志強と共に秦漢大学に進学した浩遠。
文学を勉強するうち民主化を求める学生運動に参加、そして…。

天安門事件でその後の人生が狂ってしまった人たち。
東欧では次々と社会体制が変わったのに、何が違ったんだろう。
彼らがアメリカや日本に求めた民主主義は実在するのか?
現在の中国の発展ぶりを見てると分からなくなってくる。
中国ウン千年の歴史からすれば些細なことなんかも。
作者がネイティブ日本人ではないってことで、
おっかなびっくり手に取ったが、読みやすい日本語でよかった。
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2011/6/7

月イチ図書館・GWにまとめ読み  

予約してた本がまとめてやって来たのでどうなることかとたじろいだが、
幸いGWが間にあったのでなんとか借りた分は読み切ることができた。

『テティスの逆鱗』 唯川恵 文藝春秋
美容整形に依存する女たちの恐ろしい末路。
妊娠・出産の跡を消し女を取り戻したいパート主婦。
美貌だけが取り柄のバツ2中年女優。異形と化した社長令嬢。
昔の同級生男子に仕返しするキャパ嬢。
そして彼女たちに振り回される女性整形外科医。
私もそろそろ美容外科のお世話になった方がいいかも。

『最後の証人』 柚月裕子 宝島社
一人息子を交通事故で失った夫婦が罪を逃れた加害者に復讐を決意。
法廷で呼ばれる「被害者」「被告人」が読者の思い込みを誘う。
事件のきっかけを知る証人と真実を知る証人。
「一度ならば過ちだが二度目に犯した過ちはその人間の生き方」
これは心に留めておきたい言葉。

『加害者家族』 鈴木伸元 幻冬舎新書
家族から犯罪者が出たために非難の的にさらされ苦しむ人たち。
被害者家族と違い救済のシステムはまだ確立されていない。
警察官が理解ある態度で接してくれるのが意外に感じる。
映画『誰も守ってくれない』を思い出した。

『残酷な世界で生き延びるたった一つの方法』 橘玲 幻冬舎
才能は生まれ持ったものだから努力しても無駄。
って断言されると元も子もない話。ではどうするか。
一つのことを追及する伽藍ではなく、出入り自由なバザールに向かえ。
なんだそうだ。分かったような分からんような。

『感染宣告 エイズなんだから、抱かれたい』 石井光太 講談社
エイズが死を意味する病でなくなった現在。
それでも病気のために日常生活に支障をきたすことが多い。
仕事や家族・恋愛関係。病気の告知と共に突き付けられる現実。
日本では患者のほとんどが男性で、その多くの感染経路は性交渉らしい。
(薬害等は少数派なんだね) 
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2011/5/12

月イチ図書館・猫が飼いたい  

年をとって一人暮らしになったら猫でも飼おうかと思っていたのだけれど。
私の神経質さを考えると難しそうだ。ウサギにしよう。

「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」万城目学 ちくまプリマー新書

かのこちゃんは小学校1年生の女の子。
父の勧めで指しゃぶりを止めた途端「天が啓け」た。
同じクラスのすずちゃんと親友になり大人街道をまっしぐらに進みつつある。
マドレーヌ夫人はマドレーヌ色をしたキジトラの猫。
雷雨の日、かもこちゃんちの飼い犬・玄三郎さんの
犬小屋に逃げ込み、以来種族を超えた愛を育み夫婦となる。
猫社会もまた大人社会である。
年長者(猫)には敬意を払い、頼みごとをする時は礼を尽くす。
話したいことがある猫が話し、聞き猫はその話を遮らない。
老犬・玄三郎さんも大人である。
突然我が家を占領した猫を思い遣り、自分は雨に濡れる。
いざと言うときは犬の組織社会・ネットワークを駆使し夫人を守る。

やがてかのこちゃんにもマドレーヌ夫人にも大切な者との別れがやってくる。
それさえも彼女たちは凛々しく迎えようとする。

猫も犬も子供も大人も、それぞれが懸命に生きてる。
いいなと思う。例えそれが物語の中の世界でも。
悪い人がいなくて、相手のことを考えることができて。

かのこちゃんの命名の由来は父親が鹿から教えられた「鹿の子」。
ってあの有名な鹿男さんですか!母親はどちらさん?

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タグ: 万城目学

2011/4/5

月イチ図書館・ちっちゃな図書館  

近所に月に一度やって来る移動図書館はマイクロバスを改造したミニサイズ。
それよりもっとちっちゃな図書館が子供のために被災地入り。
医衣食住。その次に必ず必要になるものがある。
ユニセフ・ちっちゃな図書館プロジェクト

今月の本はそんな社会情勢とは全く関係なく。
『腕貫探偵、残業中』西澤保彦 実業之日本社
市役所のなんでも相談係、葬儀屋か占い師のような年齢不詳の公務員男が
プライベートな時間に持ち込まれる不思議な事件を話を聞くだけで解決。
もっとも関係者がだれも幸せになれない不幸な結末ばかり。
彼の周りで派手に行動する女子大生たちや警察のみなさんが魅力的。


『シューカツ!』石田衣良 文芸春秋
私大文系の男女7人が3年生の春に就活情報交換のためサークルを立ち上げる。
彼らの志望はマスコミ系。出版社、新聞社、テレビ局。
これが書かれたのは4年前なんだが、その時って超売り手市場だったっけ?
いまの就職難、しかも少ないパイを外国籍学生に奪われる状況とはえらい違い。
バカ娘の就活の参考にでもなるかと思ったんだが、アテが外れた。
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2011/2/7

月イチ図書館・表裏一体  

娘が大学の試験中で家にいる。昼まで寝ている。
起きるとネットを占領している。うっとうしい。
のこのこ映画を見に行けないではないか。大人しく家で本でも読んでいよう。


『極北クレイマー』海堂尊 朝日新聞出版
北海道の破綻寸前市立病院に赴任した外科医・今中。
全くやる気のないスタッフとお金をくれないお役人相手に
孤軍奮闘できず、大きな潮流にあっぷあっぷ。
公立病院の経営難と産婦人科の医療過誤問題を取り上げ、
シリーズ『ジーン・ワルツ』と一対をなす。
風の噂に聞くところ、某赤字病院に業を煮やした債権者が
経営コンサルタントを送り込んだら、あっという間に黒字転換したらしい。
病院の経営は医師やお役人でなく専門家にお任せした方がいいんでは?


『死亡フラグが立ちました!凶器はバナナの皮!?殺人事件』七尾与史 宝島社
伝説の殺し屋「死神」。被害者は死神がジョーカーのカードを送ってから
24時間以内に絶対に殺人とは知られず事故死として処理される。
その話を追う雑誌記者・陣内と先輩の本宮。
ありとあらゆる所に張り巡らされる偶然の罠をジェットコースターのようにかいくぐる。
なんと最終兵器は「バナナの皮」!というおちゃらけさ。
ネットの中で次々と生まれる新しい言葉にはいちいちついていけないけど、
「死亡フラグ」や「死ぬ死ぬ詐欺」なんてよくできてると感心する。
その言葉がなかった時ってどうやって表現してたんだろう。


『京都・同和「裏」行政 現役市会議員が見た「虚構」と「真実」村山祥栄 講談社+α新書
一筋縄ではいかない京都市行政。その一つが同和団体との癒着。
数年前にニュースにもなった市役所職員の不祥事や逮捕。
原因となった人事・総務制度を見直す時期が来たと著者は訴える。
京都には私のようなヨソ者にはびっくりするような事が偶にある。
結婚した当時、まだ京都市職員の採用に出身地区による優先枠があったのだ。
広報を見て「これは何や?」と頭を悩ます私に夫が逐一教えてくれた。
(現在はこの制度は廃止されている)
地域による就職差別や経済格差が確実に存在していた頃ならまだしも。
公務員としての資質を明らかに欠いている人物を採用しては一般市民が迷惑する。
採ったならちゃんと教育すればいいだけの話なのだ。手を抜きましたな。
でも最近は区役所窓口や市バス運転手の対応も随分ましになったと思うよ。
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2011/1/13

月イチ図書館・未来を考えたりする  

今年もがんがん本を読むぞ!でも老眼鏡なしじゃもう読めないぞ!
困った、困った。

『悪と仮面のルール』中村文則 講談社
「邪」となるために生み出された少年と、その相手となるために引き取られた少女。
相手のことを思い遣るが故に自らの手を汚してしまう。
東野圭吾『白夜行』を彷彿させながら、全く違う柔らかな人生。
それは二人が幸福な時間の共有を記憶しているから。
「人はなぜ人を殺してはいけないか」
日本の表現者たちが突き付けられた重い命題に真摯に挑む姿勢に好感が持てる。

『京都太秦物語』山田洋次・佐々江智明 新日本出版
山田洋次監督が立命館大学映像学部の学生たちと撮った地元色べたべた映画のノベライズ。
山田監督が京都で撮影するたび、近所の金券ショップに大量にチケットが流れるのだ。
ちょっと興味はあったけど、流石に見る気になれなかった。
地元で暮らす女性が幼馴染みか東男かで揺れる、普通のラブストーリー。

『高学歴ワーキングプア「フリーター生産工場」としての大学院』水月昭道 光文社新書
大学生の子供を持つ親にはショッキングなタイトル。
少子化社会を目前にして、文科省は天下り先を確保するため大学院の増設を指示。
大学側は補助金欲しさに定員いっぱいの学生を大学院に入学(=入院)させる。
ところが博士号を取得しても大学教員のポストは空きがなく、
一般企業も人件費の高い院卒は敬遠。かくして高学歴プアの出来上がり。
私は大学院に進む人は純粋にその道の研究を究めたいのだと思ってたんだが。
そうじゃない人もいるんだ。大学の先生になりたいために博士号を取る人が。
著者はこれからは職業ではなく教養としての大学院を目指せと提案する。
うちの親戚のおばちゃんなんか60歳超えてから大学院に入って論文書き上げたんだぜ。
書物より現実の方がずっと先にすすんでるって。
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2010/12/7

月イチ図書館・久しぶりじゃないか  


読んだ本のことを書くのは久しぶり。毎月図書館には通ってました。
最近老眼が酷くなって、メガネなしでは読みづらい。ちゃんとしたメガネ作らなきゃ。
その前に眼医者に行って病気じゃないか検査してもらわなきゃ。

『自殺プロデュース』山田悠介 幻冬社
自殺志望者の最期を美しい音楽の生演奏で送る謎のグループ。
セカンドバイオリンの琴音はカリスマ的指揮者・真理乃に心酔していた。
しかし彼らの姿が自殺現場で目撃されたことから、歯車が狂い始める。

容姿端麗な女性が正装して死出のお見送り。幻想的な序盤だったのに。
なぜか途中から収集がつかなくなり、血みどろの修羅場と化す。
ラストは幽霊や黒幕まで登場。サスペンスと思ったらホラーだったのか。
できるものなら人間苦しまずにきれいに死んでいきたい。
死に向かう人はそれなりの想いがあるんだから、お遊びで茶化してほしくないな。

『14歳』千原ジュニア 講談社
ご存じ漫才コンビ・千原兄弟の弟君の自伝。
私立中学に入学した彼は周りとの違いを感じ、パジャマ姿で部屋にこもるようになる。
タバコを吸い、壁に殴り書きし、テレビ放送終了後の砂嵐の中に虫を見る。

顔に似合わず(失礼!)ポエティカルな文章。
遠い風景の中、言葉が静かに佇むような。
誰もが通る14歳の混乱。その中で彼は世の中と戦う術を見つける。
人によっては学歴であったり、美貌であったり、経済力であったり。
精神的弱さでも病気でも武器となり得ただろうに。
彼は「人を笑わせること」を選んだ。幸いなるかな。
好き嫌いは別として、彼のお笑い、特にツッコミは的確でセンスが良い。
(いや、プロなんだからね、当たり前なんだけどね。)
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2009/4/18

『黒百合』  

予約していた本が一斉に届く。1ヶ月で9冊か・・・。
読みきれるかどうか心配だったけれど、1日あれば1冊読めると分かった。
邪魔になるので読んだらさっさと返してしまおう。
貸し出しの順番を待っている人もいるようだし。

『黒百合』多島斗志之 東京創元社
1952年(昭和27年)、夏の六甲。
父の知人の別荘に誘われ東京から来た14歳の進。
その家の同い年の一彦ともすぐに仲良くなる。
2人が近くの池で遊んでいると「池の精」と名乗る少女が現れる。
彼らはその少女・香に恋をした。その複雑な生い立ちも知らずに。

戦中・戦後の混乱も落ち着きを取り戻し、ゆとりある生活を送る中流階級の人たち。
「デカダンス」の言葉がぴったりな、けだるい一夏の少年の思い出。
・・・最後の5ページまでは。
途中、昭和10年のベルリン、16〜20年の神戸のエピソードが挿入される。
登場人物は重なっているはず。けれど故意に名前が明かされず、
その人物がいったい誰を指しているのか読者を不安に陥れる。
条件の当てはまる、つまりミスリードを誘う人物も上手く配置。
そして戦争がいつまでも終らない悲劇を生むことも。
よくできたミステリー。タイトルが少女趣味なのが惜しい程。

それぞれの育ちが判る関西弁の使い分けもいい。
香の相づち「ふん」。ひらがなにすると、こうしか書きようがないけれど。
「ん」を鼻に抜けるような感じで「ふぅ」。いかにも若い女の子らしい。
当時の神戸や梅田の様子も詳しく調べられていて、目に浮かぶよう。
夏の六甲なんて下々の者には縁のない世界ですが、
名門・六甲山ホテルには一度行って見たいもんだ。
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タグ: 多島斗志之

2009/4/16

『傍聞き』  

『傍聞き』長岡弘樹 双葉社
表題作他、「迷い箱」「899」「迷走」、全4編を収録。
どれもが一悶着ありそうな設定なのに、人間に信頼を回復する結末。

「迷い箱」とは・・・捨てるかどうか迷ったものを入れておく箱。
一週間毎日眺めて過ごし本当に必要かどうか判断する。
刑期を終えた人物を社会復帰させるための更生施設長の保護司の女性が主役。
彼女のつてで就職を果たした男が夕方になると姿を消す。自殺?禁酒を破った?

「899」とは・・・ある消防署内で使われている「要救助者」の符丁。
近隣に住むシングルマザーに恋した消防士が主役。
彼女のアパートが火災に巻き込まれ、駆けつけた彼女は
部屋に赤ん坊がいると消防隊に知らせるが、どこにも見つからない?

「傍聞き(かたえぎき)」とは・・・ある情報を本来聞かせたい相手ではなく、
第三者に語っている場面を漏れ聞かせることで信用させる方法。
強行犯係で反抗期の娘を育てる女性刑事が主役。
自宅近くで起こった事件が以前逮捕した犯人の報復ではないかと怯える。

「迷走」とは・・・そのまんまです。ぐるぐる走ります。
娘が交通事故に合い車椅子生活になった救命士。彼女の婚約者もまた救命士。
2人が乗った救急車が搬送するのは、その交通事故を不起訴処分にした検事。
どの病院も受け入れを拒否。加害者だった外科医に連絡を取るが・・・。


普段私が好んで読む本や映画は誰かが死んで、
犯人や周囲の人たちが心理的に追い込まれる系のものが多い。
素直に「人間ってなかなかええやん」みたいなのは珍しい。
性格曲がってましたかね。たまにはこういうのもいいかも。
目の前のガラスの曇りが取れて、開けた窓から心の中に漂っていた
黒いモヤモヤが流れ出て行くような感覚(すぐにまた曇るんだけど)。
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タグ: 長岡弘樹



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