2011/6/12

『サラエボ・希望の街角』  映画

サラエボはボスニア・ヘルツェゴビナの首都、なのは知っている。
だがその前は何て国だったけ?もうすっかり記憶の遥か彼方。
1コ前はユーゴスラビアだった。
元々別の国だったのを第一次世界大戦後、一緒くたにしてしまった地域。
社会主義国の解体で1991年クロアチア、マケドニア、スロベニアが独立。
1992年にボスニアヘルツェゴビナが独立。
2003年に旧ユーゴスラビアをセルビアモンテネグロに改名。
2006年モンテネグロが独立。2008年にコソボが独立。
その度に内戦・紛争が起きる。どうしてこんなにややこしいのか。

サラエボに住むCAのルナ(ズリンカ・ツヴィテシッチ)と
管制官・アマル(レオン・ルチェ)の同棲カップル。
まだ結婚はしていないものの不妊治療を受けていた。
ある日アルコール依存症のアマルが規律違反で停職。
その間仕事として参加したイスラム原理主義のキャンプで
彼はその教えにのめり込んでしまう。


同じヤスミラ・ジュバニッチ監督の『サラエボの花』では
まだ紛争の記憶が風景のあちこちに残っていた。
あれから5年。現在のサラエボは。

建築物の整然とした様子は他のヨーロッパの国々と何も変わらない。
道路には車とバイクが走り、大きな広告看板が目を引く。
商店街には商品があふれて市民はカフェで集い、
お菓子屋のショーケースには鮮やかな色の小さなケーキが並んでいる。
表面上は何も変わらない、普通の街なのに。人の心は全く癒えていない。
両親を目の前で殺され避難民になったルナも。
兵として戦い同じく兵士だった弟を失ったアマルも。

本来ムスリムと言っても戒律にはゆるゆるだった二人。
お酒も飲むし異性間の接触もOK。歌や音楽好きな一族。
それが紛争の生傷から立ち直れないアマルは宗教を支えにするようになる。
サラエボでは紛争後ムスリムの数が増えてきているそうだ。
ところが原理主義の教えは近代の、特にヨーロッパの習慣とは相容れない。
女性は頭からすっぽりニカブ(ブルカ?)を被り男女は別行動。
「女は夫に従い子供を産むのが仕事。
西洋の真似をして働くから女は子供を産まなくなった。」
なんて不妊治療中のルナに平気で言ってしまう無神経な女性も。
これぐらい封建的な人間なら日本にも男女に関わらず存在するけど。
挙句の果てに国内法で禁じられてる一夫多妻制までやっちゃう。
ルナにも決断の時が迫る。

なんでこんなにもめるんだろう。
いつか再び紛争の種にならなければいいけど。
希望は戦いを知らない子供たちが生まれ育っていること。
大人たちが自分が失った幸せを子供のために祈っていること。
http://www.saraebo-kibou.com/
原題"na putu"はたぶん「道の上」みたいな意味。
ドラマは道の上で起きてるわー。
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2011/6/9

『星守る犬』試写会  映画

最近四足の動物を見てまず頭に浮かぶのは「こいつ、美味そうだな」
さもなくば「こいつ、食えるのかな?」次に「どんな味がするのかな?」
シロクマは脂が乗ってて美味そうだ。笹が主食のパンダは淡白な味かも。
それならユーカリ食ってるコアラはきっと臭いだろう。
犬はどいつも不味そうだ。
韓国や中国では赤犬を食用にしているらしいが。
基本的にヒトはイヌを食わない、そのことが犬の警戒心を解き、
友好・主従関係を築くきっかけになったのではないかと勝手に想像している。

北海道名寄市の林の中に放置されたワゴン車から、
身元不明男性(西田敏行)と犬の遺体が発見された。
男性「おとうさん」は死後半年、犬「ハッピー」はまだ死んだばかり。
市役所の福祉課職員・京介(玉山鉄二)は
残された数枚のレシートを手掛かりに男と犬の足取りを追う。


京介は子供のころ両親と祖母を亡くし、
その後祖父と愛犬を亡くした読書好きな物静かな青年。
北海道出身の少女・有希(川島海荷)は芸能人をめざし
オーディションを受けに東京にやって来た。
偶然京介と出会い、一緒に帰ろうと彼の車に同乗する。
初老の男と犬、青年と少女それぞれのロードムービーが始まる。
ところがこのコムスメがうるさい。
心に壁を作った男との旅なのに、不似合いな程テンションが高い。
お蔭で演技がわざとらしくみえてしまう。

京介の祖父が「星守る犬」の意味を語る。それは高望みする者、
手に入らないと分かっていながら希望を持ち続ける者の比喩。
へ?この映画にそんな人物が出てきましたっけ?
おとうさんがリストラされたのは本人の責任ではないとしても、
妻への思い遣り不足のため離婚に至ったこと、
老後資金の計画を全く立てていなかったことはすべて本人の責任。
高みを目指すどころか下に下にまっしぐら。
いったいこれのどこが泣けるのか教えてほしい。
しかも。クライマックスにいきなり主役の犬の人相じゃなくって
犬相が変わってしまうのだ。あんた誰?別人じゃなくって別犬やろ?
動物相手やから難しいのは理解できるんだが。もうちょっと似せて。

唯一見るに値するのは東日本大震災の被災することになる地域でロケされていたこと。
東京からいわき、遠野、弘前、石狩、名寄と北上していく。
おとうさんとハッピーの周りに広がる一面のひまわり畑に希望を持つのは、
一時帰宅した福島県双葉町の老女が少ない時間の中、
自宅庭にひまわりの種を植える姿をニュースで見たから。
今年の夏はひまわりがたくさん育ちますように。
http://hoshimamoru.com
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2011/6/2

『プリンセス・トヨトミ』  映画

大阪人の東京嫌いは単なる大都会コンプレックスではない。
思い起こせば400年前。大坂冬・夏の陣で大坂城の堀を埋められた後、
堀の内側に住んでいた10万人と言われる一般町民に対する
東軍による略奪、暴行、強姦、虐殺。
その恨み辛みが綿々と記憶に残っているだけである。

三人の会計検査院調査官が大阪にやって来た。
「鬼の松平」として怖れられる笑ったことのない松平元(堤真一)。
その部下、「ミラクル鳥居」こと鳥居忠子(綾瀬はるか)。
新人のエリート、日仏ハーフの旭ゲーンズブール(岡田将生)。
彼らは財団法人大坂城整備機構(OJO)に不審な点を感じ調査を重ねる。
そこにお好み焼き屋「太閤」の店主(中井貴一)が現れ驚きの発言。
「私は大阪国総理大臣、真田幸一です」。


他府県の人には理解できないだろうが、大阪独立は大阪人400年来の悲願。
今までにも小説や演劇の題材に取り上げられてきた。
吉里吉里国や琉球国がなんでさっさと独立しないのか不思議なくらい。
まあお金がないから仕方ないな。お金だ。
「近畿二府四県でカナダ一国分のGNP(GDPではない)。」
とバブルの頃の大阪府知事は豪語したもんだが。
その知事もいかにも大阪らしい理由で失脚してしまった。
現大阪府知事も大阪都構想だの関西広域連合だので頑張ってはいるが、
如何せん、お金がない。近畿圏のまとまりも弱い。
以前大阪に痛い目に合わされた奈良は広域連合に参加してないしさ。
京都は平安遷都以降、遷都令が発布されてないことを理由に
「日本の首都は今も京都、なんで独立せんならん?」て言うしさ。
でもこの物語、大阪の人間はかなり本気なんだよ。
大坂城の地下に秘密の抜け道があるってのも、都市伝説化してるもん。

大阪人か大阪ファン以外の人が見て面白いと思うかどうかわからない。
けれど。大阪の街を、人を、こてこてを、よくぞ撮ってくれました。
おっさんばかりのエキストラなんて本当に暴徒化したらどないすんねん。
調査官対大阪人の対決と共に描かれるのは真田家の親子関係。
女の子になりたい息子・大輔(森永悠希)を唯一理解するのは幼馴染の茶子。
茶子役の沢木ルカちゃんは気の強そうな瞳がとってもかわいい。
こんなにかわいいんだったらプリンセスでなくても、幼馴染でなくても、
男でなくても、おばさんでも、守ってあげたくなっちゃう。
綾瀬はるかはいつものすっとぼけぶり。鹿男つながりで玉木宏がたこ焼き屋さんを!
原作ではゲーンズブールは女性で鳥居が男性。逆にして正解だったと思う。
でないとゲーンズブールの薄ら笑いの謎が、名前からばれてしまうもの

OJOが守ろうとしているものは二つ。
父親から息子に伝えられていく記憶の数珠つなぎは
在って欲しい、もし本当に有るならぜひ守って欲しいもんだ。
http://www.princess-toyotomi.com
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2011/5/31

5月に見た映画  映画

録画しておいた映画がHDDいっぱいに溜まっていたので、夜中に見る癖がついた。
夜更かしをすると映画館に行けないな。

5月に見たのは『ブラック・スワン』。
支配的な元バレリーナの母親にに育てられた神経症気味の主人公・ニナ。
「白鳥の湖」の主役を射止めるが、悪役の黒鳥が演じられない。
自信の内なる悪意を解放しようとするうちに、逆に飲み込まれてしまう。

プレッシャーのため徐々にニナの体に異変が起こりだす様子にぞくぞく。
ナタリー・ポートマンがアカデミー賞をもらったのもあって期待しすぎた。
ラストがあまりにもあっけない。どうせダークサイトに取り込まれるなら、
ダースベイダーの如くふてぶてしく蘇り、過去に復讐を誓って欲しかった。

もう一つは『アンノウン』。邦題が途中で変わったっけ。
ベルリンに学会のためやって来たアメリカの植物学者マーティン・ハリス。
交通事故に合い、4日間の昏睡状態から目覚めると別人が自分になりすましていた。
妻も彼を知らないと言い、HPの写真も変更されている。持ち物は携帯電話と1冊の本だけ。
彼は不法就労の女性タクシー運転手に協力してもらい自分を取り戻そうとする。

植物学者、いわゆるバイオ系の研究者ってのは貧乏なものと相場が決まってる。
だってお金にならないもん。
余程大発見をして製薬会社か食品会社に特許を売りつけない限り。
ところがこの主人公博士、映画が始まった途端あり得ないことをやらかしだす。
ホテルで特別スイートを予約しただあ?
初めて乗った他人様の車でカーチェイスをぶんぶんだあ?
こいつ只者じゃない。と疑いだすと登場人物がみんな疑わしく見えてくる。
ハリス(リーアム・ニーソン)本人も自分の記憶に疑惑を抱く。
背後に隠された組織と彼らの計画とは。謎解きとしてはミスリードが今一つだったかな。
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2011/5/4

『阪急電車・片道15分の奇跡』  映画

最近知った事実。
阪急京都線は元々京阪電鉄。戦中に軍事物資輸送のため国に接収され、
戦後の返還時どさくさに紛れて口八丁の阪急に横取りされた。
いつも「京阪はぐねぐねしてる」ってバカにしてるくせに!
負けるなおケイハン!頑張れおケイハン!

阪急電鉄今津線。宝塚駅から西宮北口駅まで片道15分。
同じ電車で出会った乗客のちょっとした悩み事。
往路の10月。復路の3月。それぞれに変化が訪れる。


後輩に婚約者を寝取られ白いドレスで披露宴に討ち入りするOLに中谷美紀。
夫に先立たれ息子夫婦としっくりいかない老婦人に宮本信子。
このお二人以外の主な俳優陣はほぼ関西出身者が占める豪華さ。
老婦人の孫で知りたがり屋、犬好きな女の子(芦田愛菜・西宮)。
イケメン彼氏のDVに悩む女子大生(戸田恵梨香・神戸)。
派手なママ友との付き合いについて行けない地味な主婦(南果歩・尼崎)。
田舎育ちで華やかな大学生活に馴染めない1年生(谷村美月・堺)。
進学問題に悩む高校三年生(有村架純・伊丹)。
その彼氏で頭は悪いが無茶苦茶優しい社会人(玉山鉄二・城陽)。
ついでに友情出演の相武紗季は宝塚。
軍オタの大学生・勝地涼とDV男・小柳友は東京出身でした。

で、出演者たちの自然なイントネイションが耳に心地よい。
駅のアナウンスの声や列車の通過メロディも聞き慣れたもの。
映画『しあわせのかおり』での中谷美紀はきれいな関西弁だったので
この映画でもその気になればできるはずなんだけど。
電車を見送るお辞儀の姿勢が美しくて見とれてしまう。
『しあわせの〜』の時はお箸やお茶碗の持ち方、咀嚼の様子が美しかった。
役柄だけではなくきっと育ちがいいんだろうなあと想像する。
おっと、うちの娘にもしっかり躾けとかなきゃ。
残念なことにイイ女は男受けが悪い。
「おいおい。なんでそっちの女に行くねん。私の方が絶対イケてるやん!」
てな目に合うことが間々ある。

おケイハンの私には阪急電車乗ってる女はみんな同じ服を
着てるように見えるんだが。余計な偏見は持たないようにしよう。
所詮みんなお節介な関西のおばちゃんである。
お節介が誰かの人生の進む方向をほんの少し変える。
そしてそのお節介はどんどん伝染していく。
かくして関西のおばちゃんは総お節介化するのである。
残った優しい男は周りの女を幸せにするのである。
おばちゃんたちのセリフが説教臭くなっていくのには閉口するぞ。

今回は原作ファンの夫が珍しく映画について来た。
もっとも「この本あんた好みやし、読んどおみ」と勧めたのは私だ。
ストライクゾーンど真ん中だったらしく、いたく気に入ったようだった。
なので私が忘れてしまったエピソードもしっかり覚えている。
例えば「ナマの話、最後にワンカットだけ出てきたなあ」とか。
ナマ?「生」だ。
エンディングクレジットに「生オブジェクト制作」と出てきた。
いつの間に映ってたっけ?そもそもそんな話あったっけ?
私の記憶力なんてその程度のもんだ。
(と、これを打っている目の前で「生」の話のTVドラマを放映している)
しかし夫は一つだけ間違えていた。
原作者の有川浩はだ。男じゃない。ヒロシじゃない。ヒロだ。
http://hankyudensha-movie.com
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タグ: 三宅喜重

2011/4/24

『八日目の蝉』試写会  映画

「見上げてごらん夜の星を」の歌がよく耳に入ってくる今日この頃。
この歌を歌いたくなる時、聞きたくなる時ってどんな心境?
不安でつい下を向いてしまいそうになるのを、こらえているようだ。

不倫関係にあった会社上司・秋山(田中哲司)の子供を堕胎した野々宮希和子
(永作博美)はその後遺症で子供が産めない体になってしまう。
本妻(森口瑤子)に抜け殻と罵られ、夫妻の生まれたばかりの娘・恵理菜を誘拐。
子供に薫(渡邊このみ)と別の名前を付け4年間身を隠し親子として暮らす。
ある日希和子が逮捕され、無事に実の親元に帰った恵理菜だったが、
彼女も両親も心を通い合わせることが難しくなっていた。
やがて大学生に成長した恵理菜(井上真央)は不倫相手・岸田(劇団ひとり)の子を宿す。


誰が悪いのでもないのに、壊れてしまった家庭に対する罪悪感で自分を押し殺す恵理子。
曰くありげなルポライター安藤千草(小池栄子)が取材と称し接近。
共に希和子との道のりを辿ることで自分の失った歴史を取り戻す。

みんなきれいな女優さんばかりなのに、とっても不幸そうな顔をしている。
小池栄子の姿勢の悪さ。永作博美の泣きはらした目。井上真央の固い頬。
悲しみ、屈折、恐怖、動揺。
本当なら誰にも見られたくない表情を、逃げることなく真正面から映す。

「人は3歳までに経験した人間関係を生涯にわたって繰り返す」
という説がある。三つ子の魂百まで、の対人版。
私が3歳の時、何してたっけ。思い出せない。
八日目の蝉は七日目で仲間が死んでしまって悲しいのか。
1日だけでも余計に美しい風景を目にすることができるのか。
小豆島での生活の冗漫さは、いかに二人が幸せに暮らしていたかを知る手がかり。

井上真央はお若いのにしっかりしたラブシ−ン。
劇団ひとりは私の好みのタイプではないんだな。断っちゃえばいいのに。
アイドルタレントではなく、女優として成長する覚悟が見受けられた。
ラストでおなかの子供に対する想いを語る場面は
出産経験のある女性ならみんな同じことを考えたはずだと胸が熱くなる。
草食男子にこの決意が理解できるかな〜?
http://www.youkame.com
主題歌は中島美嘉の復帰作。

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2011/4/21

『岳 ーガクー』試写会  映画

昼間は暖かくても朝は冷える。こんな季節は持病の喘息がぶり返す。
週二回のゴミの収集日、朝ゴミ置き場から帰って来た後がまずい。
薬を飲んで午前中はぐったりしている。
体も心もひ弱な人間からすれば、山なんて酸素の薄いところに
登るヤツの気が知れねえ。まして雪山なんてとんでもない。

長野県警北部署の山岳遭難救助隊に配属された椎名久美(長澤まさみ)。
そこには野田隊長(佐々木蔵之介)、人命救助に使命感を燃やす隊員たち、
ヘリコプターを操る民間レスキューの牧(渡部篤郎)、
北アルプスを庭とする山岳救助ボランティアの島崎三歩(小栗旬)がいた。
厳しい訓練を受けながらも自分の未熟さを知り自信をなくす久美。
そんな折、爆弾低気圧による多重遭難が発生する。


「山ガール」なんておしゃれな名前でその気になってはいけない。
山は山だ。怖いのだ。天候なんて急に変わっちゃうのだ。
助けを呼んでもすぐに来てくれないし、下手すりゃ二次遭難するのだ。
ところが三歩はへらっとした顔で芝生の公園を走る子供か犬のように
すたこら歩く(小栗旬ってすごい体力だ)。
そして救助した遭難者に対して「また山においでよ」。
しかしアスファルトの道は「みんな同じに見える」といつも迷子に。

「山で捨てていけないのはゴミと命」。
大事な人の死を乗り越えて山に向かう三歩と久美。
ライフラインという言葉は災害時にはガス・水道・電気のような
社会的インフラを指すけれど、同時に人と人の繋がり、命の繋がりも意味する。
命を救うために前に進む男の背中はカッコいい。もちろん女の背中も。
久美が救助か撤退かの選択を迫られるシーンは心臓がバクバクしたし、
永久凍土から掘り出されたマンモス状態になった時は見ている方も凍りついた。

山好きの私の母が見たら喜びそうな壮大な日本アルプスの山々。
そして人間を拒否する石と氷の壁の存在。
そこは人が立ち入ってはいけない場所なんじゃないのか。
山以上に人が好きな三歩の視線はいつも青い空を見ている。
雪山嫌いの私にも、その美しさは分かる(南極に住むペンギンのような)。
http://www.gaku-movie.jp/
人を救うにはまず腹ごしらえから。
(東電の原発事故作業員の待遇はあんまりだ)
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2011/4/18

『ザ・ライト〜エクソシストの真実〜』  映画

最初は3月19日公開予定だったのが、震災の影響で3週間遅れ。
でも地震のシーンはないし。津波のシーンもないし。
まさか…、単にプリントが間に合わなかっただけとか?

葬儀屋の息子、神学生・マイケル(コリン・オドナヒュー)は
母の死が原因で本当の信仰を得られず、司祭の道に進むことを躊躇う。
そんな時恩師に勧めでバチカンで開かれている「エクソシスト養成講座」に参加。
異端視されているルーカス神父(アンソニー・ホプキンス)の許を訪れると、
そこでは16歳の少女に憑依した悪魔払いが行われようとしていた。


ライトは"light"でも"right"でも"write"でもなく、"rite"。
キリスト教におけ道にる「儀式」の意味。
悪魔が乗り移る様子はアンソニー・ホプキンスだけあって、
まるでオカルト映画よう(オカルトだったのか!)
マイケルは進学前、父親の仕事を手伝っていた。これもある意味儀式。
ただ納棺の手順は日本の「おくりびと」に見られる厳かさとは違い
口の中に綿を詰めて糸で縫いつけるなど究めて外科的に遺体を扱う。
この辺が公開延期の理由かいな?
【追記:HPによるとフィルムの輸送が不確実だったためらしい】

悪魔祓いを依頼してくるのは親からの虐待や統合失調症が疑われる人物ばかり。
本当に必要なのは医師による治療や社会的ケア、カウンセリングなのではないかと
マイケルは疑問を抱き続ける。日本のテレビ番組に登場する自称霊能力者たちも、
本当はカウンセラー的意味合いが強いのだと思う。

悪魔の存在を認めなければ神の存在を認めることにならない。
バチカンのお墨付きだけあって、キリスト教への信仰を深めるような。
頼りなかったマイケルが(それもおばちゃんには可愛いかったんだが)、
試練を経て立派な司祭へと成長する。まるで布教用映画だわい。

仏教徒の私はこんなオカルト系映画を見るたび考える。
仏教徒にも悪魔は憑依するんかしら。
なんだか悪魔ちゃんたちとも仲良くできそうな気がする
http://wwws.warnerbros.co.jp/therite/index.html
(↑読み込むのに滅法時間がかかる)
0

2011/4/10

『デザートフラワー』  映画

スーパーモデル、ワリス・ディリーの名前を初めて知ったのは
NHKの『未来教室』という番組だった。
決して雄弁とは言えない英語でニューヨークの学校で
黒人の子供たち相手にFGM問題を教えていた。
「切るって、どこを?」「全部よ。」
「全部って?」「見えてるところ全部。」
その後すぐに彼女の自叙伝『砂漠の女・ディリー』を読んだ。
彼女の体を見たルームメイトが泣き出す場面で事の重大さを理解した。

ソマリアの遊牧民出身のワリスは13際の時、60歳の老人相手に無理やり
結婚させられそうになったため家族の許を離れ砂漠を越えて祖母の家へ逃げる。
そこで紹介された親戚の駐英ソマリア大使宅でメイドとして働くことに。
友人もなくドアから漏れるテレビの音を聞く事だけが楽しみな生活。
だがソマリア内乱後職員家族が全員帰国し、ホームレス状態になっていたとき、
ダンサーを目指すマリリン(サリー・ホーキンス)に拾われ一緒に暮らすことになる。


ハンバーガーショップの店員。不法滞在により収監。偽装結婚。
映画ではぽんぽんと話が進んであっという間にスーパーモデルへの道を
駆け上がったように感じるが、実際はそれぞれ数年単位。
人間一人の人生を語るにはかなり端折らなければいけない。

ソマリアは昔から長身痩せ型の美男美女が多いことで有名。
人間が商品として売買されていた時代にも人気が高かったらしい。
加えてワリスには美貌だけでなく、人を惹きつける力がある。
彼女を見初める一流ファッションカメラマン・ドナルドソン(ティモシー・スポール)。
やり手のモデル事務所の女社長ルシンダ(ジュリエット・スティーブンソン)。
擬装プロポーズするニール(クレイグ・パーキンソン)。
アパートのインド系おばちゃん経営者。そして何よりマリリン。
彼女の誠実な人懐っこい瞳に誰もが手を差し伸べたくなる。
それはもう人徳以外の何物でもない。
ワリスを演じるリヤ・ケベデがそう感じさせてくれる。
しっかしモデルさんの足って、細くて長くて真っ直ぐで。見とれてしまうわい。

『未来教室』が放映された時、彼女はすでに国連大使に任命されていた。
番組後半、国連ビルの近くで子供たちと一緒に通行人にインタビューを試みていた。
ほとんどの人が否定的意見を述べながらも興味なさそうに立ち去って行く。
一人だけ「その国・部族の問題に関係のない立場の人間が口を出すべきではない」
と言った時、彼女は叫んだ。
「私はそんなことされたくなかったのよ!」
それまでの彼女の体の痛みと心の痛みと誇りの高さが噴出したようだった。

彼女は国連の演説でソマリアの諺を引用する。
「ビリのラクダは先頭のラクダと同じ速さで歩く」
欧米諸国よりは遅れているかもしれないけれど、
ゆっくりと確実に彼女の行動は実を結んでいる。
http://www.espace-sarou.co.jp/desert/
「ワリス」はソマリアの言葉で「砂漠の花」の意味。
一人一人の名前に意味があるのは漢字を使う国では当たり前のこと。
英語圏の人に、親が子供の名に託す想いって分かってくれるんだろうか。

0

2011/4/1

『わたしを離さないで』  映画

子供のころだからもう既にウン十年前に読んだ星新一のショートショートで。
不良息子が両親に悪態をつき金をせびる。
「誰も生んでくれなんて頼んでねえよ。」
その度、両親は悲しそうな顔をし何処からか工面してきた金を息子に渡す。
ある日黒い車で数人の黒服の男たちがやって来て息子を連れて行く。
助けを求める息子を両親は悲しそうな顔で見送る、という話。
科学は進歩した。昔のSFがほぼ現実になりつつある。
自動翻訳機もテレビ電話(私のPCでさえカメラ付き!)も。
あと、死ぬまでに一度はリニアモーターカーに乗ってみたい。

キャシー(キャリー・マリガン)、ルース(キーラ・ナイトレイ)、
トミー(アンドリュー・ガーフィールド)は厳格な寄宿学校・ヘールシャムで
完璧に健康になるよう育てられる。そこは臓器提供用の人間を育てる施設だった。
キャシーはトミーに心惹かれるが、彼はルースと付き合うようになる。
やがて18才に成長した彼らはコテージと呼ばれる一軒家へ。
そこで本当に愛し合うカップル同志は提供が猶予されるという噂を耳にする。


彼らがドナー目的のクローンであることは、この映画のバレて困るネタではない。
そんなことは予告や宣伝チラシを見ればすぐに分かる初期設定の一つ。
もっと深いネタ、本質は全く別の所にある。

話は医療が別の方に発展したパラレルワールド。
今のこっちの現実の医療では一時しのぎであって、治療効果がなさそうな気が。
だいたい折角育て上げた提供者様をそんな不衛生な状態に置いてどうすんだ。
ゴミ置き場から拾ってきたようなおもちゃを与えたり。
家畜や野生動物との接触、外泊、口吻、まして性交渉なんてとんでもない。
私には見える、見えるぞ!ウイルスの大移動が!

おっと。この映画はそんなことを気にして見てはいけなかった。
若者が未来に希望を描けない絶望感。大切な人を亡くした喪失感。
自我を持たないように育てられ、自信の運命に抗うこともしない。
真面目で理知的なキャシー、積極的なルース、優しさ故に不安定なトミー。
不完全な彼らは3人一緒にいることで世の中と折り合いをつけていたのか。
キーラ・ナイトレイの姿が本当に具合が悪そうで大丈夫かと思ってしまった。

カラーなのにモントーンに見える薄ら寒い風景。
彼らには世の中がこんな風に見えているのだ。
普通に親の手で育てられていたら、ちゃんとした親がいれば、
子供がこんなふうに世界を見ていることに我慢はできないはず。

ヘールシャムで絵を描かされていた理由をトミーは
「本当に愛し合う者同志か判断材料にするため」だと考える。
だが真実が明らかになった時、国家・社会が彼らをどのように
扱っていたかを知ることになり愕然とさせられる。
唯一の救いはそれに反抗するグループの存在か。
http://movies.foxjapan.com/watahana/
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