2011/3/31

映画ファンは肩身が狭い  映画

今日映画を見に行ったら、春休みのせいか大混雑だった。

平和だ。

地震が起こってから個人・各業界団体が採算を無視して援助を行っている。
製造、流通、小売り、不動産関係も、スポーツ界も、音楽界も。
なんで映画業界のアクションはこんなに地味なんだろう。
地震が起こってからずっと考えている。

カウンターには義援金箱が置かれている。
一部の作品では収益の一部を義援金にとの発表があった。
芸能人個人や事務所単位の活動もある。
でも映画会社って、映画を生業にしてる人たちって何してるんだろう。
誰かが脚本書いてカメラを回すまで待ってるんだろうか。
ずっと考えている。


今日届いた「京都シネマ」の会報に載っていた4コマ漫画。
本当はそのままお見せしたいんだが、そりゃ問題ありそうなんでセリフのみで。

【タイトル】
みちくさシネマVol.40「映画のチカラ」byふるはしひろみ
【1コマ目】
A「こうなると映画なんて無力だよな…がっくり
【2コマ目】
B「イヤ!あの時も…
『イヴォンヌの香り』パトリス・ルコント監督1994仏映画
【3コマ目】
ゾロゾロゾロ…(人の列)
B「えっこの人たちみんな神戸から?」
C「うん向こうでは観られないからって…」
【4コマ目】
1995年1月…そして今も。
B「ヒトはパンのみにて生くるにあらず…!こんなときこそ がんばろう!
C「うん
【今月のひとこと】
1日も早い復興を心からお祈りしております。ボキンもするぞーっ!
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2011/3/27

『アレクサンドリア』  映画

段ボールに溢れる娘の部屋を片付けさせたら昔の塾のテストが出てきた。
よくこんな数学の点数で理系に進もうと思ったもんだ。
その意志の強さは褒めてやるべきか、呆れるべきか。

4世紀、ローマ帝国末期。エジプトのアレキサンドリアは古代の神々を信仰し壮大な大灯台と図書館を誇っていた。
図書館長テオンの娘・ヒュパティア(レイチェル・ワイズ)は女性ながら分け隔てなく弟子をとり数学や天文学を教える哲学者。弟子の一人、オレステス(オスカー・アイザック)の求婚も断り宇宙の謎を解明することに没頭する。 
その頃、勢力を増したキリスト教徒と科学者の争いが激化。ローマ皇帝の命令により図書館は明け渡され多くの書物が焼き払われ、市民はキリスト教かユダヤ教に改宗させられる。
一部の書物を持ち出し家に逃げ帰ったヒュパティアは、彼女に想いを寄せる奴隷でクリスチャンのダオス(マックス・ミンゲラ)を解放する。
数年後ローマ帝国は東西に分裂し、彼女の教え子たちは政府の要職に就いていた。オレステスは政府長官に。ダオスは修道兵士に。そして二分された宗教により町は再び争いの気配を孕んでいた。


ヒュパティアは実在の人物。
類稀な美貌と才能で多くの人々から慕われていたそうだ。
エピソードの多くも実話に基づいているらしい。
女性が人前で目立つことが許されない時代に自由に研究することを求め、
オレステスを敵対視するキュリロス主教(サミ・サミール)からは
魔女呼ばわりされ悲惨な最期を迎える。
オレステスもダオスも彼女を愛してたはずなのに守ることができない。
なんだかなー。ダオスがいつまでも奴隷根性から抜け切れなくてがっかりだ。
もっとかっこいいヒーローになってくれると期待したのに。

ヒュパティアの高潔さが科学を否定するキリスト教改宗を拒み続ける。
神の名においてこんな残虐な行為が許されるなんて。キリスト教ってわからん。
この映画がカソリックの国スペインで製作された度胸は素晴らしい。
結局、宗教はただの勢力争いの理由にされてるだけで、
権力を手に入れたいヤツはなんだってするんだ。

エジプトはナイルの氾濫を予想するため、科学が非常に発達したと習った。
おそらくキリスト教がなければ現代の科学はもっと発展していただろうとも。
科学者の中でも図書館から逃げ出す時、書物を守ろうとする者と
金銀財宝を持ち出そうとする人間との2種類に分かれる。
(この時代の書物は巻物状なのでえらい運びにくくできている)
テオン曰く、図書館は「人間の知識の宝庫」。
いざと言うときは本を持って逃げる人間になりたいもんだ。
http://alexandria.gaga.ne.jp/
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2011/3/24

『ツーリスト』  映画

見に行ったのは2週間前だった。
その後日本中が上を下への大騒ぎになり映画どころではなくなってしまった。
今、西日本の人間ができることは経済活動を下支えすることだ。
生活必需品は東に送り、西はあぶく銭を一見無駄なことに使えばいい。
義援金を出し渋る夫も株の買い注文を大量に出した。
「資金がもっとあれば ドルも買うのに。」
普段車で行く墓参りもバスで行ってきたようだ。
「今ガソリン高いねん。」
私はいつものように映画でも見に行くことにしよう。

巨額の税金滞納で国際指名手配中のアレクサンダー。
警察は彼の恋人・エリーズ(アンジェリーナ・ジョリー)に尾行を付ける。
パリに滞在中、カフェでくつろぐ彼女に一通の手紙が。
「列車でベネツィアに向かえ。車内で俺によく似た男に話しかけろ」
車中、エリーズはアメリカ人旅行者・数学教師のフランク
(ジョニー・デップ)に声をかける。ところがイタリアに到着した途端、
彼は警察とマフィアの双方から追いかけられることになる。


ジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリーの贅沢な共演。
しかも世界の観光地・ベネツィアでのロケ。由緒正しい建物の中にセットを組んでの撮影。
水の都・ベネツィアと言っても狭い水路をちっぽけなゴンドラで進むんではない。
ドレスを着こみ水上リムジンでどっかーんとご登場するのだ。
万が一私がイタリアに行くことがあってもこんな贅沢な景色はお目にかかれないだろう。
エリーズの衣装も尾行されてるくせに優美で目を引く。
後ろ側に垂れ下がった房状のベルトをヒップを振りながら、
「ほーら私を捕まえてごらんなさい」とばかりに歩く。
まるで狐と狸の化かしあい。いやシルバーフォックスとミンクかな。

逆にフランクは美女に振り回されとまどう内気な男。
屋根の瓦の上を裸足で逃げるお茶目な逃走風景。
それって水虫治療効果があるんではなかったっけ?
登場する各国の警察の気質の違いも見えておもしろい。
イギリスの上司(ティモシー・ダルトン)のイヤミたらたらさ。
フランスの刑事たちの女(の尻)好き。
イタリア警察のマフィアと癒着、賄賂もらって当然な態度。

徐々にエリーズとフランクの正体も明らかになって行く。
あんまり意外性もなく、やっぱりそうよねと却って安心する。
乱暴なのはマフィアとイタリア警察ぐらいで、残酷なシーンはない。
この時期、楽しむためだけの映画があってもいいんじゃないかな?
http://tourist-movie.jp
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2011/3/18

全国試写会のはずが  映画

『攻殻機動隊(Ghost in the Shell) S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』の試写会。
全国7か所で試写会の予定が昨今の電力事情により東京と横浜が中止になった。
なんだか西日本の人間だけ能天気にアニメ見てて申し訳ない<(_ _)>。

『ヒアアフター』も急遽上映中止になった。いい映画だったんだが。
災害のシーンが今の日本の状況にそぐわないとの判断だろう。
今月26日公開予定だった『唐山大地震』は公開延期。
これも町が瓦礫と化す様子の再現に力を入れすぎた。
ここまでは仕方ないとして。楽しみにしていた『ザ・ライト』も。
『世界侵略:ロサンゼルス決戦』『カウントダウンZERO』『サンクタム』
『かぞくはじめました』子供向けヒーロー物まで続々公開延期。
ここら辺は完全に娯楽作品だ。見る方は気にせーへんのでは。
大人としては正しい判断だろうが、ちょっと寂しい。
単に非難されるのを避けたのではなく、思い遣り故だと信じたい。
『バットマン・ビギンズ』が公開された時のこと。
直前に日本で列車事故が起きたため、
「映画内に列車事故のシーンを含みます」
「演出上カットすることができませんでした」
「被害に合われた方にお見舞い申し上げます」
と新聞に全面広告を出していた。
上映が始まる前、新作の予告の後に同じメッセージが入っていた記憶がある。


どうか東北地方の人も関東地方の人も心置きなく映画を楽しめる日が来ますように。


で今回の『攻殻機動隊…』は5年前に制作された作品の3D焼き直し版。
昔夫と娘がDVDを借りて見ていた時、わたしも家事の合間にちらちら見た。
新しくなったオープニングは3Dならではの立体感。
なんだが。本編のCG部分はきれいになっているんだけれど
元々あった人物等は「飛び出す絵本」的なぱたぱた感が否めない。
少子高齢化社会、児童虐待、引きこもり、孤独死。
5年前も今も全く陳腐化も解決もされない社会問題が描かれてる。
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2011/3/15

『SP THE MOTION PICTURE 革命篇』  映画

菅総理の演説の下手っぴいさは残念だ。この国難の時に。
信子夫人に隣に立ってもらい、こっそり囁いてもらったらどうか。
枝野官房長官の説明もで語尾が回りくどくて理解しづらい。情けない。

井上(岡田准一)他、警視庁警備部警護課第四係のメンバーは
それぞれ国会に向かう議員の警護に当たる。
衆議院本会議場で内閣不信任案が提出、与野党が議論を戦わせる中、
尾形(堤真一)が率いるテロリスト集団が議会を占拠する。
彼らの要求は大臣・議員の不正を暴きそれをマスコミに中継させること。
壇上に立った尾形は国民に覚醒を訴える。


長く続いたドラマと映画のいよいよ最終章。
これまで謎だった人物の本当の目的と関係が明らかに。
そのため前半はアクションなし。男たちの思惑と根回しで話が進む。
それぞれが何を目的として動いているのか。
個人的な復讐、支配欲、金銭、破壊行動。
目的の違う人間が同じ行動を起こす恐ろしさ。
日本の国会議員たちの金銭問題なんてかわいらしく思える。

で、さんざん焦らせておいて、やっと四係が乗り込むわけです。
かっこいいです。岡田君はもちろん、特に今回は笹本(真木よう子)が。
射撃のオリンピック選手だったって設定でしたっけ。ばしばし決めてくれます。
山本(松尾諭)とのコンビは、もうドツキ漫才と化してます。
井上と対する尾形はターミネーター並みのしつこさ、非情さ。
彼のこの心の闇を描くために、今までの話があったんだなあ。

井上の能力は周りの些細な変化、匂いや人の動きを統合して
危険を予測できることだと思っていたのだけれど、
本当は人の悪意そのものに反応しているのかもしれない。
なかなか不穏な世の中だ。
http://sp-movie.com/index.html
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タグ: SP 岡田准一 堤真一

2011/3/4

『英国王のスピーチ』  映画

ロンドンの下町娘と言語学者の有名な恋物語がなかったっけ。
初めは女性を一人の個人として認められない高慢な男と徐々に愛情を育む話。
性別と役割をぐるぐるぽん、とかき回せばこの映画になるやん。
でもあちらのバーナード・ショーの原作の方が先に書かれてるんだ。
事実は戯曲より奇なり。

20世紀初めのイギリス。
ジョージ5世(マイケル・ガンボ)の次男アルバート(コリン・ファース)は子供のころの辛い経験が原因で吃音で苦しんでいた。
何人もの医師にかかったが治らず、見かねた妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム・カーター)は新聞広告で見つけた矯正師ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)の許を訪れる。オーストラリア出身で奇抜な治療法を施すライオネル。
王室の者とも対等な立場で接することを要求する彼を初めは拒否していたアルバートも治療の効果が現れるにつれ信頼を寄せていく。
そして父が死去。兄がエドワード8世として即位したが離婚歴のあるシンプソン夫人との恋を成就するため退位。アルバートがジョージ6世として国王に就くことに。
ライオネルの力を借り戴冠式を無事に終えた彼はドイツとの開戦を国民に告げるスピーチをラジオで行うことになる。


私の声は低い。女性としてだけではなく、若いお兄ちゃんたちと比べてもだ。
しかもくぐもっており不明瞭。コンプレックスの元である。
外見や容姿ならお金をかければなんとかなる。
内面や能力なら努力と根性でどうにかなる(かも)。
でも声だけは変えられないんだな。頑張って高めの大声を出すと、
翌日唾も飲み込めないほど扁桃腺が腫れる。
その都度、もう二度と人前で声を出すもんかと心に誓う。
幸い専業主婦に人前で発言する機会は少なく助かっている。

ジョージ6世君にとってはまさに青天の霹靂。
今まで兄貴が王位に就くと思ってたから度重なるいじめも我慢してきたのに。
いざとなったらトンズラかい。人妻ばっかりに手を出して。
王室自体が危ういご時世にナチと仲良くして政府を慌てさせて。
もう兄貴の尻拭いはまっぴらだ。とっととこの国を出て行きやがれ〜!
などと高貴なお方は考えたりしないだろう。
ぐっと我慢する。我慢するので言葉が口から出てこない。

兄王の退位宣言「愛する人なしでは公務は遂行できない」の言葉通り。
ジョージ6世のが困難に立ち向かえたのも妻の支えがあったからこそ。
気さくで庶民感覚を持っているのに気位も高いエリザベス。
心配そうに夫を見つめる眼差しがいい。少々の冒険心も夫を思う故。
同じ苦しみを知っている元宰相チャーチルの存在も心強い。
やーい。羨ましいだろ。忍耐強く努力することを知っており家族思いで
自分の置かれた立場と義務を理解している君主がいて。
いくらアメリカが金持ちで暴力的でもこればかりは手に入らない。
http://kingsspeech.gaga.ne.jp/

ジョージ6世が自分の言葉で語りかけたかったのは国民や国家にではない。
ただ二人の娘に面白い話を聞かせて喜ぶ顔を見たかっただけ。
彼が得たものは空を飛ぶためではなく、子供たちを抱きしめるための大きな翼。
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2011/2/26

『唐山大地震・想い続けた32年』試写会  映画

1976年7月28日深夜。
中国河北省唐山(とうざん)市がM7.8の直下型地震に見舞われた。
死者24万人、重傷者16万人。
20世紀最大の地震被害と言われているのに、私には何の記憶もない。
いくら大風呂敷がお得意の中国でも被災者の数を水増ししたりしないだろう。
毎年夏休みに新聞もテレビもない僻地に送り込まれていたため、
情報弱者になっていたのかもしれない。

唐山のアパートに住む双子の姉弟、6歳のファン・ドン(チャン・ツィフォン)と
ファン・ダー(チャン・ジァージュン)は倒壊する建物の下敷きになってしまう。
どちらか一人しか助けられない状況で決断を迫られた母リー・ユェンニー
(シュイ・ファン)は弟の救助を依頼する。その声はドンの耳にも届いていた。
夫と娘を失ったユェンニーと右手を失ったダー(リー・チェン)。
そして奇跡的に生還し国民軍の養父母(チェン・ダオミン、チェン・ジン)に
不自由なく育てられたドン(チャン・チンチュー)。
32年後、四川大地震が再び3人を巡り会わせる。


あまりにもタイムリーな。
毎日多かれ少なかれ地球上のどこかで地面は揺れているのだけれど。
NZクライストチャーチでの地震の直後なので静観できるか心配だった。
唐山の震災のシーンは画面が暗く鮮明には映ってないので助かったが。
しかし四川で少女を救出するためにその母親が右足の切断を請う場面は…
あまりにもタイムリーすぎる。
当日の新聞で被災した富山の男子学生の記事を読んだばかりだった。
観客一同ドン引きです。

サバイバーズ・ギルト。ユェンニーは自分だけが無事だった罪悪感に苛まれる。
「失ったものは失ってから気づく」
勉強はだめでも商売の際にたけたダーは心の壊れた母親を支え。
優秀だけれど生きることに不器用なドンは母親に見捨てられた傷を負い。
ドンの養母は姉が手元から離れていくことを恐れ。
養父は「離れていても家族は家族」と実の家族を捜すことを勧める。
だれも間違っていない。親として子供としてどれも当然のことだ。
親子の確執は震災がなくてもどんな家庭にも起こりうることだ。
それが外的要因であるからこそ月日を経ても取り戻すことができる。
中国のいい所は人間の多いことだ。取り敢えず人海戦術でなんとかなる。
日本のようなハイテク技術や重機がなくても、心配することはない。
http://www.tozan-movie.jp
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2011/2/12

『白いリボン』  映画

ミファエル・ハネケ監督、カンヌのパルムドール受賞作。
この監督の映画って不気味で見終わった後に不愉快にさせる。
しかしそれは決して嫌悪感を催すものではない。
自分の思い込みや錯覚を認識させるものだから。

第一次世界大戦の前年。男爵家の荘園がある田舎の村。
次々に不審な事故が相次ぐ。最初は医者が落馬し大けが。
そして小作人の妻が事故死。火事。子供の失踪。
村の小学校教師だった男によって語られる。


モノトーンの映像が不気味さに輪をかける。何色かわからない。
子供のころは白黒テレビを見ていたのでたいていの色は想像できるのに。
そんな中、白いリボンは純真無垢な子供の証しとして牧師によって結ばれる。
躾にうるさい大人たちと、異様なほど礼儀正しい子供たち。
一見美しく平和な村に嫉妬や復讐が正義の仮面を付けてやってくる。

ハエがぶんぶん飛び回るまだ不衛生な時代。どこの家も子だくさん。
大人なら誰でも持っている不都合。それが許せないティーンエイジャーたち。
子供は大人がしたようにする。大人の罪を子々孫々が罰を受けることに。
死に怯える医者の息子、父親の悲しみを思いやる牧師の息子は共にまだ幼児。
純真な子供ほど染まりやすい。忍び寄るナチスの影。
気づいた人は村出て行き。知っていても無関心を装う。
大人には清濁併せ飲む、醉も甘いも嚼み分けた度量の広さが必要なのよ。

ニュースや新聞でわかったような気になっている事件が、
裁判が始まってみると被害者と加害者が実は逆であったり。
この監督はいつもその肝心の瞬間を映さない。
だから見る者は自分の判断に自信が持てず不安感が募る。
聞いた話に話者の主観は入ってないのか。本当に自分の目で見たのか。
前後の整合性は取れているのか。常に確かめる羽目になる。
http://www.shiroi-ribon.com
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2011/2/11

『ヒア アフター』試写会  映画

"hereafter"は「来世」の意味なんだそうな。
基本仏教徒の私は来世も輪廻も信じない。極楽も地獄もこの世にある。
脳死は人の死。千の風なんかになってたまるものか。
てなことを常々考えていると、困ったことに普通の人とは話が合わない。

自らの力を封印したサンフランシスコの霊能力者、ジョージ(マット・デイモン)。
バカンス中に東アジアで津波に合い臨死体験をしたフランス人ジャーナリスト、
マリー(セシル・ドゥ・フランス)。
双子の兄を交通事故で亡くしたロンドンの少年、マーカス
(ジョージ&フランキー・マクラレン)。
心に傷を持った三人が巡り会う。


ジョージは手を合わせることでその人と親しかった故人の霊と話をすることができる。
そのため親しい友人ができず、普通の工員として働いているがリストラに合ってしまう。
彼の力を使って金儲けをしようと考えている兄に嫌気がさしジョージは旅に。
内気で誠実な男、ジョージ。マット・デイモンってこんな役者だったっけと好感。

反対にマリーは仕事バリバリ順風満帆、ニュースキャスターも務めるキャリア。
ところが、臨死の経験が頭を離れず今まで通りの仕事ができなくなる。
TVやCMの仕事も他の人に取られてしまい、書いた本も受け入れられない。

マーカスの母はヘロイン中毒で福祉局に目を付けられていたため、
兄の死後里親に引き取られる。何につけても兄に頼りっきりだったマーカス。
成功しても失敗しても兄のせい。その考えが亡くなった後も治らない。
彼は里親の家を抜け出し兄に会わせてくれる霊能力者をさがそうとする。
頼りなげだった少年が最後にほんの少しだけ成長した姿を見せてくれる。

3人が出会うのはロンドンで開催されるブックフェア。いかにもイギリスらしい。
日本でもやってるんだろうか。作者のサイン会だけでなく朗読会やCD販売もあり。
ジョージはラジオの朗読番組、ディケンズの「クリスマスキャロル」がお気に入り。
あれは三人の幽霊に会う話だったっけ。

最近骨太の作品を連発するクリント・イーストウッドが監督。
いよいよ「あの世」がテーマとは。そろそろ近づいてきてるのか?
CGや特撮と分かっていても事故や災害のシーンは見ていて気持ちのいいもんではない。
描かれている「あの世」も日本人の考えるそれとはイメージが違うけれど。
来世があるのかないのか、なんてことは生きている人間にとってどうでもいいんだ。
大事なのは今生きている目の前の人間と心を通わせること。
"Give me your hands."
傷ついた人たちが共に寄り添い、新しく一歩を踏み出す静かな物語。
http://www.hereafter.jp
(静かすぎて寝ちまいそうだったぜ)
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2011/1/31

『太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男』試写会  映画

元アメリカ海兵隊員ドン・ジョーンズ著『OBA,THE LAST SAMURAI』と
『タッポーチョ!敵ながら天晴!大場隊の勇戦512日』が原作の実話。
終戦を向かえても降伏を拒む誇り高き日本軍人の姿を描く。
しかも公開は2月11日の建国記念日。右翼だったら大喜びするところだ。
特にラストの軍歌を歌いながらの行進、軍刀を納める竹野内君は、
私の説明を聞いただけでネット右翼の娘がウホウホ状態。

1944年6月。民間日本人25000人が住むサイパン島に米軍が上陸。
壊滅状態になった日本軍は7月7日捨て身の総攻撃を敢行する。
奇しくも生き残った大場栄大尉(竹野内豊)他計47名の兵たちは
島のタッポーチョー山に野営する約二百名の民間人を守り抜く。
天候を読み地形を利用しトラップを仕掛ける彼の戦いぶりは、
米軍から「フォックス」と呼ばれ畏怖された。


敵味方の区別がつかない死体の山。頭の真上を通過していく敵機。飢えと乾き。
日本人側からではなく、敵国アメリカ側から見た日本軍の姿なので
依怙贔屓なし、フェアな目線であると思われる。
何故日本人は投降を拒み、自決するのか。現代の日本人にとっても最大の謎。
捕まれば拷問を受けると教え込まれているだけではないと日本に留学経験のある
ハーマン・ルイス大尉(ショーン・マクゴーウァン)が将棋に例えて説明する。
チェスと違い将棋は取った相手の駒を自分の駒として利用できる。
捕虜になることは敵に協力し天皇陛下を裏切ることになるのだ。
当初殲滅を目指していた米軍もルイスの意見を聞き入れる上司が現れ懐柔路線に。
さて日本軍人のプライドを傷つけずに投降させる方法とは。

思いがけず戦闘に巻き込まれ、敵に憎悪の念を募らせる看護師に井上真央。
最後まで一人投降を拒否しジャングルに残る兵に山田孝之。
背中一面に彫り物のある関西弁スキンヘッド一等兵に唐沢寿明。
英語が話せるためルイスと大場の間を取り持とうとする民間人捕虜、安部サダヲ。
登場するのは日本人とアメリカ人のみ。現地住民が全く出てこない。
これはちーとばかり公正さを欠くのではないか。
日米で他人様の庭先でドンパチして多大なご迷惑をお掛けしたんではないか。

反戦ではなく、日本軍賛美でもなく。ただ戦いがあったという事実。
結局捕虜になった方が生存確率が高くなる皮肉。
彼らは生きることに執着していたのか、していなかったのか。
平和ボケの頭ではわからん。
http://taiheiyo-no-kiseki.jp
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