参議院選挙の結果について、様々な分析がなされています。件の塩野七生氏が「日本人へ・国家と歴史編」の中で面白い表現で有権者の心理について述べられています。
安倍首相擁護論ですから少し前の政治状況について述べられている内容ですが、「大衆民主主義時代の有権者の心理がわかっていない。女がなぜ男に惚れるのかを、考えたことがあるのだろうか」と、首相としての安倍氏を政治という虚実からみあう世界のりーだーとしては、誠実のあまりか単純すぎる。と述べた上で、「民主主義体制下の有権者としては、『何をやったか』で支持するのではなく、『何かやってくれそう』という思いで支持を寄せるのである。業績から判断して投票するのではなく、期待感で票を投じる人々なのだ。」と述べられています。
何とも明快な見解ではあると読みました。今回の参議院選挙結果は出ましたが、前会の衆議院選結果からも併せて考えると、まさに氏のご指摘のとおりといえます。
期待感から投票する有権者の行動は間違っていないとした上で、「政治とは、感性に訴えて獲得した票数、つまり権力を、理性に基づいて行使していくものだからである」とも述べています。
それにしても、「女はなぜ男に惚れるのかを考えたことはあるのだろうか」とは政治に絡む話題の例えとしては、どきっとさせられる言葉です。

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