稲わらがこんな騒ぎに発展するとは思いませんでした。宮城県産の稲わらが、当地域の肥育牛に与えられていることも余り知られていませんでした。
高山市の畜産農家が与えていた、宮城県産の汚染の疑いのある稲わらの残りを検査した結果、汚染されていたわらが見つかりましたが、すべてが汚染されていたわけではなく、基準以下の物もありました。はっきりいってどのくらいの量が汚染されていたのかは分からず、枝肉となった物については基準以下の数値の検体が残っていたという事で、まずは一安心でした。
しかし汚染疑いのある稲わらを与えられていた肥育牛は、未だ700頭あまり牛舎にいるということですので、これから個体検査を徹底して安全を確認していく方針のようです。
丁度土用の丑の日とも重なり、スーパーの売り場も混乱していたようです。消費者はウナギに殺到して牛肉はサッパリだった。しかししらすウナギの品不足でウナギの値段が高い。庶民の口にはなかなか届かないというような報告も受けました。何だか踏んだり蹴ったりの様相です。
しかし今回の一連の報道を見ていると、今更ながら流通の広域化に驚かされるばかりです。稲わらばかりでなく、遠く東北産の牛肉が高山のお店で売られている。飛騨牛の販売ルートについても同様で、そういった意味では日本中が原発事故の影響を受けているといえます。
地方の都市へも大型店の進出が顕著になっています。地方商圏の中で売り場面積は増加傾向にあるが、人口動向からいっても地方商圏内の所得は低下傾向にある。従って売り場面積は増えても売り上げが伸びていない。売り場効率が低下すればリストラで雇用人員・従業者数は減らさざるを得ない。行き着くところは勢い価格競争に走らねばならない。大型店のバイヤーは全国の産地に目を光らせて商品調達に走らねばならない。そういった循環が繰り返されれば繰り返すほど、そのマイナス効果が地方都市の経済構造やまちづくりに大きな負の連鎖を生んでいく。そうした姿を改めて感じないわけにはいきません。
そうした中では、地産地消という概念についても一考を要するのではと考えます。私たちの街は何を目標として未来を指向していくのかの問題です。政策の方向性やビジョンの言ったものの重要性が問われる所以ではないのかと思います。
10年位前のBSE騒動の時を思い出します。あの時は飛騨の畜産農家は肉骨粉の入った飼料を一切使っていない、安全な肉としてPRすることが出来ました。その結果飛騨牛はその評価と売り上げを伸ばすことが出来ました。
今回は当時の状況とは異なります。関係機関・生産者一体となって対策に取り組んで欲しいと思います。
改めて高山市の産業振興における、官民の連携とそのビジョンの確率が急務であると感じています。
昨晩は日枝神社の夏越しの大祓いでした。一日も早くこうした地域の経済的窮状を脱出できるよう併せてお祈りさせて頂きました。


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