一昨日報じられたドイツ国債の「札割れ」、その道の専門用語であるらしいのですが素人が耳にしても異常事態が迫ってきていることが感じられます。入札で募集額に投資家の需要が届かない事態を「札割れ」というらしいのですがが、今回のドイツ国債の募集では、募集額の1/3に達する事態に懸念が広がっているようです。ユーロ圏3位の経済規模であるイタリア国債の急落が誘発した事態と言うことのようですが、25日に実施されたイタリア国債の入札も不調であったと今日の日経新聞は報じています。欧米銀行株も軒並み下落に転じていることから、資本不足からの貸し渋り懸念が広がります。各国証券市場の平均株価も急落しており、市場からの資本調達にも不安が広がり、一層の景気悪化を予想する向きもあります。
経済のグローバル化が進んだ今日、こうした世界規模での経済の変動は日本経済にもダイレクトに影響してきます。
高山市の景気動向については、先日岐阜県中小企業団体中央会の景況調査報告で少しコメントしましたが、春先の大震災からの落ち込みからは回復しつつあるものの、以前の水準までは回復していない状況で推移しています。高山市の12月議会へ向けた定例記者会見でも、5億円の景気対策を含む6億円余の補正予算について発表したものの、記者の質問は高根診療所における無資格看護師の採用事件に終始したようで、土木費での景気対策5億円には余り関心が示されなかったようです。
今期の文教経済委員会は、地元企業への振興策をどうするのかを重点課題として調査していますが、これまでの前例踏襲の予算計上ばかりでなく、行政と民間が少し先を見据えた目標・ビジョンを共有する中での産業振興施策の充実、これなくして景気浮揚もあり得ないと考えます。その場しのぎの景気対策よりも、腰を据えた地元経済の体質改善の取り組みと実効策が必用ではないかと考えています。例えば観光と文化の関係とそれぞれの位置づけ、それを側面で支える文化振興条例や、観光交流計画などの制定や策定。「飛騨高山ブランド」強化による産業振興を打ち出した「高山市産業振興計画」そのものを否定はしませんが、現状の高山市を取り巻く経済状況の下で、新たな成長分野をどこに求めるのか、何が弱点でどこに手当をするのか、そうした面でもう一度高山市の経済分野の政策の体系を見直すべきではないか、又それを実行する庁内組織の見直し、その上で政策の実行を担保する総合計画をはじめとする諸施策における成果指標の導入の必要性などを痛切に感じています。
中期的に見れば、高山市第8次総合計画策定への準備段階へはいる次年度からが大切な時期となると考えますが、市民も議会も行政も、そして関連団体も各企業も未来を見据え大所高所に立って議論を重ねていきたいものです。

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