10月末現在の全国中小企業団体中央会の景況調査報告がでています。

ご覧のように景況DI値はー43.6と震災後の23年4月のー58.2に次ぐマイナスとなっており、夏以降急激に悪くなっていることが伺えます。高山市の景況調査結果も出ていますが、同様に秋口に入って低下しています。特に全国中小企業団体中央会の調査では製造業部門の低下も目立っています。以下のとおりです。
「製造業部門」景況DI値
繊維:−50.4
紙・紙加工:−52.2
印刷:−52.4
化学ゴム:−58.1
一般機器:−50.9
電気機器:−57.6
輸送機器:−55.6
等です。
非製造業部門では特に卸売り、小売り、商店街部門の数値が低下しています。
「非製造業」景況DI値では
卸売り業:−51.5
小売業:−58.5
商店街:−46.3
運輸業:−47.8
この様な状況では世間にお金が回っていないと言えます。売上高、収益、資金繰り共にDI値が落ちています。インフレターゲット等の金融政策も総選挙の争点になっているようですが、デフレ経済からの脱出はそんなに簡単にはいかないようです。デフレは物価の下落と共に所得の低下も誘発し、結果として売り上げの低下に結びつきます。団塊の世代のリタイアによる地域の総所得の減少という、もう一つの足かせのある中ではどうしたら良いのか。頭の痛いところです。
「景気の活性化に必要なのは、将来への不安の払拭と、開かれたビジネス環境です。税制や金融、社会慣習も含めた意識改革。個人の能力とやる気を引き出す起業環境の整備である」と説く人がいますが同感です。しかし具体論というとなかなか難しく歯切れが悪くなってしまいます・・・。
中央会情報連絡員の報告から、全国の商店街関係のコメントを載せておきます。
商店街
<青森県八戸市>
5月から開催していた「はちのへホコテン」が10月末をもって終了した。最終月とあって多くの人出があり、賑わいを創出した。また、B−1グランプリで「はちのへせんべい汁」がグランプリを獲得したことにより、中心街はお祝いムードで盛り上がった。
<山梨県甲府市>
物販関係は相変わらず低調だが、飲食関係は若干上向き傾向にある。紅葉シーズンとなり観光客も増え始めている。
<岐阜県高山市>
10月も芳しい動きはなし。観光を基幹産業と位置付ける当地域では、その他産業への波及効果も深刻な状況。団塊の世代がリタイアしたこともあり、地域の総所得の減少が消費の停滞を招いている要因の一つでもある。商店街では”売れないから早く閉店する”、”早く閉店するから客が来ない”といった悪循環が目に付き、更なる自助努力が求められている。
<奈良県奈良市>
10月は、気候も良く観光シーズンで、10月27日からは「正倉院展」が開催し、それに伴い「あるくん奈良スタンプラリー」も始まり商店街も大変賑わっている。また、地元の方には10月15日に「奈良市商店街振興会プレミアム商品券」を夢キューブ前テントで販売し、完売した。
<山口県山口市>
空き店舗対策で、シャッターが開いた店は増加したが、苦しくなった既存店も増えた。新規出店の店も良い状況とは聞かない。結局、小さい市場を奪い合い、前よりも状況が悪くなるケースが多い。オーバーストア、オーバーフロアを調整する空き店舗対策にシフトしなければ、対処療法にならない。
<大分県別府市>
9月のペースでいけば売上増となるところだが、結果例年並みとなった。消費税や復興税といったものが徐々に人々の頭の中に現れはじめたような気がする。実際に影響が出るのは増税が始まった時だと思われる。
<沖縄県沖縄市>
依然として日々の売上げは厳しい状況が続いているが、今月のイベント成功により、好転するのではとの期待を抱かせる。毎月第3土曜日の銀天街まつりでは、衣料品店のデッドストックとなっていた70年代の洋服を利用してファッションショーを開催。古くとも若者に対して新鮮な魅力をアピールすることができた。
岐阜県高山市分は私のレポートです。各地で苦労されている姿が浮かびます。

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