
10月26日付の日本経済新聞35面の「時流地流」を読ませていただいた。軽井沢のまちづくりの方針を引き合いに、「できないことの多さ=引き算の発想が町民憲章がうたう世界に誇る清らかな環境と風俗を形作っている」と述べ、各地の地方創成の総合戦略について「施策を積み上げていった結果、他との違いが分かりにくいものになっていると指摘。「これはしない。あれはできない」という引き算から出発した方が個性ある街づくりにつながる。とありました。
上乗せ交付金を得られる期限である10月末に向け、地方創成の総合戦略を策定するのに躍起となっている地方自治体の姿を見てのコメントであったと認識しています。全く同感です。
つい最近つくづくそのように感じたことがありました。28日の総務厚生委員会・文教産業委員会連合委員会で報告を受けた高山市地方創成総合戦略案についてです。高山市議会は素案が提示された時点で3項目にわたる意見書を提出しました。10月8日付のブログで「高山市人口ビジョン素案、総合戦略素案に対する意見書の提出」として報告した内容です。内容は
1.地方創生に本気で取り組む姿勢を示すべき。
2.明確なアビジョンを掲げるべき。
3.インパクトのある目玉政策を位置付けるべき。なのですが、要は分かりやすく絞り込んだ内容が欲しいという事なのです。その理由は昨年今後10年をにらんだ高山市第8次総合計画を策定済みであり、短期の5年間での成果を求められる戦略の絞り込みを、きちんと切り分けて説明すべきであるという事につきます。
28日に行政より出された修正案はと言えば、議会からの指摘事項を付け加えてこのようにまとめましたというものです。少し違う視点ではありますが「時流地流」にある引き算の発想とは別ものだなと感じます。これまでも指摘したように「あなた方の要望はこの個所のこの文言において付け加えました」という対応!指摘されるとその都度内容が加算されてくる。腰の据わった計画づくりの発想が希薄だと改めて申し上げたい。表題に持続可能なまちづくりを掲げながら、その根本の考え、指向する方向性が見えてこない。これでは上乗せ交付金狙いの薄っぺらな戦略としか受け取られかねません! お役人の発想というものは私達とは全く異なる体系でしか成り立たないのかもしれません。持続可能性を言うなら「サステイナビリテイー」、「サステイナビリテイー」を言うのなら環境や自然との共生!その根底にあるものをどう組み立てているのかがなければ戦略は成り立ちません。昨年行政は「地方版総合戦略は高山市第八次総合計画を補完する計画」として策定すると説明しましたが、もう少し重みのあるものではなかったのかとつくづく思います。

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