
16日に昨年から申し込んでいた第42回「都市問題」公開講座『自治体と観光』に参加して少し勉強してきました。主催されたのは(公財)後藤・安田記念東京都市問題研究所で、その機関誌が月刊「都市問題」です。機関誌は大正14年の創刊で、現在の都市問題研究所理事長は新藤宗幸さんです。会場は東京内幸町の「日本プレスセンター」10階のホールでした。
今回の基調講演は西村幸夫(東京大学先端科学研究所長)先生でした。西村先生は高山市議会へも「観光とまちづくり」についてご講演に来ていただいたことがあります。

基調講演の中で、西村先生は「新しい段階に入った観光」の項で「施設巡りから異文化・異日常の体験へ」というお話をされ、アクションオリエンテーリングという言葉で高山祭の神事について取り上げて解説されました。異文化体験としての祭が高山の御巡幸に見ることができる。屋台行事ばかりでなく、街を巡る神事としての異文化の体験と異日常性として紹介していただきました。
又、創造的な地域総合戦略が必要であると解説される中では、ビジネスで解決できない問題は自治体の役割であると、総合的かつ創造性あるまちづくりの必要性も力説されました。ライフスタイル産業という言葉も使われ、観光における自治体の役割についてもご指摘いただきました。
第2部は、各地で独創的な活動を実践しておられる方々によるパネルデスカッションでした。
松江市副市長で隠岐地区ふるさと案内人を実践されている吉山治氏、旅館海月の女将で鳥羽エコツーリング推進協議会長の江崎貴久さん、大田区政策課長今井健太郎氏、前金沢市長:山出保氏、司会はJTB観光政策部長:梅川智也氏でした。

皆さんそれぞれに個性ある地域で実践されている取り組みについて話されました。松江市の副市長である吉山さんは、観光についても関連あるとして、松江市の地方創生総合戦略の1/3は市民提案を採用したと話されました。聞く耳を持つという姿勢がうかがわれ印象に残りました。
金沢は観光都市と呼ばれたくなかった。学問・文化都市として呼ばれる街づくりを目指した。その結果が観光都市なのだと語られた山出さん。民泊特区に取り組まれている今井さん。「海島遊民クラブ」を設立し環境・観光・教育を一体化させたエコツーリズムを展開されている江崎さん。それぞれの持論を聴くことができました。
15日は午後から市役所地下ホールで、観光大学のセミナーがあり、高山の観光の動向についてこれからの課題を解説していただいたのですが、インバウンドばかりに目を奪われることなく、体験と地域の暮らし向きに根差した、創造的な観光まちづくりを進めていかなければと改めて学んだところです。

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