
2月18日高山市は、保育園関連業務についてその事務処理を怠ったとして関係者3名の懲戒処分を発表しました。
今回の処分対象となった事案は5件。
1.「龍華保育園」園舎改築に伴う国の交付金申請に関する交付要件を伝えなかったために今年度の対象とならなかった件。
2.私立保育園に対する各種補助金交付事務の遅延。(上半期分約7000万円を2月17日になって支払い)
3.同じく私立保育園施設改修に伴う市の補助金交付事務のミス。(補助指令交付処理が遅れたため当該団体は補助指令前に工事を着手してしまった。補助金の交付決定前にはいっさいの契約はできないこととなっている)
4.一時保育料軽減事務に絡む事務処理の過誤(一時保育料を平成27年度より1000円から800円に引き下げる決定をしていたが、事務処理を怠ったため公立保育園は800円で徴収したが、私立は従前のまま徴収していた。又第3子以降は無料とするところ従前のまま徴収していた)今後過徴収分総額109.3万円を返還することとし、各法人が返金した分については事務処理経費を含め補助金として支払う。
5.すぎがおか託児所への給付費を支給するための事務処理の遅れから給付が未払いとなっていた。今後2月中に支払うこととした。
この5件である担当のリーダーが絡んでいた事案と言われています。いずれも保育園運営については必要な交付金や補助金に絡む問題です。民間はそうした経費にからむ交付金・補助金が入らねば、正常な運営が困難になるものばかりであり資金繰りは苦しくなるばかりです。行政の信頼失墜はここに極まれりといった内容です。
個人の資質の問題と言ってしまえばそれまでですが、担当課の連携が取れていなかったと指摘されても仕方ない問題です。現在高山市は従前の係長を廃止しリーダーとし、グループ制を採用しています。グループ制は、繁忙期等で手が足りない時はグループの中で人員等を融通しあい、事務処理をスムーズに処理してくというものです。うまく機能していないのかなと思ってしまいます。建前はどうあれ配慮しあうという人間関係が失われているのではないか?
もう一つ、4.の一時保育の問題では考えさせられる点があります、保育料の軽減を決定していたが、それを伝えたのは公立保育園関係者のみで私立保育園関係者には伝達していなかった。加えて軽減した保育料について市の要綱を改定していなかったと説明された点です。
要綱とは事務をする上で必要なマニュアルであると言われています。ある事務事業を執行する上での根拠規定であり、不公平なく事務処理をスムーズに行うためにあらかじめ定めておくものです。
今回この問題の処理に当たってどうしたかというと、2月8日に要綱の見直しを行い、27年4月1日にさかのぼって改定したというものです。
要綱の定めにない事務処理をしておいて、私立保育園側には4月1日にさかのぼって返金をせよと言う事は本当にできる事なのか?
また、根拠規定がない軽減処置を実行してしまった公立保育園の運営はそれで妥当なのか?
後出しじゃんけんを正当化するという事じゃないのかと考えてしまいます。
ある事業で前年度より軽減処置を行うという事は、予算編成上でも大きな変更事案であり、そうした情報は庁内で共有されてきちんと処理される体制がないのかとも考えてしまいます。
前年度予算審査時にこの問題を行政として提起したのかと議員から問われても、それはしなかったという答弁。何かが欠けているんだと思います。総合計画との絡みでも合点がいかないのは、基本構想に即した個別計画を執行する段階において、基本構想を議決した議会への報告はきちんとなされるべきであり、議会はその執行や対応を見守り監視する役目を持つと言われています。昨今そうした対応を軽視する風潮が行政側にあると感じています。福祉関係では前年度決算審査時にも、高齢者への入浴補助券交付時期の変更に関して、議会への報告を怠ったという問題があったばかりです。
この問題で問われるところは行政の信頼です。4.の問題では意思決定はしていたがその決定や伝達にミスがあったと認めたわけですが、このところ市政の停滞やミスが続いています。トップから職員まで緊張感が足りないのじゃないかと言いたい。
議会は議決責任を負いますが、提案権と執行権をもつ行政が問われるのは説明責任です。アカウンタビリテイといわれる説明責任ですが、執行の結果によっては厳しくその責任を問われるというものです。緊張感が足りないと感じています。1月4日の事務はじめ式に当たって私は幹部職員の皆さんにそのことを申し上げたつもりです。

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