
平成27年度決算をグラフ化して経年比較する中で、高山市財政の現状と今後の動向を探ってみました。歳入面では高山市税の動向が気になります。総額ではリーマンショック前の149.3億がピークで年々減少傾向にあり、H27年度では133.8億円まで減少。国の経済テコ入れ策や地方創成の取り組みにもかかわらず、低迷しています。
そうした中で市民税では特に個人市民税が低迷を続けており、こちらは生産年齢人口の減少の影響も見て取れます。又、市税の基幹税科目である「固定資産税」と「都市計画税」が低迷していることが問題です。リーマンショック後も73億円台を維持していた固定資産税が、H27年度では65.7億円まで減少。都市計画税では10億円台からH27年度では8.9億円台まで減少しています。機関税目で約8億円も減少している姿は、今の地方の低迷する姿を現していると言えます。人口の減少化、生産年齢人口の減少の影響は確実に地方をむしばんでいると言えます。
土地税制に基づく機関税目の減少はすなわち地価の下落による影響が大きく、地価の下落は都市の集客力や稼ぐ力の低下を物語っており、自治体の経済・産業政策の方針や都市経営の方針が問われているという事です。
産業面でいえば、高山市は農業に期待すところも多いと言われますが、ひところ農業生産額200億円を達成しその後は250億円を目指すのだと言われてきましたが、高齢者の離脱が農業生産の基盤を揺るがせています。農業の面では高齢者のリタイアがあっても生産性を向上して250億円の生産額が目指せるのか難しいところに立っています。
工業の面では地場産業の木材・家具部門の健闘はありますが、第2次産業生産額の約半分を製薬会社1社が占めている、いびつで脆弱な構造となっており、大きな発展が疑問視されています。
又大きな雇用吸収源であった小売業・卸売業の減少が問題視されています。地域の小売業も卸売業も大型店や流通の大変化による、淘汰の時代に入っていると言っても過言ではありません。
そうした中にあっては観光面を今一度てこいれするための政策の展開が必要です。文化・商業政策と都市計画の連動による「観光まちづくり」を徹底するしかありません。今後に期待するところです。
歳出面では義務的経費の中で人件費と公債費はそれなりに縮減傾向にありますが、扶助費が突出して増加してきています。歳入に限界が見えてくる中で(合併特例加算の減少)、投資的経費をどう確保するのかの問題が浮上してきます。今後公共施設の長寿命化を含む更新投資の問題が浮上してきます。H27年度から重点化してテコ入れをしている上水道の耐震化などの投資にどう対応できるのかなど、今後に課題を残す形となっています。

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