文教産業委員会は1月27日の委員会に於いて、平成28年12月16に協議事項として提出された「高山市立小中学校の学期の見直し」案件につき、委員会としての見解をまとめ教育委員会にその内容を伝達しました。
結論としては、「学期の見直しに当たっては、広く開かれた議論の場を設けるなど十分かつ丁寧な取り組みを進めるべきであり、平成29年度からの実施は困難であると考える。」
と結論付けたところです。
文教産業委員会の考えはこちらからご覧ください。
http://www.nakada-seisuke.com/2gakki/kaitoiu.htm
委員会は 1月20日金沢市教育委員会へ調査に訪れ、平成26年度から3学期制へ復帰した金沢市の事例についてその経緯と目的を詳しくお聞きしてきました。そうした内容を確認した上で、1月23日、27日と議論を重ねてきました。その際12月20日付で提出した質問書への回答と合わせて議論したところです。
27日の委員会では、これまでの協議経過を踏まえ、高山市の取り組み方についての問題点や、2学期制における課題と3学期制回帰への論点など調査に訪れた金沢市における課題整理等について議員間討議を進めたところです。
以下に主な論点をあげておきます。
・教育委員会は学校、家庭、地域あるいは行政が一丸となった教
育への取り組みを進めなければならない中で、それらの合意形
成に前向きな進め方をしてきたのか。市民参加の視点に立った
意見交換や意見抽出、又それらを反映する場面が設けられてき
たのか。
・他の自治体の事例では、地域や保護者との合意形成を促すス
キームをしっかりと組み入れている。
・今回目的とされている「時間を生み出し、子どもと向き合う機
会と場面を充実させ、子どもの学習・生活をより一層充実する
」に対する答えが前・後期制であると結論付けるには、文脈が
成り立たない部分が多く見受けられる。前・後期制を成り立た
せるための後付けされたものと受け取れる。
・目的自体の主体が子供のように書かれているが、実際は学校側
が主体の目線である。
・喫緊の課題として導入を急ぐ背景が学習指導要領の改訂である
なら、これはあくまで学校側の都合である。
・現下の課題は不登校・いじめの問題の解消であり学力の向上。
その打開策が前後期制への移行なのであろうか。疑問である。
・2学期制に移行しようとする理由がはっきり明確でない部分が
ある。子供と向き合う時間の確保とあるが、不登校児童が増加
している現状を、教員の多忙感を解消し時間を確保することで
減少させることができるのか疑問である。
・2学期制の導入にむけて多くの関係者の意見集約がなされてお
らず、計画的な準備段階が踏まれていない。
・現在の流れは2学期制から3学期制へ転換する自治体がある中
で、ぽんとうに本市の2学期制への移行が子供たちにとっ有効
的なものかしっかりとした検証が必要。
・小中学校前期・後期制は「ゆとり教育」が始まった頃多くの自
治体が導入したが、10年を経過する中で見直され、3学期制
への回帰が全国的に生まれてきた。
その流れに対し、高山市の前・後期制へ移行の提案は、準備期
間・内容ともに乏しいものである。
・当案件は教育委員会の決定権に属することから、すでに決定事
項として進められており、保護者や地域住民の不在が浮き彫り
にされている。
・教師が児童生徒に向き合う時間の確保について異論はないが、
現行の方針をもって前・後期制移行することは安易と思われ、
大きな疑義を感じている。
・「学校・家庭・地域」の連帯で子育てを行わなければならない
社会状況の中で、決定の経緯は間違っていないのか。
・これまでに実施された自治体の「成果」の部分を見ると、学校
運営的な事項が中心。「課題」については子供や保護者の立場
に立った問題と見受けられる。高山市の提案を見ると教育委員
会は一面的な見方に偏っていないかと懸念する。
・3学期制でなければ解消が困難と金沢市が取らえた課題につい
て、今回の高山市の提案は乗り越えられるのか。
・質問書への回答でも、2学期制以外の制度への十分な研究がな
されていない。2学期制のメリットのみを述べている。土曜授
業についても議論された記述はあるが、根拠となる試行は行わ
れていないに等しい。長期にわたり2学期制を実施してきた自
治体が示している課題を真摯に受け止めているか疑問。
・回答書にある他自治体を参考とした考察は、いつだれがどうい
った形で研究をされ、どういった場所で議論され結論に至った
ものなのか。あまりに観念的な結論でくくられている。
・回答全体を通じて導入のメリットしか説明されておらず、課題
を真摯に受け止めているとは言い難い。
・今回の回答書における資料7に述べられている取り組み案は、
2学期制を撤回し、3学期制に戻している自治体が、2学期制
導入の折に述べられていたことである。実施してもなおかつ解
消できなかった課題を生み出したもの。
・高山市では外部に開かれない形で校長会の検討が行われ、H28
.9.26に教育長にH29年度から2学期制導入が要望された。
その2週間後には教育委員会から校長会へ制度移行の「考え方
、進め方」が説明された。事実上導入が決定されたという事。
その後は決定を通達する作業。保護者や住民不在。
・意見を聴取し、検証し、咀嚼するといった対応は一切行われて
いない。行う時間を見据えた提案の仕方でもない。
・今回の提案は、他市の教訓が生かされているのか、説明不足で
ある。
・目的の一つである教師の多忙解消については、もっといろんな
角度からの議論が必要ではないか。
・日本で定着した3学期制を無理に2学期制にしている。日本の
特性を生かした3学期制の価値は高いと考える。
・意思決定の期間が短い、かつH29年度導入へ向けて推進がな
されている。
・2学期制導入の効果とされた項目については、金沢市において
は当初期待された効果ではあったが、確かな学力の確保を目指
し、新たな3学期制へと政策転換されたと説明された。
期待するところは多かったが、見直す点がはっきりと浮かびあ
がってきて、その対応を3学期制に戻すことによって改善する
という意思を確定された。
・2学期制導入時も、3学期制へ戻すにあたっても手順を省かず
時間をかけて議論し、多くの人の意見を意向調査等でくみ上げ
ている。今回の高山市の取り組み方はそれに比して大きな落差
が感じられる。
等27日に各委員から出された議論の内容です。
その上で2点について指摘し、平成29年度よりの実施は困難であると結論付けたものです。
委員会が指摘した事項
@見直しのプロセスにおいて、関係者(児童・生徒、保護者、教師、地域)の意見聴取や議論がなされず、十分な理解がなされていない。
A前期・後期制の課題に対する検証が不十分であり、なおかつ、前期・後期制の取り組み内容についての詳細な説明がなされていない。
尚私が提出した、金沢市の調査報告はこちらからご覧ください。
http://www.nakada-seisuke.com/h29.01kanazawa/kanazawatyousa.pdf

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