「平成29年度高山市一般会計予算に対する賛成討論」
創成クラブ代表 中田清介
Creative Shrinkage いわゆる「創造的縮小」という事が言われて
久しいものがあります。これは健康志向と恵まれた環境を活かして、
急激な人口減少社会にあっても、社会生活の維持に必要な相対的な活
力を、地域の持つ豊かさの再評価で維持していこうとするまちづくり
の理念です。
まさに今、高山市が直面する課題への対応は、こうしたまちづくり
の理念の中でこそ解決できるのではないかと考えます。
私達議会も、そうした観点において多くの政策提言を行ってきたとこ
ろです。その一つの柱が文化政策・商業政策が都市計画と連動する「
観光まちづくり」の推進であったと理解しています。
賢く縮む社会が求められる中で、今回の予算は将来へのそうしたま
ちづくりへの布石を打つ、多くの内容を含んだ予算であると認識して
いるところです。
特に、今回「地域経済構造分析」に基づく産業連関表の作成に踏み
込まれたことは、実証的根拠に基づく産業政策の立案に資するものと
その成果に期待するところです。
また、若者をまちに呼び込むための施策が充実されたことは、起業
支援や大学連携とも相まって、高山市にとって足らざるところを補う
的確な施策の展開であると認識しているところです。
加えて、福祉面・基盤整備面においても、議会が指摘した多くの面
での施策の展開が図られており、議会と行政の補完関係が新たな局面
を切り開いたものと、素直に評価したいと思います。
さらに環境面においても、自伐林業の展開や自然エネルギー活用な
ど、地域の課題を事業化する中での自立が図られるなど、地道な努力
の積み重ねにもスポットがあてられ、今後のあるべき協働のまちづく
りへの、一つの道筋をつけたものと期待しているところです。
もう一点、基金体系の再構築による、機動的な政策への対応につい
ても、これまでとは異なる議会提言への迅速な対応が図られており、
行政内部での改革への努力であると評価したいと思います。
しかしながら、観光行政への過度な依存が気になります。観光客の
入込数とその経済波及効果を追うだけでは、人口減少が進む中にあっ
ては、早晩その限界は免れられないところでもあり、就業人口構造を
含めた地域のバランスある産業育成への道筋を模索すべきと考えます。
予算審査の中でも指摘したところですが、観光消費額の波及を受け
止める卸・小売商業の衰退が大きな問題となっており、全国的な傾向
であるとはいえ、国際観光都市を標榜する高山市においては、特にそ
の対応が急がれる課題と受けとめています。
いわゆる「観光まちづくり」の中で、補助事業の見直しや立ち上が
り支援に絞った展開など、改革が求められているところです。
昨年9月には、持続可能な自治体運営の実現を目指す中では、議会
も行政も大きな意味での変革期に対応する、その力を養う必要性を述
べたところです。我々も今後ともそうした努力を続けることを表明し
て、平成29年度高山市一般会計予算案に対する賛成討論といたします。

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