
7月19日午後3時から、高山市産業連関表キックオフセミナーに参加してきました。「産業連関表で地域再発見」と題する岡山大学大学院の中村良平先生の講演でした。
地域経済構造分析の第一人者としての中村先生は、産業連関表の活用による地域経済分析には数々の地方都市での実践例があります。私たちは平成26年度の文教産業委員会の調査で「朝来市の経済成長戦略」を調査する中で、産業連関性の重要性を学んできました。その後のやり取りの中で先生からは次のようなご指摘・ご指導を受けました。
1点目は、報告書中(参考)部分の中で、「なお、美作市の独自調査による集計結果は30%弱という回収率であったが、朝来市は60%まで高める努力をしたとのことであった」と記述した部分について、中村教授からは「アンケート回収率が30%であり、追加調査を重ねる中で出荷額の捕捉率は7割近くであった」とご指摘を受けました。朝来市の視察担当者の言葉をそのまま掲載したためのご指摘でした。
やはり着実なデータの積み重ねがあっての成果であったのだと、関係者の皆さんの努力に敬意を表した次第です。
2点目は、中村教授が関わられた調査研究体制と最新の事例について説明された上で、自治体は産業連関表を作るだけではなく、それを使いこなしていく能力を身に着け、継続してバージョンアップしていく必要性についてご指摘いただきました。
3点目は、連関表作成については、ある程度の予算と時間がかかるものと述べられ、産業連関表の作成はいわば知識と熟練工の仕事であり、入札などで低価格で委託すると後で後悔することになるとのご助言です。
4点目は、市町村と県の産業連関構造はかなり異なるので、市町村独自でこそ連関表を作る意義があるとのご助言です。
5点目は、どうしても予算と時間に制約があれば、域際収支を調査しあとは推計で取引表を作成することもできるが、かなりの統計分析レベルが必要となる。連関表については素人が作成するととんでもない誤りを起こすことがよくあり、作成したとしても専門家のチェックが必要となるとのご指摘でした。
委員会は市独自の産業連関表の必要性を指摘して報告書をまとめ、その後の政策提言等につなげたところです。報告書についてはこちらからご覧ください。
http://www.nakada-seisuke.com/asagosisatu/asagosennryaku.htm
今回のセミナーでも紹介されました、岡山県赤坂町の事例についても、平成18年度に当時の産業委員会で調査に出向いています。「民間活力を利用した地域振興:叶ヤ坂天然ライスの事例」として、合併後の赤磐市で調査してきました。赤坂町の事例報告はこちらからご覧ください。
http://www.nakada-seisuke.com/h18soumu/akasaka.htm
本格的に産業連関表の必要性を議会として訴えたのは、平成26年の朝来市の事例朝最後ですが、リーサスによるビックデータの公開とその活用が広まったことも追い風となりました。
思い込みによる政策展開から、実証的根拠に基づく政策立案へと大きく転換することができるか、今回の高山市による「産業連関表」作成の成果が待たれるところです。

0