1.世界的な異常気象に見舞われる中、今夏の各地での台風被害を教訓にした災害対策について
@高山地域の人口集中地区には河川氾濫による水没の危険性はないのか。住民参加で充実してきたハザードマップであるが、上流域、中流域、下流域それぞれの治水対策は万全なのか。
A今夏の台風19号被害から見ても想定外の降雨量は今後も起こりうる。ハザードマップに示された浸水想定区域で十分なのか。このところの異常気象による各地の被害を見て市民の不安は増している。より広域の避難計画やその周知体制などの準備は整っているのか。
Bまた、台風15号被害の教訓の一つが、都市インフラとしての電力の喪失と長期の停電への対応であった。被災自治体は長期停電という事態を事前に想定していなかったことが被害を大きくした原因とも言われている。電力事業者との間での協力体制は国・県との連携の中でとれているのか 、又必要な施設の非常電力の備えと確保は心配がないのか
C長期停電は被害であるとともに新しい災害を生むと指摘されている。一つには二次災害、三次災害と拡大するとともに、もう一つは複合災害という事で病院災害、運輸災害、食料災害、水道災害、情報通信災害などであると言われている。各セクションの防災協定の締結が続いているが、複合災害への備えとして十分な体制が組めているか。
D広域の高山市における地域別の気象予報体制は、支所地域の地域防災に必要と言われる。早期の導入は困難なのか。又、聞こえにくい防災無線の解消策については対応しているが、非常時にはもっと伝わりやすいサイレンなどによる伝達法も有効ではないかと言われている。そうした対応も考えられているのか。
E防災対策としての公共インフラの整備には、ハード面の整備はもとよりソフト面での対応である「防災や減災のシステム構築」と「持続可能なマネジメント計画」を多面的に整備しておくことと指摘されている。こうした面の対応は進んでいるのか。
2.中心市街地活性化基本計画の改定について
@ インバウンドの活況とホテルの進出ラッシュが続く中で、中活の基本的課題であったゾーニングによる大型店の立地の誘導と中心市街地の商業振興という中身が変化してきている。文化政策、商業政策と都市計画との連動が観光まちづくりと言われる中で、商業政策を推進するソフト部門の停滞が目立つのではないか。新たな視点での中心市街地の商業振興施策はどのような観点で組み立てるのか。
A 商業を取り巻く環境は大きく変わった。かつて卸・小売り合わせて3,000億円と言われた売り上げは約2,000億円程度にまで減少した。卸の規模は半減し、小売りに占める外資・大型店の比重が増し、零細小売商店の生き残りは風前の灯火である。廃業・閉店が続出する中で、ここ5年ですっかり市内の商店街の様相も変わってしまった。経済行為に規制はかけられないが、望ましい高山市の商業の姿は産業振興条例や中心市街地活性化基本計画の中で示していけるのか。
B かつて衰退傾向の中心市街地へ公共施設を再配置し、再び活性化することを目的とした「コンパクトシティ」の定義も、合併で広域化した市域の総合調整への施策の展開に使われるなど本来の意味を失いつつある。高山市を国際観光都市として今後どの様なまちにしたいのかの指針が求められている。今度の基本計画には世代交代の流れを作り、思い切った若返りの視点で既存政策を見直す必要があるのではないか。
C 制度融資重視の産業政策からの脱皮、産業連関表によるエビデンスに基づくソフト部門の充実、観光政策との連動による中心商店街へのテコ入れ、その為のインセンテイブの付与。やれることはどんどん推進すべきではないか。観光による波及効果が住民の暮し良さに繋がってこそ、世界から人を呼び込めるまちづくりができるのではないか。
3 観光マスタープランの必要性について
@ 高山市の観光が好調と言える。それ故将来へ向けてのマーケティングとマネジメントの重要性も指摘されるところである。官民で観光振興に対する目標を共有するとともに、それを着実に実行する民間の活動と、その活動を支える行政の役割分担を明示し、持続可能な国際観光都市形成への指針となるビジョンの策定が求められているのではないか。
A 長い間、市には観光に特化した計画や条例等はなかった。これだけインバンドが高まり市の基軸とする産業構造が変化して、就業人口構造までもが変わってしまった。これから先もっと大きな変化が生まれ、観光が市民生活との共存を求められていく中では、観光の将来像を示すビジョンの策定は不可欠ではないか。
B 鎌倉市観光協会が策定した観光マスタープランでは、観光を通じて地域課題を解決するDMOと、新たな地域ビジネス創出基盤となるDMCを機能分担で両立させ、その上で行政の支援を受け機能させていくことが鎌倉流の観光クオリティ実現への道とある。それぞれの活動目標と役割分担の明確化でもある。今民泊や簡易宿泊所の問題や、入湯税の使途、更には宿泊税の論議などで、観光コンベンション協会のリーダーシップと観光課の役割が問われている。そうした観点に立って観光コンベンション協会の機能を強化していく道もあるのではないか。

0