令和4年3月議会「清介の一般質問」通告内容
1.2層制の総合計画条例における行政と議会の役割について
@地域主権改革に伴う「義務づけ・枠付改革」により平成23年には自治法が改正され自治体の基本構想策定義務が廃止された。高山市では平成25年に総合計画条例を制定して、それまでの基本構想・基本計画・実施計画及び財政計画の3層性の体制から、基本計画・実施計画及び財政計画の2層性とした。2層性にしたことにより議会が議決する基本計画部分と、行政の裁量に任せる実施計画並びに財政計画部分の棲み分けが明確となり、今後の「まちづくり」の指針たる政策の明示と施策の方向性については議会が責任を持って議決する体制となり、総合計画の決定に即して計画される個別計画についても、総合計画の趣旨に沿った計画となっているか等について議会はチェックしていくこととなったと考えているが
A従前の基本構想の位置づけは、議会がそれを議決すれば基本計画や実施計画及び財政計画はすべて行政の裁量に任せる行政計画という位置づけであり、2層性とした時点で議会はそれに相応しい総合計画の位置づけや計画手法の流れを主導する一方の柱としての行動を求められるとともに、行政側にも議決を経なければ決定できない「自治体計画」という面を意識してその策定や執行に当たるという点を認識しなければならない立場となった。お互いがその立場を尊重しながら計画行政の実を上げる努力をしなければならないのではないか
Bそうした観点から見れば、令和3年度に入って産業建設委員会の協議にかけられた奥飛騨温泉郷地域における「無電柱化計画」や、6月議会へ提案された「高山市駅前広場等の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」については、委員会で認められなかったところである。こうした事例はその審査内容を振り返れば「自治体計画」という意味において、議会とその計画の根幹について十分な協議をせず、「行政計画」という視点でのみ安易に策定して議会に提案してきたものとも認識している。言い換えればお互いが胸襟を開いて政策立案についての背景や経緯について、議会と真摯に向き合ってこなかった結果なのではないか。委員会審査や協議に入る前の過程では詰めの協議はいつでも可能であり、そのプロセスを生かす努力が双方に必要なのではないか
C議会からは平成25年10月28日附で市長に対し「委員会に協議すべきと判断する事項について」の見解を示し、「協議事項」を通じて委員会の所管事務調査の充実を申し入れ、その後、議会運営の検証に伴う申し入れでは、1つとして「協議事項については委員会として責任ある考え方を示すためには論点整理も必要であり委員会開催の1週間前に案件説明を願う」と行政に申し入れたところ、「これまでそうしているところだがよりいっそう丁寧な説明とすることで対処する」との返答があった。また、2つとして「総合計画の主要な関連計画の策定・改正に当たっては、基本計画を議決事件としていることを踏まえ骨子段階で所管委員会へ協議し、委員会の意見の検討結果を報告(場合によっては協議)するよう求める。またその他の個別計画については骨子段階で所管委員長と情報提供の時期等について協議する様求める」としたことについては、「主要計画の策定に当たりましては、現在申し入れに沿った対応としています」と返答があった。こうした申し入れを議会がしてきたという観点から見れば、当時から行政には真摯に向き合うという点において、議会が関与する自治体計画という捉え方が希薄なのではないか。言い換えればまだ「行政計画」のままの意識でいるのではないか
D総合計画を2層性にした事による基本計画の位置づけは、行政にとっても議会にとっても大きな説明責任と議決責任を負う結果となっている。3月議会前に協議事項として取り上げられた「奥飛騨温泉郷活性化基本構想」や「高山駅西地区まちづくり構想」、「下水道ビジョン・経営戦略の見直し」にしても重要課題として捉えており、両者がその説明責任を果たし、議決責任を全うするには風通しの良い関係を維持していく必要性がある。今後アフターコロナの経営戦略も重要度を増してくる中で、計画行政の推進にはお互いの責任で相手の対場を認め合うことなのではないか
2.ベース レジストリ(台帳類)のデジタル化によるビッグデータの活用について
@今回の市民意見交換会でも過疎に悩む支所地域で、高齢者の生活基盤の維持についての要望が多く寄せられた。移動手段の確保であり、買い物支援についての要望であり、防災活動の心配であり、医療・福祉・介護の面での充実であり、地域の支えあいの問題など、課題は山積している。高根地区における「たかね号」の運行など、課題解決への模索や期待は表明されているが、根っこの部分でつながる複数の課題についての解決の道は輻輳している。こうした中でまずは社会基盤としてのベース レジストリ(台帳類)のデジタル化をすすめ、それをオープンなビッグデータとして活用することで複数課題の解決につなげていこうとする動きが出ている。いわゆるスーパーシティ構想の問題であるが
A国は特区制度を使った規制緩和の流れの中で、デジタル化社会の進展を通じて複数の課題に向かうことをその根幹に据えているが、指定都市の選定は大幅に遅れている。しかしその前提は共通プラットホームによるデータ連携基盤の構築であり、ベースとなるレジストリのデジタル化が地域の複数の課題解決に向かって連携できる環境を整えられることは有意義なことであると考える。地域課題に個々に向かっていくよりは根っこのところでつながる複数課題への取り組みに、データベースのデジタル化を通じて有機的に連携できる事は今後のアフターコロナの対応にも有効であると考えるが
Bアフターコロナの政策の柱は、DXの進展に対応する事であり、価値観の変化にも柔軟に対応していく事で、地域に新しい産業を興し雇用を創造していく事と指摘されている。高齢化や人口減で活力が失われつつある地方都市の政策課題として、まずしっかりとベース レジストリのデジタル化に取り組み、オープンなビッグデータとしての活用に道を開くことが必要と認識している。大風呂敷を広げてあれこれ詰め込むよりも、核となる未来への指針を打ち立てその活用を図る事は、いわゆるまちづくりにおける「引き算が際立たせる個性」につながるものと考えるが

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