
このところ震災がれきの受け入れ問題が取りざたされています。きっかけは3月25日付の岐阜新聞のアンケート結果、26日付の市民時報での報道です。岐阜新聞のアンケートは国が進める東日本大震災で発生した岩手、宮城両県のがれきを広域処理する動きの中で、県内各自治体や広域事務組合などにアンケート調査を行ったものです。その中で高山市の回答は「放射性物質を現段階で全国に拡散することに疑問を持っている」というものでした
昨年10月の環境省の調査では受け入れを表明したところはなかったが、今回岐阜県下で27自治体が「再検討」しているとの回答であったと伝えています。それぞれ放射性物質が国の基準以下であることや、住民の理解が得られることなどが前提となっているとも伝えています。これは対象のがれきが岩手、宮城両県の震災がれきであること、木材チップ化した分別済みの消却対象物、空間放射線量となんら遜色のない数値であるなどの国のPR等もあって、世論の動向も変わってきたのかと思います。記事の中では「国の一大事。今私たちが持っている能力を最大限発揮する時だ」という今井白川町長のコメントが目を引きました。
翌26日付の市民時報では「例え国内で高山だけが反対となっても、震災がれきは引き受けない」という市長のコメントが出ましたが、市民の間で賛否両論が巻き起こっているようです。私の元へも意見が寄せられましたが、同僚議員の間でも同様のことを聞いています。又、高山市へも賛否両方の立場で多くの電話がかかってきているようです。
今回国の方針は、都道府県に対応を求める中で市町村の協力を取り付けていきたいようです。昨年6月に広域処理を含めた方針を決めていたようですが、東京都をはじめ都道府県でも受け入れをはじめているところ、愛知県のように県が率先して動いているところなどもあります。また、松江市議会は東日本大震災で発生したがれきの 受け入れを市に要請する決議を、賛成多数で議決したとも伝えられており、全国で様々な動きが伝えられています。
岐阜県の対応はどうなのかと市の担当者に聞いてみましたが、県は自前の処理施設を持っておらず、新たに設備する様な予算もなく、県内の市町村の担当者を集めて環境省の説明会を27日に行った。高山市からは副市長が出席したとのことでした。
ここで賛成反対を言うものではありませんが、高山市は現実の問題としてゴミ焼却施設の対応が出来るのかという問題もあります。今回飛騨市の新焼却施設建設に伴い、これまで飛騨市に委託していた年間約3,000tの消却量を、三福寺の焼却施設に引き取っているのが現状です。それまでの南大野を除く高山市分が約20,000tというところですので、日量100tの処理能力を持つ三福寺の焼却炉とは言っても、余力は少ないと見るべきでしょう。その他には南大野クリーンセンターが年間600t程度処理していますが、週3日稼働というようですので、フル稼働すればという前提も出来ないわけではないようです。もう少し現状の数値なども調べてみたいと思いますが、何といっても未曾有の災害の中で私たちには何が出来るのか、冷静な議論を重ねる中で対応していくべきではないかと思っています。

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