
6月議会が終わった先週の新聞記事からかです。6月27日の朝日新聞は岐阜県下の各自治体議会のの安保法案に対する対応を報じていました。「安保法案割れる議会」という見出しの記事でした。
県下で可決した自治体は5(高山市、多治見市、美濃加茂市、海津市、輪之内町)、否決・不採択は11(岐阜市、大垣市、関市、中津川市、瑞浪市、恵那市、各務原市、可児市、下呂市、関ヶ原町、北方町)という色分けの中で、他の自治体議会の対応も詳しく報道していました。
可決議会では多治見市議会の例、高山市議会の例を報道、否決の例としては岐阜市議会の内部事情を報道していました。高山市議会は「廃案を求める意見書の提出を求める請願」を文教産業委員会で審査したのですが、請願に添付された署名数は17という状況、様々な意見がある中で国会で審議されているさなかの状況などから請願そのものは不採択としました。
請願権は国民に保障された権利であるとはいえ、こうした形で意見書の提出を求めるというのは、疑問が残るところです。請願文書は議会が勝手にいじるわけにいかないものであり、そのまま高山市民を代表する形での意見書とするのは多くの議員の合意が得られないところでもありました。
高山市議会基本条例は、議員間の自由討議により合意形成に努める議会運営を規定しています。こうした請願という形で決めつけるよりも、意見書案を議会運営委員会に提出すれば、各会派その提案を持ち帰り、どういう形であれ持ち寄った会派の考えにより議論し、合意形成を図る事になります。高山市の文教産業委員会は担任事務という事から今回審査を行いましたが、一昨年「高山市平和の日」制定を審査した経緯があります。そうした事もあって委員会が慎重審議を求める意見書案を提案し、議会運営委員会の決定を経て最終日可決に持ち込みました。
今年度私は議会運営の課題として、議員間討議(自由討議)の活発化を訴えて議長選挙に臨みました。初日に続く⒉日目の委員会では上程案件に対する論点整理を行っています。この中でも活発に請願に対する意見交換をさせて頂いています。そうした活発な意見交換があって審査/
審議の議論が深まると考えます。引き続きこの課題に対してはチーム議会として真摯に対応していきたいと思っています。
もう一つの記事は岐阜新聞6月28日の「素描」欄に高山市図書館「煥章館」館長 打保秀一さんが書かれた「大人の教養」と題する一文です。「おとなの教養」という池上彰さんの著作を引用して現代の情報リテラシー(情報活用能力)習得の必要性などが語られています。
・アメリカのエリート大学はすぐに役に立たなくてもいいことを教える。すぐに役立つことは世の中に出てすぐに役立たなくなる。
・本当の教養というのは、長い人生を支える基盤になる。
・基盤がしっかりしていれば、世の中の動きが早くてもぶれることなく自分の頭で物事を深く考えることができる。
という池上さんの文の引用部分。
・教養とは人格形成や社会改良のための読書で、読むべき本をどれだけ読んでいるかを問われました。
・それ以上に教師や友との濃密な人間環境の中で切磋琢磨して身に着けていくのが教養であると思っている。
なかなか蘊蓄のある言葉が続く一文でした。
このところ地方創生で人口推計やら地方版総合戦略の策定やらで、国に尻を叩かれ続けている感のあるこの頃ですが、いくら国が地方へは金も人も情報も出すといっても、それに躍らされるのではなく、自分たちの自治体に必要な政策は何かを見極める力がいるという事ではないでしょうか。しっかりと地に足の着いた政策を策定できる司令塔の力量が試される時であり、大きな時代の転換点に向かっているという使命感も必要と感じています。
行政は有識者会議等を活用して9月には地方版総合戦略を策定すると言っています。昨年度高山市第八次総合計画を策定したばかりです。こうした会議でどこまで議論が深掘りされるのか、短い調査機関でどこまで緊張感を持った議論ができるのか注目していきたいと思います。
高山市の地方版総合戦略がどのように策定されるのか期待して待ちたいと思いますが、今後七月の月例委員会から各常任委員会も今年度の調査活動に入ります。その点も踏まえ活発な独自の調査活動に期待したいと思います。

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