読書の秋だから、たまには
本のことも書こう。
今は、
「映画秘宝」のムックぐらいしか買わないが、学生時代はよく本を読んだ。
「怪盗ルパン」シリーズは6年生で読破し、中学高校と
推理小説とハードボイルドが好きだった。
ハメット「マルタの鷹」、チャンドラー「長いお別れ」、ギャビン・ライアル「深夜+1」、ミッキー・スピレイン「俺が掟だ!」、生島治郎「追いつめる」、藤本義一「やさぐれ刑事」と、全て映画がらみだったが、バイブルとなったのは、やはり
大藪春彦の「
野獣死すべし」か。
もともと大藪を読もうと思ったのは
梅川昭美の新聞記事を読んだのがきっかけ。
(
「西村寿行はエロすぎる。」は
『TATOO<刺青>あり』でもちゃんと、宇崎と原田芳雄で再現している。梅川のもうひとつのキーワード
『ソドムの市』も
パゾリーニの遺作だ。)
リアルな拳銃の描写、強烈な暴力とsexが、当時の青臭い高校生を狂喜乱舞させ、
角川や徳間の単行本を図書館で借りて(金がないので買えない)、「復讐の弾道」「野獣都市」「処刑の掟」「死はわが友」「ウィンチェスターM70」「傭兵たちの挽歌」「唇に微笑、心に拳銃」と猛烈な勢いで読みまくる。
松田優作主演の2本の角川映画化は、その直後になるが、
前にも書いたが<
優作色>が強く大薮の原作とはかなり印象が違う。
むしろ角川春樹本人が監督した
『汚れた英雄』が、最も原作の雰囲気に近い。
そんな中で読んだ1冊が、
矢作俊彦の「マイク・ハマーへ伝言」。
矢作は、大友克洋の「気分はもう戦争」の原作者でもあり、もともと漫画家。
日活アクションの熱烈なファンで、初監督となったアンソロジー映画
『AGAIN』は、<エースのジョー>と
幻の男(裕次郎?)の対決を縦軸に、なつかしい映画の名シーンをおりまぜ、それをTV放映でしか観てない我々世代をも魅了した。<同系統の
『ちゃんばらグラフィティー斬る!』(監督の浦谷年良は、後に
『誰も知らない』のプロデューサー)より数倍オモシロイ!>
で、矢作俊彦が、日活が<
東映Vシネマ>に対抗して作った<にっかつビデオフィーチャー>の監督で、本格デビューするのが
先週
Vパラダイスで放映されてた
『神様のピンチヒッター』 。
企画プロデューサーに
『チ・ン・ピ・ラ』の川島透が入っている。
自身が監督してるので、原作に忠実、
雰囲気は最高にいいんだが、いかんせん江口洋介以下の出演者があまりにTV的。
事故で大怪我したヒロイン(秋吉満ちる)に安らかな眠りを送る完全犯罪が、
金持ちのボンボンの遊びにしか見えないのがつらい。
文章を読むのは想像力だけど、映画はそれを具象化してしまうのが難点か?
ハードボイルドの映像化って難しいね、内藤さん。
オークションしたいひとは、こちらを見てね。
ちなみにパッケージにある
<ハードボイルド・アクション作家シリーズ>の第2弾は
石井隆の
『月下の蘭』(ラストロマンポルノ
『天使のはらわた赤い眩暈』の次なので監督第2作、また同シリーズ第3弾以降があったかどうかは不明)

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