ハードボイルドの続きね。
一般的に刑事や私立探偵、殺し屋なんかが登場したら、<ハードボイルド>かと言ったらそうじゃない。
<ハードボイルド>とは精神の問題である。
学生時代読んだ数多のアウトローたちの生きざまは、血となり肉となり、この体に染みついている。
フィリップ・マーロウの「プレイバック」での有名な台詞、
"If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive."
生島治郎は、
「男はタフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」と訳した。
<gentle>が<優しさ>かというと、この世知辛い現代では疑問符がのこるが、
東京都知事が、かつて自分の戯曲で
「狼は生きろ!豚は死ね!」といったように
<タフ>でなければ生きて行けないのは確かだ。(村川透
『白昼の死角』のキャッチにも使われた。)
最近は、特に<タフ>に生きようと思ってる。
法律の外(outlaw)じゃなくても、学生にも、サラリーマンにも、私の様な中小企業の社長にも
そのひとの、(それなりの)
<ハードボイルド>が存在するはずだ。
(カウリスマキ映画なんか労働者のハードボイルドじゃない?)
ということで今日は、北野武監督の
『3-4X10月』 。
深作の代打だった
『その男、凶暴につき』と違い、
初めから
登板(脚本監督)が決まってるので、後の
<Kitano Blue>の全ての要素が詰まっている。
(柳ユーレイの主人公は、今だったらビートたけし自身が演じただろう。)
北野監督の得意球は、内角スレスレのビーンボール級の暴力。それも牽制なしに
イキナリ来るのが一番怖い。
バイクで2人乗りしてる主人公たちを冷やかす車のドライバーたちは、前方の車にいきなり衝突する。
沖縄に流れてきたヤクザ役のたけしは、カラオケの最中、相手の頭をビール瓶で殴る。(しかも、
トドメをいれて2度)
拳銃・自動小銃は、突然暴発!登場人物たちは、次のシーンでは言ってたことの反対をシテイル。
不条理の中に変なリアリティがあるが、根底に流れるのは、野球少年たちのハードボイルド精神だ。
北野武的狂気を端的に表現している台詞を、大学時代読んだ小説の中から紹介して、
この項を〆たいと思う。
「復讐の最大の快感は、相手が忘れた頃に完膚なきまでにやることだ。」
マリオ・プーゾ
『ゴッドファーザー』より…
オークションしたいひとは、こちらを見てね。
北野武監督の
『あの夏、いちばん静かな海。』のビデオもあるよ。

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