テアトル梅田で、
『ミスター・ロンリー』の予告編を観た。
M・ジャクソンのそっくりさんの男の子とモンローのそっくりさんの女の子のラブストーリーに
ボビー・ヴィントンの同名曲が流れる。
びっくりしたのは、
チャップリンのそっくりさんを
ドニ・ラヴァンが演っていたこと。
あの頃の面影はもうない。
そう
<アレックス>の頃。
「疾走する愛って、あると思うかい。」
映画館ではじめて観た彼はそう云って暗がりのパリを心臓が張り裂けんばかりに
全力疾走した。
流れるはデヴィッド・ボウイの
<Modern Love>。
ゴダールの再来といわれたレオス・カラックスの日本初登場
1986年
『汚れた血』のワン・シーン。
STBOという奇病に犯された都市を舞台にしたネオ・フィルムノワール。
ラストに
飛行機走りするジュリエット・ビノッシュより、
ふられてしまう
可憐なバイク少女ジュリー・デルビーのほうが印象に残る。
ドニ・ラヴァンの主人公は、それこそヌーベル・ヴァーグのベルモンドのように
全力で生き、
そして死んでいった…
製作はその前になる次の
『ボーイ・ミーツ・ガール』での
ミレーユ・ペリエの
人妻に恋するアレックスも忘れられない。
で今日の紹介は、カラックス監督の<アレックス3部作>の最後、
『ポンヌフの恋人』 。
総制作費
1億3000万フラン(約32億3000万円)、丸3年の期間がかかり、
製作会社を2つ倒産させた。
当初は
本物の橋で全面交通規制の許可を得て撮影するはずだった。
撮影許可が無駄になってしまったのは直前にラヴァンが事故にあったため。
監督は
代役での撮影を拒否した。
それだけ自身の分身(カラックスの本名はAlexandre Oscar Dupont)ことを思っていたのだ。
結果、セーヌ川を作り、土手を作って護岸工事をし、橋を作り、街を作り、フランス映画史上、最大のオープンセットが建設され、この映画は
<呪われた映画>となった。
以後、ラヴァンを観たのは2004年の『ロング・エンゲージメント』の殺される兵士のひとりまでなかった。
今回予告編を観て、アレックスも
おっさんになってしまったなと正直自分の年も感じる。
ふと思い出すと彼が演じるチャップリンの
『ライム・ライト』のテーマ曲が
『汚れた血』で流れていたような…。
このオークションは終了しましたした。
デルピーが出演している
『トリコロール/白の愛』のビデオもあるよ。

0