国際劇場のつづき。
深作の息子の
『エクスクロス魔境伝説』が、
プリキュアの後のレイトショーで<国際シネマ>でやっていたので、
応援の意味も込めて観に行く。
B級ホラーテイストでなかなか面白かったね。
主演の松下奈緒もスクリーミングヒロインらしく
十字架にはりつけにされて殺されそうになったり、仕事がなさそうな鈴木アミーゴが
糞尿まみれになって
『シザーハンズ』小沢真珠(最後は
『ターミネーター』みたいになる。)と
チェーンソーで対決するのは笑ったね。
<それから、
拓三の息子もやっぱり出てた。>
さて、この映画も携帯電話が
重要なアイテム。
現代社会の生活に欠かせないものだが、その
歴史はまだ浅い。
映画の中でそれを見た最初の記憶は、確か
『極道の妻たち』で、
岩下姐さんが、子分が肩に担いだ大きなバッテリーのバカでかい黒電話(昔はそうっだった。)を受けるところだった。
しかし映画上、これはそのスジのひとたちが使ってる
単なる小道具のひとつ。
『着信アリ』シリーズのように、映画の構成に直接かかわるようになったのは、筆者の記憶では
このB級アクション映画が最初だと思う。
というわけで、今日の紹介は、ウォルター・ヒル監督の
『トレスパス』 ね。
廃工場に隠された純金を探す主人公たちと、偶然そこで仲間を殺した
黒人ギャングたちの対決を描いたアクション映画。
ラッパーの
アイスT扮するGANGたちは、当時珍しかった携帯電話を持っている。
Vシネマでもおなじみだが工場を舞台にしたアクションは、縦横に広く隠れるところも多いので
空間論をどう描くかがポイント。
そこに
どこにいても連絡がとれる携帯電話が絡むことにより、設定が
二次元的になった。
トラップや戦況の情報伝達がすぐにとれることにより、そこにからめた
サスペンスも生まれる。
鑑賞当時(1992年)は、なるほどなと思ったが今考えればごく
普通のことなんだけどね。
製作総指揮・脚本に
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロバート・ゼメキスが入っている。
当時の携帯電話は、まだ
SF感覚だったんだろうね。
監督は、ペキンパーの流れ(
『ゲッタウェイ』のライター)を汲むウォルター・ヒルだが、
前に紹介した『ストリートオブファイヤー』や初期の傑作
『ザ・ドライバー』『ウォリアーズ』にくらべてキレ味は悪い。
(この頃のヒル監督作は、ミッキー・ローク
『ジョニー・ハンサム』や
『48時間PART2/帰って来たふたり』とどうしょうもない作品ばかり。)
でもスターで客を呼ぶのではないアイディア満載のB級映画こそ
<時代の鑑>。
当時の世相や風俗は、必ずそこには現われている。
<予算の関係もあり日常にあるものを使う。>
オークションしたいひとは、こちらを見てね。
ウォルター・ヒル監督の面白い、
『ザ・ドライバー』と
あまり面白くない
『ダブルボーダー』のパンフレットもあるよ。

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