「非行少年にもなれなかったし、非行中年にもまにあいそうにない。」
映画
しつこく、
『暗くなるまで待てない!』。
撫子を
<もっといいの映画>の世界につれていく、ヒゲに帽子の
あやしげな監督。
大森一樹自身が演じているが、このモデルもあのヒトだ。
「あの娘イイネ。桃井かおりよりイイ。」
「秋吉久美子よりいいよ。今度の映画のヒロインは彼女だ。」
そう
『赤い鳥逃げた?』(同じようなシーンもある。)や
『赤ちょうちん』のことをいっている。
藤田敏八、通称
パキさん(助監督時代に、西河克己から「
パキスタンの皇太子みたいな顔をしているね」と言われたことに由来する。)のことだ。
<撫子がスカウトされて出演する映画は「マリリン・モンロー、ノーリターン」という。初めの講演会に出てた
野坂昭如原作
『バージン・ブルース』の続編か?>
で、今日紹介するのは藤田敏八監督の
『海燕ジョーの奇跡』 。
優作+深作コンビも狙っていた、佐々木隆三の同名ルポをマニラロケを含めて時任三郎で映画化。
でもパキさん色より製作の
奥山和由の色のほうが強い。
同じ奥山製作の
『南へ走れ、海の道を!』(和泉聖治監督・岩城滉一・安田成美)と、
よく勘違いされる。
この映画のヒロインは当時の奥山の愛人(?)藤谷美和子だが、それこそ
撫子のほうが演技もうまくて魅力的だ。
デビュー作
『非行少年 陽の出の叫び』から、一貫して
青春映画を撮り続けたパキさん。
封切で観たのは、森下愛子二部作あたりからだが、
毎日ホールでやっていた
<映像のロマン>や特集のオールナイトなんかで旧作をよく観たな。
何処にいるのか分らない者<警官?>に撃たれる梶芽衣子
『野良猫ロック ワイルドジャンボ』。
籠城の砦の爆破のあと、子供ひとりだけ歩いてる
『野良猫ロック暴走集団´71』。
行先もしれず漂い続けるヨット
『八月の濡れた砂』。
車ごと焼きトリにされる
『赤い鳥逃げた?』。
奥田英二の唐突な死と落下するラジコン飛行機を見る高沢順子
『もっとしなやかに、もっとしたたかに』。
永島・森下の自殺ゴッコの果てと海辺にたたずむ小林薫
『十八歳、海へ』。
カメラを向けられて、銃をつきつけられたように手を上げる山崎努
『スローなブギにしてくれ』。
ロッポニカのラストフィルムとなった遺作の
『リボルバー』まで
何かが終わって、何かがはじまる。そんな余韻のラストが多かったな。
まあ、
それが青春映画ってやつかもしれない。
オークションしたいひとは、こちらを見てね。
パキさんの名づけ親、西河監督の
『エデンの海』のパンフレットもあるよ。

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