引き続き、
『暗くなるまで待てない!』
佐倉先輩が大学の前で撒いているのは、
<鈴木清順の5本立>のビラ。
たぶん特集の
オールナイトだろう。
映画では、
福原国際東映(現ピンク映画館・当時は旧作日本映画各社取り交ぜの5本立だった。)で、
監督本人が
舞台あいさつしているところが映されている。
殺し屋について語っているから、特集のトリは
『殺しの烙印』のはずだ。
(この映画はオールナイトの明け方に見るのがBEST、筆者も今津文化で観た。)
ギャビン・ライアルの
「深夜+1」をモチーフ(
モーゼル銃や主人公が殺し屋NO.3であるところ)にして、
殺し屋の存在意義<リーゾンレーテル>を唯一描いた、
日本ハードボイルド映画史上に残る最高傑作。
こないだ京都造形芸術大学の
宍戸錠映画祭(エースのジョーは清順先生と呼んでいた。)で再見したが、
21世紀になった今でも
モダンで、いつみても素晴らしい。
(これについて書かれた文章を読んだことがないので一応書く。
ラストの対決でジョーさんがヘアバンドをわざわざするのは、NO.1は必ず眉間を一発で撃ち抜くための弾よけね。)
で今日は鈴木清順監督の
『ツィゴイネルワイゼン』 のアートシアター。
昨日書いたパキさんが俳優として主演です。
サラサーテが演奏中にしゃべってるからはじまる不条理劇だがよくわからない。
大谷直子の作る
<ちぎりこんにゃく>の鍋がおいしそう。
東京では製作の荒戸源次郎が
ドームシアターで公開したが(シネマ・プラセット第1回作品)大阪では
ATG系の三番街シネマ2だった。(この後の
『陽炎座』は南港にドームが来たけどね。)
シネマ・プラセットは大阪未公開のものもあり(内藤誠
『時の娘』・長嶺高文
『ヘリウッド』)清順の再評価と
阪本順治の発見
『どついたるねん』だけが記憶される。
(後に荒戸自身も
『赤目四十八瀧心中未遂』等で監督にもなる。プラセットのラインナップには、
大和屋竺監督作も入っていたけど。)
清順監督は、『殺しの烙印』の発表の1967年
「わけのわからない映画を撮る」との理由で日活を解雇される。
復活するのは10年後の
『悲愁物語』。
『地上最強のカラテ』で空前の大ヒットした
三協映画製作で
梶原一騎原作の女子プロゴルファーの
スポ根もの。
でもこのへんから、
本当に「わけのわからない映画」になっていく。
(『殺しの烙印』のリメイクと云われた最近の
『ピストルオペラ』もダメだったな。)
さっき書いたが筆者にとって『殺しの烙印』程、わけのわかる映画はない。
『東京流れ者』の白い部屋での白いスーツの渡哲也。(黒沢直輔は
『愛獣・襲る!』で青い部屋の青いレインコートの泉じゅんで再現。)
『関東無宿』の小林旭の襖が倒れた後に広がる風景。
『花と怒濤』の雪の迷路。
『肉体の門』の強烈な色彩や
『けんかえれじい』のリリシズムも忘れられない。
鈴木清順は、単なる
優れたB級映画作家だったように思う。
それをある意味神格化して、実際
<仙人>みたいになってしまったのは、われわれ映画ファンにも責任はないか?
オークションしたいひとは、こちらを見てね。
鈴木清順の監督作、小林旭主演の
『関東無宿』のビデオもあるよ。

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