BLUESPRINGおわりました。
ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
今もまだ、ずっと音楽が頭の中で回っています。
段取りを刷り込んで、それを身体感覚に、馴染んできたのは3日目ぐらいからか。あと、一週間欲しかった。いつもどおり、、、。
今回、衣装替えが、ちとおおかった。
中学生徒、美術の先生、体育(?)兼生活指導の先生、サザエ一家のタマ、そしていつも一瞬の銭形警部。5役。
タマ、体育の先生、すぐ銭型そしてまたタマ、と衣装の早替え、裏に回ればほとんど全力疾走。
はじめはただただ服を着替える段取りを追うことでいっぱいだった。
けれど、そのうち、ちと感覚的に変わっていった。
いろいろな役を演じるのは、自分の中で平行に流れていてるいくつかの川を飛び移るような感じになっていった。
学生の川には夏でも冷たい澄んだ水が、美術の先生には黄色とピンクと紫のマーブル、タマの川には白い水、銭形のとっつぁんには濃い色の川が、流れていて電車のレールを替えるように、役を替えるたびにざぶんと体が染まる。
そしてその川は常に平行に流れている。
磯野家やルパン一家の流れを横目で見ながら体の色を変えていく。
ひとつひとつの物語の流れは他の共演者との流れにリンクし物語を作っていく。
うらんちゃんとの稽古でおもしろかったのは、各キャラクターとそれらが置かれている状況、設定について話すこと。
幸福な家庭を演じることが求められている磯野家。
でもカツオはもう中学生。なのに、半ズボンをはいて、かつらをかぶり、小学生を演じさせられている。学校に行けば、そんな姿をネタにいじめにあう。
でも同時に思春期の少年らしくカオリちゃんの髪のシャンプーの香りに、甘酸っぱく、モヤモヤしちゃう。
そして、実は腹違いの兄弟だった、ルパンとカツオ。
自由に生きていくことを選んだルパンと一味。そして自由を選ぶ人たち。しかし、ルパンたちは自由な泥棒家業と同時に、常にいろんなものに追われている。スリリングな毎日と引き換えに明日もわからない命。
ん〜自由、、、。
ルパンの生き方を遠くで見送りながら、将来の像を頭の中に描けない自分、家庭内のサザエの混乱やワカメの家出などが重なり、状況がわけがわからなくなり、バットを振り回しているうち母ふねさんを殺してしまうカツオ。
そんななか、タマは、ただ猫としてそこにいるのではなく、タマを演じようとしてきた。たとえタラちゃん(幼児はどうぶつだからね)の理不尽な動物虐待にあったとしてもそれに歯向かうこともなく。(だから動物はこどもがきらい。)ときどき、猫じゃらしのようにアトラクティブなアクビちゃん気を取られて乗り換えたりしながら。
しかし、タマはタマなりに見ている。草むらから、屋根の上から、ブロック塀から、そのシチュエーションを、この世界を。
カツオの夢(妄想?現実?)の中、イケメン高校生と次々あそぶカオリちゃんや、バイクで死んだ同級生を呼び込み登場させる、タマ。
放火して燃え上がる学校。立ち尽くすカツオ。
過ぎていく同級生たちの幻影。
見つめる老人たち。ベルリンの天使のように。
灰が降ってくる。
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ときおり、ブロック塀のうえ、あくびしてる町のノラ猫が横目で、ふ〜ん。とこっちを見てる。
世を見わたした末にオレはこの生活選んでんだにゃ、と。
そういえば、ぼんやりとおもいだした。
稽古の最初にうらんちゃんと話したっけ。
それを選んだひと、選べなかったひとの物語。
なにを選ぶのか。
答えの出ない僕らはまだ青い。

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