映画『
善き人のためのソナタ』をDVDで観た。
面白さ 3.0
お薦め度 4.5
ゲルマニウム分溢れるドイツおたくの方々は既に多くの方が観ているとは思いますが、未見の方には是非お薦め。
大雑把に言うと
『
グッバイ、レーニン!』の
シリアス版と言うか、
『
戦場のピアニスト』の
東独版と言うか、
『
ベルリン・天使の詩』の
国家保安省版と言うか、
…そんな感じ?
エリートから郵便配達員へ格下げになった
ヴィースラー大尉がおいらには『グッバイ、レーニン!』に登場する元宇宙飛行士のタクシードライバーや『ベルリン・天使の詩』の人間になった天使に重なるっス。
派手なドンパチやアクションはありませんが、腐敗した権力による監視社会のいやらしさが告発されており、痛々しくてある意味とても怖い映画です。
この映画を観ると、世間一般の
旧東独に対する認識は大変に甘かったのではないか?と考えさせられてしまいます。
「
東ドイツ」ってゆーのは「
左のナチスドイツ」、「
国家保安省(シュタージ)」ってゆーのは「
東独のゲシュタポ」、ってゆー印象を持ちました。
ホーネッカーってヒトラーよりは小物ですが、内政においてはその監視体制の狡猾さやいやらしさはヒトラーのナチスドイツと同等か或いはそれを凌駕しているのではないか?という感想を持ちました。
「
全体主義者に左右の違いなんかあるものか!やってることは同じじゃねーか!!」と感じます。
今の世の中には戦中への軍国回帰や
全体主義への回帰現象があるのではないか?と個人的には常々危惧しておりますが、現日本国を旧東独のような全体主義国にさせない為にも、より多くの人がこの映画を観るのが望ましいとは思います。

ただ、女の人にとっては辛くて痛くて悲しい映画なのかも…。
以下、おいらの物凄く無粋でヤボな感想です。一部ネタバレアリかもです。
本当に無粋でヤボな感想です。
この映画の物語自体は儚くて美しいドラマに仕上がっております。しかしこの映画の物語自体については大人げないかも知れないですが、おいらはあまり迂闊には感想を語りたくないです。
この映画の物語自体は切なくて儚くて美しいドラマに仕上がっておりますが、この物語はある程度事実を元にしているのではないか?ということと、その事実が映画用にかなり都合よく脚色されているのではないか?という疑念を個人的に持ったからです。
この映画のドラマが全くの作り物なら、あのブタ権力者こそ死ぬべきだし、ブタ野郎の惨めな死を面白ろおかしく滑稽に描いてこその娯楽映画だと思います。

しかしそれが敢えて描かれていないということは、このドラマがある程度事実に即しているからなのではないか?と考えてしまいます。
また女優がシュタージの中佐を篭絡しようとする場面は本来不要なのではないかと思います。
それを敢えて入れたということは、事実の方はドラマと違って女優と大尉との間にも何らかの取引があったのかもよ?ということを観客にそれとなく匂わせるためなのではないか?と個人的には思えてしまったからです。
もし仮にそうだとして元になった事実があるとしたら、それはこの映画の脚色ほど儚くも美しい訳ではなく、もっと生々しくてドロドロしたものだったのかも知れないと思えてしまうからです。
たとえ仮にそうであったとしても、多くの人が観る映画にするのなら、美しく見せるのが大人でしょ?とドイツ人に諭されたら、まぁ納得するしかないのですが…。
権力の上にアグラかいてる欲ボケのブタは論外としても、権力を批判する前鋭芸術家だけでなく権力を守ろうとして芸術家としのぎを削るシュタージの男もまた、女優にとってはもしかしたら魅力的だったのかも?と考えると非情に複雑な気分になってしまいます。
もしかしたら事実を映画用に都合よく脚色しているのかも知れないこの映画の中のドラマについては、とてもじゃないけど気軽に感想を語る気分にはなれないです。
以上、大変に無粋でヤボな感想でした。
・・・ところで私はこの映画のあるブタな登場人物のことをブタブタ言って、本物の動物の方の豚さんたちの名誉を著しく傷つけてしまいました。

そのことをここに謝罪したいと思います。豚さん、本当にゴメンナサイ。m(_ _)m
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