オリバー・ストーン監督の映画『
ブッシュ』のDVDを借りて観た。
以下、ごく個人的な5段階評価&感想等を少々。
面白さ 3.0
観るべき度 4.0〜4.5
社会風刺度 5.0以上
ことの重大性にも拘わらず「トホホ」感の漂う内容には、あまりカタルシスは感じられませんでした。
また、秘密結社入会のイニシュエーションや
テレビ伝道師・
メガチャーチ等の日本人には馴染みの薄い米国内の描写もあり、あまり日本人向きな作品とは言えないのかも知れません。

とは言え、2000年代以降の今日までの世界情勢に最も影響を与えた人物を題材としている作品なので、現代の大人的には観ておくべき映画かも?とも考えます。
そのような理由で、
個人的には面白さを低めに,観るべき度を高めに評価したいと思います。
第43代ブッシュ前大統領とその政権や戦争を批判した映画は、直接にせよ間接にせよ,名指しにせよ暗喩にせよ、世の中には沢山あると思います。
この『ブッシュ』というオリバー・ストーン監督の映画も、それらの1つだとは思います。
それらの作品の多くはブッシュ政権の戦争政策に対する批判を物語の中に暗喩として織り込んでいるか、或いは本人を名指しして面白おかしく笑い者にしたりする作品が多いようにも感じます。
しかしこの『ブッシュ』という作品がこれらの作品とは決定的に異なる大きな特徴は、ブッシュ前大統領の生い立ちからその半生を描く中で、ブッシュ前大統領個人に対する憐憫の情や憐みの心に満ち溢れている点だと思います。
他の
ブッシュ批判映画とはこの点が大きく違っているのだと思います。
立派すぎる父親と出来過ぎな弟を持ち、自己の能力よりも大きな自尊心を周囲の環境によって持たらされると、心の持ちようとかがいろいろと大変なんだろーなぁ、とは思いました。
親は子供を心配する一方で,子供は親を見返すことに頭が一杯、と言う家族にも見えました。
自分の親がよそ様のごく普通のご家庭よりも特別に立派すぎる場合は、その子供は必ずしも無理をしてまで親を越えようとしなくても良いのではないか?とも考えさせられてしまう映画でもありました。
キャスティング的にはブッシュ役の役者さんが実物よりも格好良いのは役者だから仕方ないとして、
チェイニー前副大統領は物凄く似てました。ただ実物の方が恰幅良くて脂ギッシュかと。実物の方は多分この役者さんよりもいいモン食ってるからかだと思います。
カール・ローブ役の方は役者として良い味出していると思います。その中にあって
ラムちゃん役の方は実物とはだいぶ外見が違ってたなぁ。
41代パパブッシュもあまり似てなかった。パパブッシュは実物の方がハンサムかも?
映画にはたいがい悪役が登場するものですが、ブッシュ氏以外の他の登場人物が悪役っぽく描かれているようにも感じました。
ムッソリーニと
ゲーリングをたして2で割ったような千ぇ○二一や
ヒムラーと
ゲッペルスをたして2で割ったような口一○゛、
『
博士の異常な愛情』に出て来る“「ハイル・ヒットラー」な博士”のような長官、
イエスマンなおべっか使い、インチキ臭〜い伝○師等(もうこれ以上は怖くて書けないっス)、
ボスを諌めないばかりか寧ろボスを煽ってなりふり構わず戦争に驀進する側近達に、怖さを感じてしまいました。いーヤツは
コリンだけ。
「
神輿は軽くてパーがいい」とは近年の日本のある政治家の言葉だそうですが、担ぐ神輿は軽くて世間知らずの甘ちゃんのお人好しで、ツケ入る隙のあるボスの方が担ぎやすい、と言う視点で側近達が描かれているようにも思えました。
一部ではこの映画に対して、「ブッシュ前大統領はあんなにカッコ良くない」とか「あんなにモノを考えてない」とか「そもそもあんなに悩めない」等々の批判もあるやに聞きます。
しかし、もし仮にそーだとしても、その通りに映画で描いてしまったらエンターテイメントの商業映画としては成り立たなかったのではないか?と個人的には考えます。
どちらかと言えば
胸クソの悪い映画ではありますが、大人的にはいろいろな意味でお薦め度が高いと思います。
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