映画『
靖国YASUKUNI』については公開当時の7年ほど前に、政界も含めて世間でひと悶着あった頃に当ブログでも触れました。

その後、個人的には3年前の冬にDVDでチェックしましたが、その時にはレビュー等をUPする気分にはなれませんでした。
ただもう公開当時から何年も経ち、今は季節的にもちょうど良いので、今回この機会に感想等をUPして残しておきたいと思います。
この映画は中国人の監督が撮った作品なので、日本人の立場よりは一歩引いた客観的な内容と視点になっているかと感じます。

かといって決して中国寄りという訳でもなさそうです。一外国人の立場から客観的に靖国神社を取材したドキュメンタリー映画なのだと感じます。そしてなお且つ靖国神社を充分に宣伝するに足る内容でもあると思います。

その意味では靖国初心者の方々(特に海外や地方に在住の方々)には入門編的なフィルムとしてお薦めかと思います。
この程度の内容でなぜ公開当時に特定の政党筋から政治的圧力がかかったのか?個人的には甚だ理解に苦しみます。
・・・自分なりに推測するに、理由は2つ考えられるかと思います。

1つには“
釣り”、

2つ目は“
右翼度不足”
という所かと思います。

1つ目の“
釣り”については、この映画は靖国神社自体の宣伝フィルムにもなっているので「政治圧力をかける」という
政治ショウを見せることによって、ニュース等で報道させて話題作りを仕掛けたのではないか?とも思えます。

少なくとも個人的にはそう感じたので、DVDを観た直後にはレビュー等を書く気にはなれませんでした。
あからさまな“釣り”に乗って喧伝に加担する気分にはなれなかったからです。感想等に触れるのは「もっとホトボリの冷めた頃に」と考えておりましたので、何年も後の今になってUPした次第であります。

2つ目の“
右翼度不足”については、圧力をかけた政治家のセンセー方は右肩に力が入り過ぎているのではないか?と感じます。「右肩の力をもっと抜けば?」と思います。
この映画は中国人の監督が撮った割には靖国神社の宣伝フィルムにもなっておりますが、と同時に、この映画に描かれている靖国神社の描写が、立場によってはウヨ過ぎたりサヨ過ぎたりして違和感を覚える人もいるかとは思います。
そして、トクテーのセンセー方にとっては“
右翼度”,“
愛国度”がまるで足りなかったのでしょう。
しかしこれ以上に内容をウヨウヨさせたら、
カタギのシロート衆や
ノンポリの般ピーがドン引きする恐れもあるかと思います。外国人をも含めた般ピー向けのドキュメンタリー映画としては、右翼度をこの程度に抑えた内容は妥当であり、ちょうど良いくらいではないかと個人的には思えます。
政治家たちが圧力をかけなければならないほどの内容では決して無いと思います。
公開当時のあの騒ぎは一体何だったのか?やはり“
釣り”でしかなかったのではないでしょうか?
ごく個人的な希望としては、「日本における靖国神社」がドイツにおけるナチス廟の類とどう違うのか?という辺りにも踏み込んで説明して欲しかったと思います。その点は物足りなく感じます。しかし中国人の監督さんには日本の為にそこまでしてあげる“お義理”は無いのでしょう。

その説明は靖国神社自身が世界に向けて英語で為すべきことだと思います。
その際にはヒットラーやナチスの同盟者(或いは同盟者達)を分祀しないと、説得力には欠けるかと思えます。
画面的には「爺さん爺さん、コスプレ会場は夏コミやでー」って感じの所が微笑ましかったりパンチが効いてたりして、絵的には面白い所でした。
終盤に登場する自称カリフォルニアの不動産業者は、何処をどー見てもカタギのシロートやノンポリの般ピーには見えないでしょう。海兵隊辺りの職業軍人上がりで、副業として某諜報機関の下請けで強行偵察の観測気球役を務めていたようにも見えます。(と思うのは、深読みし過ぎ?)
カタギのシロートやノンポリの般ピーは決してあんなマネをしてはいけません。命取りにもなると思います。
彼の場合はプロの玄人で“宗主国”の諜報員っぽくも見える外見だったから大怪我をしないで済んだのであって、日本人のカタギのシロートやノンポリの般ピーが同じようなことをしたら間違いなく大怪我をさせられていたであろうと思います。
ごく個人的な感想としては「
触らぬ神に祟り無し」といった所であります。
特定の思想の人たちがコーフンして集まる日などに、カタギのシロートやノンポリの般ピーが冷やかし半分で首を突っ込むのは大怪我の元だと思います。
靖国初心者の人が靖国神社を訪れるのなら、まずは特に何も行事の無い平穏な日に訪れて、“場慣れ”を重ねることが肝要かと感じました。

靖国初心者の方が特定の日にいきなり行くのは、リスクが高いかと思います。子供は連れて行けないでしょう。

(外国の方々の場合はなおさらかと感じます。)
おいら自身は東京モンなので靖国神社には過去に(特に何の行事も無い時に)何度か行ったことはありました。
ただ個人的には、血を見るような騒然とした宗教施設にはあまり近寄りたくはないかナー(少なくとも、そーゆー日には)。「触らぬ神に祟り無し」だと思います。
その辺りのことも含めて、この映画は靖国初心者の方(外国人も日本人も)にはお薦めかと思います。

しかし既に靖国神社に慣れ親しんでいる方々にとっては、「余計なお世話」的なフィルムでもあるかとも感じました。
最後にこぐ個人的な5段階評価を。
お薦め度
靖国神社の初心者の方々 4.0前後
既に慣れ親しんでいる方 3.0前後
公開当時には傑作か駄作か凡作か、という議論もありました。
『傑・凡・駄』で言えば、決して駄作ではないと思います。しかし傑作と言ったら褒め過ぎでしょう。個人的な印象としては『凡作』の範疇に入るかと感じます。
5段階評価で表すと「3.0〜3.5前後」といった感じでしょうか。
政治家も含めて世間が大騒ぎするほどの作品では決してないと思います。結果的には、やはり“
釣り”で騒いでいただけだったのではないでしょうか?
靖国初心者の方、特に外国や地方に在住の東京にはあまり来る機会のない靖国初心者の方には、入門編的なフィルムとしてのお薦め度は高いかと思います。靖国神社に行った気分にはなれるかも。
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