「
理想は平和だが、歴史は残酷だ」とゆー訳で、
ブラッド・ピッド主演の戦車映画『
フューリー』を観た。
『カールズ&パンツァー 劇場版』を観て来た流れで、『ボーイズ&パンツァー』もとい『フューリー』を今更ですがチェックしました。
大戦末期 ドイツ本土における米軍の
M4シャーマン戦車“
フューリー号”とその乗員たちの物語。

素直に感動しまスた。
以下、ネタバレあり、注意。であります。
日本語吹き替え版には『
ガルパン』の
みぽりんの中の人もいたよ。解っているなぁ。

フューリー号の馴染の仲間のレッドが死んで新兵のノーマンが補充されて来る展開は、ガンヲタ的には『0080 ポケットの中の戦争』のサイクロプス隊で死んだアンディの替わりに補充されて来るバーニィと重なりました。
ノーマンの手相占いは本当に当ってたよ。

あの手相占いはナンパ術とかじゃなくてマジなのか? ノーマンの祖母は何者? ちょっと魔女っぽいのかも。
ノーマン新兵は『プライベート・ライアン』で言うとアパム伍長のポジションかと。アパム伍長とライアン二等兵を足して2で割ったようなキャラでした。
最初と最期の白馬の見せ方が印象的。何かの作品に対するオマージュっぽいよーな気も。
中盤のヤマ場、独軍の
タイガー戦車を撃破するシーンには、ドリフトこそしないものの
『ガルパン』TV版最終話を感じました。
モビルスーツに喩えて言うと(ガンヲタでスミマセン)、シャーマンM4A3E8型(イージーエイト)のフューリー号をジム・コマンド、その他のシャーマン戦車をジムに喩えると、タイガーT重戦車はゲルググとかジオング辺り? …いや、下手をするとビグザムかも。
こーゆー資金的にも実写化の難しい内容こそ日本ではアニメで映像化すべき所かとは思いますが、そこを敢えて実写で映像化できる所に、ハリウッドの桁違いな資金力を感じます。

てゆーか、タイガー戦車が
実車かヨ? すげーっ
タイガーT重戦車の“実車”についての公式系動画を貼って見た。
この機会に以下、ごく個人的な5段階評価&感想等を。
面白さ 3.5〜5.0
血生臭度 5.0
お薦め度
戦車スキーの方 5.0 以上
それ以外の方々 3.5〜5.0
よくできた戦争映画であるが故に、大変に血生臭い内容です。
戦車映画ではありますが、戦争映画としての刃物による殺し合いの描写もきちんと描かれております。
その意味では、面白さやお薦め度は人によってだいぶ異なるかと。
人によっては吐くかもね。 
大変に血生臭い内容なので、もしも子供が観るのなら保護者同伴とかが無難かと思います。
「首○ョンパげははーっ」とかってゲタゲタ笑いながらハンバーグとかミートボールとかのミンチ肉をガツガツもりもり喰えるような
無神経さや
非情さが無いと、こーゆー地獄では正気を保てないよーな気がする…。

プラピ演じるフューリー号の戦車長
ドン・コリアー軍曹が示す
SS(
ナチ武装親衛隊)に対する激しい憎悪や敵愾心の描写は、敵愾心のここまでの感情的な激しさは、これまでのハリウッド映画では個人的にはあまり見たことは無かったかも。
個人的には『
プライベート・ライアン』
(1998年 スピルバーグ監督)も未見の人なら併せて観るのをお薦めかも。
あと『ヒトラー 〜最期の12日間〜』も。
ドイツ語に堪能なコリアー軍曹はドイツ系米国民っぽい匂いを感じます。が、実際の所どうなのでしょうか。
(そんな訳で近いうちに旧作の方の『フューリー』も一応チェックして見るつもり)
ただ漠然とドイツやドイツ軍が嫌いな訳ではなくて、
ナチや
SSや
ヒトラーに対する激しい憎しみが強調されております。
狂信的なナチやヒトラーが敵なのであって、必ずしもドイツそのものやドイツの全てが敵な訳ではない、というメッセージが含まれているようにも感じます。
SSが地元のドイツ住民への見せしめとして子供をも含む幾人かの戦争忌避者のドイツ人を絞め殺して街中に吊るし上げている場面を見せることによって、ドイツ国民もまたナチズムやSSやヒトラーの被害者,犠牲者であることを目に見える形で観客に見せているのだと思います。
それは今の時代に則して言えば、
イスラム原理主義やその一部の
狂信的なテロリストやその指導者たちこそが敵なのであって、必ずしもイスラムそのものや
イスラムの全てが敵ではない、というメッセージや配慮があるようにも感じました。
個人的にはそれらのメッセージや配慮には大いに賛同いたします。
子供を含むドイツ兵たちの降伏を受け入れるその一方で、子供を殺してその死体を見せしめに吊るし上げたSS幹部を独断に基づいて裁判無しに撃ち殺すシーンには、正直な所を言うと
超法規的な合理性を感じてしまいました。
(銀英伝で言うと、ロイエンタールがトリューニヒトを撃ち殺すのと同様のカタルシスでもあります。)
しかし実際にそのような行為を為すには、自らの身にも何らかの報いが伴ないそうで恐ろしいです。
公式系の予告編動画を見つけたので貼って見た。
第二次世界大戦は今の現役世代にとっては約2世代前の昔のことではありますが、今の時代でもこのような地獄は世界の何処かで続いており、油断をしているとこのような地獄が世界中に広まる危険はいつでもあると思います。
安保法の通ってしまったこれからの時代の日本人にとっては、自分や自分の身内がどのような死に方,殺され方,葬られ方をするのか?についての有り得る事例
(ドーザー葬,キャタピラ葬,生前火葬,見せしめ葬,等々)が多々紹介されている映画でもあると思います。
今までの戦後日本人は別として、これからの時代の日本人にとっては、この映画に描かれている地獄は決して他人事とは言い切れないのでしょう。
このような地獄を将来において回避する為には、自分たちの今の日常生活の中で何を心掛ければ良いのか、慎重に考えて行動すべき時ではないか?とも感じてしまいました。
それを何故かと問われれば、この映画風に答えるのなら「
理想は平和だが、歴史は残酷だ」から、だと思います。
大変に血生臭い映画ではありますが、戦車映画としても戦争映画としても個人的には超お薦め。
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