映画『
ファイナル・カウントダウン』
(1980年,S55 米)が8月13日深夜(8/14未明)にテレ東でOAされていたので、超久し振りにチェックしました。
この機会にごく個人的な感想&5段階評価を少々。
1980年
(昭和55年)当時の米国海軍
原子力空母ニミッツが、ハワイ沖で1941年
(昭和16年)の帝国海軍による
真珠湾奇襲攻撃の直前にタイムスリップする内容のSF映画でした。
「時をかける空母」てゆーか「時をかける少女 原子力空母編」てゆーか、そんな感じ? ♪ 時をかける空母 空に輝く霧 過去も未来もハワイの波も越え♪
あの当時の、SFやジュブナイルの臭いの濃ゆい作品だと思います。
主役メカはその当時の
米国海軍戦闘機F-14トムキャット。
この映画におけるニミッツとトムキャットとの関係は、後の『超時空要塞マクロス』における『マクロス』と『パルキリー』の関係に相当するかと。
当時のマンガで言うと『エリア88』に出て来るような米国海軍機が実写でうじゃうじゃ登場するので、そのスジの方々には胸の熱い画面かと思います。
この映画の最大のヤマ場は、終盤の帝国海軍による真珠湾への奇襲攻撃ではなく、中盤での
ゼロ戦とトムキャットとの空中戦(ドッグファイト)であります。
この中盤のヤマ場があっさりと過ぎ去ってしまうのは、物足りなくて残念な所でもあります。
歴史への介入に躊躇するブリッジは、トムキャットへのゼロ戦撃墜命令の発令に迷います。
その間のゼロ戦の注意を引き付ける
可変翼戦闘機F-14トムキャットのアクロバットが、華麗で優雅で美しいのであります。常夏のハワイの海を背景にしたロケーションも最高であります。
この映画での最大の華と言えるでしょう。
歴史介入への躊躇よりも人命救助を優先したブリッジは、ゼロ戦に対して遂に撃墜命令を下します。
バルカン砲は兎も角として、たかがゼロ戦相手に空対空ミサイルは「大人げねーよなー」とかって思ってしまいまスた。木端微塵の“ビンゴ”でしたよ。^^;
超音速ジェット戦闘機のクセに低空低速のプロペラ機と同じ土俵でドッグファイトができるのは、やはり
可変翼戦闘機の強みなのでしょうか?
F-15イーグル戦闘機も武骨でカッコいいのですが、あーゆー器用な芸当は、トムキャットの方が得意なのかも?とも素人的には思えてしまいました。

公開当時のチラシがまだうちに残っていたのでUPして見た。
F-14トムキャット戦闘機のドッグファイトについては、後の
トム・クルーズ主演の映画『
トップガン』
(1985年,S60)の方がより多く描かれておりますが、
ロケーションの美しさやF-14トムキャットの飛翔の優雅さなら、この『ファイナル・カウントダウン』の方が優っているようにも思えます。
『トップガン』でのF-14トムキャット戦闘機のドッグファイトの描写は、超音速ジェット戦闘機本来の超高空を超音速で駆っ飛ばす武骨な描写であり、『ファイナル・カウントダウン』で描かれているF-14の優雅さはあまり感じられませんでした。
また、ロケーションについても『トップガン』でのアメリカ本土内陸部の岩山などよりも、『ファイナル・カウントダウン』での常夏のハワイの海の方が美しいと思います。

ただし、F-14トムキャット戦闘機の活躍がもっと見たい御仁には、『トップガン』はお薦めかと。
ついでにゆーと『マクロス』の最初の劇場版『超時空要塞マクロス 〜愛・おぼえていますか〜』(1984年,S59年)も、ヲタ的にはお薦め。
常夏のハワイの海は何処か浮世離れのした楽園のような風情でもあります。このようなのどかな島に、水平線の遥か彼方から戦を持ち込む無粋な国があっただなんて、全く信じられません。・・・・・あっ、ニッポンか。(・・;)

本当に軍国主義者どもは、帝国を滅ぼすほどに無粋な奴輩だと思います。
この映画における
敵メカはゼロ戦なので、ゼロ戦についても一言。
世に多い「ゼロ戦が良い」という声には、個人的にはあまり共感できません。
水平線の遥か彼方で見ず知らずの外人をどんなに大勢殺せても、
B-29爆撃機が止められなければ、本土の上空が守れなければ、タダの“役立たず”よりもタチの悪い“
災厄招き”でしかありません。

国民の頭上を守ってくれる
防空戦闘機なら頼もしくも思えます

が、他国の復讐を徒に招いて来るような
侵略戦闘機なら、寧ろ存在しない方が良いでしょう。
今日でも自衛隊が
スーダンで損耗すれば
尖閣が守れるかの如き妄言が、一部の勢力によって盛んに喧伝されているようですが、
帝国海軍を遠い外洋で損耗させても、結局の所は本土の上空が守れなかった先の大戦と同じ過ちを繰り返す恐れがあるのではないでしょうか。
「
いざ、尖閣」という時に「
防衛力は遠い外地で損耗し切りました」などという愚かな事態だけは、断じて避けるべきと考えます。
「いざ、ソ連」という時に「主兵力は遠い南方で損耗し切りました」という帝国陸軍の悪しき前例も実際にあるだけに、余計にそう思えてしまいます。

・・・・・などということを観る者にも考えさせる意図が、8月15日直前のOAという日付には込められていたのではないか?と推測するのは、深読みしすぎ?

映画の中では、艦の士官たちが原子力空母による歴史への介入,帝国海軍による真珠湾奇襲攻撃への介入,の是非について、喧喧諤諤の議論を重ねます。
しかし約2時間弱の映画の尺では、原子力空母ニミッツは歴史を引っ繰り返すほどの活躍は出来ません。
残念ながらそこがこの映画の最大のウィークポイントかと思います。
物語的にももっと歴史に介入させるのであれば、映画の尺よりは寧ろ、TVの帯ドラマの枠が必要になるかと思います。
そしてこの映画以上に現代の艦船に歴史介入をさせようと試みた物語が『
ジパング』なのだと思います。
この辺りの展開に『ファイナル・カウントダウン』では物足りなさを感じた人には、『ジパング』での脳内補正が良いのかも?
最後にごく個人的な5段階評価を。
面白さ 3.5前後 犬がカワユい
お薦め度
軍ヲタ,歴ヲタ,SF好きな方々 4.0前後
それ以外の一般の方々 3.0前後
その方面に興味のある方々には今でも充分にお薦め。
特に、今はもう退役したF-14トムキャット戦闘機のありし日の姿が、本当に美しいのであります。
個人的には現役のF-18スーパーホーネット戦闘機よりも、遥かに優雅で美しいと思います。
何故にタイムスリップしたのか?については「謎が謎を呼んでそのまま終わる」っ感じ?
そこはあの当時の
ジュブナイルのお約束でございます。「大自然って、人間にとってはまだまだ謎が深いよね」ってゆーメッセージ?
最後にキャストについても一言だけ。
艦長と民間人オブザーバーの2人のキャスティングに何となくデジャブを感じました。
よくよく考えて見ると、『
ウォール街』
(1987年,S62)や『
ウォール・ストリート』
(2011年,H23)での
ゴードン・ゲッコーと
バド・フォックスであります。同一人物かと思ったら、それぞれ親子であります。
カーク・ダグラスとマイケル・ダグラス、マーティン・シーンとチャーリー・シーンの親子は、顔つきや雰囲気が同じ年齢の頃だと物凄くよく似てるっス。遺伝子ってスゲえ。
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