『
立華高校マーチングバンドへようこそ 後編』も『前編』に続き、発売日に買って読んで見た。
時系列としては主に、主人公である
佐々木梓の1年次の夏休みからその年の全国大会まで。
(あくまでも“主に”)
今回の『後編』は『
響け!ユーフォニアム』シリーズ本編で言うと、主に2冊目と3冊目の時期にあたります。
特に今回のこの『後編』は、内容的には
本編の3冊目との“対”を為しているようにも感じました。
この『響け!ユーフォニアム』シリーズは巻を重ねるごとに面白さや完成度が増しているようにも感じます。
シリーズを通しで全て読んでいる方には多分超お薦めかと。
この機会になるべくネタバレにならない範囲でごく個人的な感想を少々。
(

でもやや
ネタバレあり、注意かも。

)
梓は周囲から「努力の鬼」とも呼ばれますが、本人は嬉しくて楽しくて努力しているのだから、必ずしも“鬼”という訳ではないと思います。(^^)
“鬼”というのなら、本編のあすか先輩の方がはるかに「努力の鬼」だと思います。
どんな分野であれ、気力の充実していない人や体力の足りない人,心構えのまだ出来てない人が、作中の梓と同じような努力をするのは危険だと思います。普通は健康を害すると思います。
作中でも梓自身が、気力の空回りしている時期に熱を出して倒れております。
そんな梓と対等な友達であろうとするのなら、梓と同等の努力をしていないと梓と同じ高みには辿り着けないのかも。
スロースターターな
太一は梓の努力を追いかけて初めて梓と対等な位置に来れたのだろうし、
あみかは梓と対等な友達でいたいから泣きながらでも毎日努力を積み重ねて来たのではないか?とも思えました。
梓のようなタイプと対等な友達でいることは、なかなか大変なことなのかも。
本編における北宇治の部員たちのあすか先輩に対する態度のように、「あすかは特別」,「あすか先輩は特別」と一線を引いて割り切ってしまう方が楽なのだと思います。
その意味では、もし本編に続編があるとしたら、
柊木さんは北宇治高校の吹奏楽部に入るような予感もしたりして?
だとしたら夏紀先輩と状況がちょっと似てるかも? 性格は高坂さんタイプかも。
梓の努力は実を結び、新たな展望をもたぐり寄せます。梓の努力は報われるのです。
本編3冊目で明かされた
あすか先輩の積み重ねて来た努力との、“対”を為しているのだと思います。
以下、ネタバレあり、注意!
伸び伸びと努力の出来た梓よりも、辛い状況を耐え忍んで努力を積み重ねて来たあすか先輩の方が、はるかに凄まじい努力だったのではないでしょうか。
梓の努力が凄ければ凄いほど、それ以上の努力を重ねて来たあすか先輩の強靭さが際立ちます。
梓とは違ってあすか先輩には、頼りになる先輩も打ち解けられる仲間も殆どいなかったのだと思います(“敵”のような先輩なら沢山いたよーですが)。
解ってくれるのはせいぜい
香織先輩くらいだったのではないでしょうか。
梓とあすか先輩は似たような家庭環境ではありますが、梓は親にも恵まれていると言えるでしょう。遺伝や血筋ではあすか先輩の方が音楽の才能はありそうですが、実際に音楽の道で展望の開けるのは梓の方であります。
母子家庭は教育業界用語で言う所の“欠損家庭”ではありますが、梓の家にはそんな業界用語など全く関係ありません。親や家庭にも恵まれた梓は、本当に幸せ者なのだと思います。
梓本人の努力はもちろん本当に素晴らしいのですが、家庭運にも恵まれていた点があすか先輩とは決定的に違っていたのではないでしょうか。
そこを履き違えて己の努力に奢っていると、思わぬ転落も一般にはありそうですが、梓ならそこは大丈夫なのかと。
副部長の人の言葉は常に正論であります。報われぬ努力に終わった者(例えばあすか先輩)は努力をしなかったのと同義ということにもなるのでしょう。正論は時に凶器でもあります。この副部長の人には、いずれ己の正論で己を滅ぼすことにもなりそうな危うさも、大人的には感じてしまいました。
そんな副部長の人が「キッツイのぉ〜、キッツイのぉ〜、キッツイのぉ〜、」と思っていたら、やっぱり東京モンか!? 作中の東京モン達は、空気読めなくて地雷踏む人とか、解っていながら地雷を棒でつつく人とか、言葉使いや感情表現がストレート過ぎて怖いっス〜。^^;
空気が読めないままに柊木さんという地雷原に突進して行くあみかは、実は凄い人なのかも。
おせっかいな梓が苦手と言わんばかりに表情に出てしまう
高坂さんと、そこには気付かずに高坂さんの心の壁の内側に無自覚な強引さで踏み込んで行く梓の鈍感さ
(でも余計なことには勘がいい) には笑えました。
おせっかい過ぎる梓が
久美子の傍からいなくなったからこそ、高坂さんは久美子の友達になれたのかも?
梓の鈍感さやおせっかいさには高坂さんも根負けなようでもあります。梓のそういう所に柊木さんがブチ切れたのも、解る話かも。^^;
帰りの電車の中で梓が見かけた受験生って、何となく本編の
葵ちゃんのような気もしたりして…。
気のせえかも知れないけど。
・・・最後に一つだけ。
心の内側の泥を吐き出す梓を受け止めてくれた
未来先輩は、頼りになる先輩であります。
未来先輩がイケメンで超カッコいいのであります。それでいて茶目っ気にも溢れていて、超激萌えっス〜。
当ブログ内の関連記事
160817 立華高校マーチングバンドへようこそ前編 読んだ
170115 響け!ユーフォニアム 吹奏楽部日誌 読んだ
160525 響け!ユーフォニアム3 読んだ
160520 響け!ユーフォニアム2 読んだ
160604 響け!ユーフォニアム短編集 読んだ
161230 響け!ユーフォニアム2 観終えた
180822 響け!ユーフォニアム 届けたいメロディ 観た
160609 響け!ユーフォニアム1冊目 読んだ
160515 響け!ユーフォニアムTV版 観た
180727 劇場版 響け!ユーフォニアム 観た
160629 ハルチカ原作5冊 読んだ
160530 ハルチカ 観た

0