吉屋信子の『
花物語』読んだ。
大正時代の初版だそうですが、昭和14年の版(実業之日本社,上中下巻)は全編が
中原淳一の挿絵だったそうです。
米澤さんの『少女マンガ批評』の最初の方にもタイトルが出て来るし、学生時代の副教材にも作者の名前は載ってるしで、機会があったので読んで見た。
おいらの読んだのは1985年版の上中下3巻(国書刊行会)で、中原淳一の挿絵入りでした。


主に当時の女学校を舞台とした一話完結の少女小説の短編集。女学校以外のお話も少し含まれております。
各タイトルにはそれぞれ花の名が冠されております。物語の舞台もその花にちなんで全国各地に及ぶようであります。
『マリみて』で言うと必ずしも『いばらの森』って感じのお話ばかりではないようです。『紅薔薇白薔薇』とゆー話と『黄薔薇』とゆー話もあったよ。『黄薔薇』は『花物語』の中では割とオモシロ系の短編でした。
時代的には終盤あたりから関東大震災の影響も窺えるようにも思えます。
登場人物の死亡率が何気に高いのは、当時の衛生状態が今よりも悪いからなのか?或いは当時のセンチメンタリズムな少女趣味の傾向だったからなのか?はおいらには今一つ判りませんが、個人的には多分その両方だったのではないか?とは感じました。
今の少女マンガやヲタク文化には必ずしも直結している訳ではないと思いますが、間接的には今でも大いに影響を与え続けているようにも感じます。
そんな訳で今のヲタ的なお薦め度としても決して低くはないと考えます。
歴ヲタ,大正好き,本好きな人にとっては今でも充分にお薦めかと。今のヲタ的にももし縁や機会のある人になら多分超お薦めかと思います。
個別の各編に全く触れないのもアレですが、52とか54の全ての短編に触れるのは字数的にも気力的にも無理なので、特に個人的に印象に残った1編だけ。(^^ゞ
『寒牡丹』
大正時代から見て更に少し昔のお話として書かれた短編。『花物語』の中では割とオモシロ系のお話かと。
公爵家のご令嬢の則子さまと経済的に困窮し没落しつつある子爵家のご令嬢の初音さまとの友情の物語?
則子さま、いい人過ぎ。(^^)
某海軍中将の令嬢の何子の君(語り部に名前を思い出してもらえない登場人物)はかつての忠義に何気に篤いのであります。おもしろキャラな上に名前を思い出してもらえない所が個人的には好感度高いです。(^^)
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