イギリスの映画『
アメイジング・グレイス』が今GyaO!で期間限定無料配信されているのでチェックした。
フランス革命の前後から
ナポレオン戦争の頃を時代背景として、英帝国領内での
奴隷解放が『アメイジング・グレイス』の曲の成立した経緯とともに描かれている熱い映画でした。

この機会に映画『アメイジング・グレイス』のごく個人的な5段階評価&感想等を少々UP。
面白さ 4.5
お薦め度 4.5 歴ヲタの人には特にお薦め
ウィリアム・ピットならナポレオン戦争の頃に
対仏大同盟を何度か成立させた英国の首相として世界史の教科書にも名前があったけど、この映画の主人公でもある
ウィリアム・ウィルバーフォースについては何も知りませんでした。
フランスでは国王や貴族が革命されている頃ですが、貴族が黒人奴隷の解放に取り組もうとしていた英国では、フランスのような激しい革命の必要は無かったのかも。
てゆーか、その100年以上も前に『名誉革命』を英国では既に達成してるしな。ナポレオンがいくら市民革命や民主主義の皮を被った所で、英国から見れば所詮は“出来の悪いクロムウェル”でしかないのかも?
若くして首相に就いたウィリアム・ピットは友人のウィリアム・ウィルバーフォースを登用しますが、英帝国内での奴隷解放を見ることも、ナポレオン戦争での対仏勝利を見ることもなく、早くに世を去ります。
米国の南北戦争当時のリンカーンによる奴隷解放宣言よりも、50年ほど先駆けている勘定にもなります。個人的には英国史の意外な事実でもありました。…知らなかった。
当時はまだ英国から独立したばかりの米国では、建前上は
共和制ではありますが、奴隷解放宣言前の当時は実際にはまだ
奴隷制が併存しております。

しかしそれでは奴隷を所有する特定一部の平民層が“貴族化”してしまうので、そんな“共和制”は本物の共和制とは決して言えません。“エセ共和制”とも言えるでしょう。
世襲の王家・王族がいないだけで、いずれは“奴隷を所有する金持ち平民”らによる“貴族政治”にも陥りかねないからです。
対して英国は王制・貴族制の封建社会ではありますが、自ら進んで奴隷制の廃止に取り組みます。
奴隷制の有る共和制と、
奴隷制の無い封建社会と、一体どちらが人道に適っているのでしょうか?

また、自らは奴隷の解放に取り組む一方でフランス国内の市民革命には干渉する英国と、市民革命の精神を侵略戦争で“輸出”するフランス帝国とでは、一体どちらが民主的,革命的,人道的なのでしょうか?
ヲタ的にはまるで“銀英伝の問い”のようです。個人的には、もはや制度の問題などではなくて、それぞれの制度を運用する各々の人格の問題な気もします。
この辺りの所は、近代史の1つの肝だと思います。
この映画はその辺りの所にも手が届いているようにも思えるので、歴ヲタの人にはお薦めなのではないか?とも感じます。
映画の中では「お前 太ってるやんけ!」ってツッコミたくなる場面もあるのですが、ツッコんだら心が平民なのかも? …おいらはツッコんでしまいまスた。(^^ゞ
相手が自分に向かって真剣に心を開いてくれている時には、どんなに可笑しくてもツッコミたくても、英国貴族なら,ジェントルマンなら、笑ってもツッコんでもいけないのかも?
多分それが貴族たる者が持つべき優しさなのかと。貴族は貴族で苦労があるのぉ、と思ってしまいまスた。^^; (おいらには無理っス。「フランシス・ベーコン語れても、台無しやんけ!」ってツッコんでしまいまスた。)
あの執事は切れ者だけど天然。いい人過ぎてメイドを泣かすウィルバーフォースとは、デコボココンビって感じ?
いかにもヤな奴そーな王族(てゆーか公爵)も登場します。でもラストは割りとカッコいいかも。 “
ノブレス・オブリージュ”
映画の中では、敵役の貴族や議員たちを必ずしもそれほどの悪役には描かないのは、英国のお国柄なのでしょうか?
画面と言うか映像は必要以上に綺麗に感じました。

他の英国映画でも感じたことですが、英国の映画ってハリウッド映画のような画面の派手さは無い代わりに、映像の綺麗な作品が多いような気がします。


『アメイジング・グレイス』と言えば、おいらの世代的には、亡くなった歌手の本田美奈子さんの歌声を思い出します。
この映画の中ではキャストたちが『アメイジング・グレイス』を歌うシーンが何度かあるのですが、個人的には『アメイジング・グレイス』は
本田美奈子さんの歌声の方が美しいと思います。



本田美奈子さんの歌声をデフォルトで記憶しているので、映画の中の英国人キャスト達の歌声は(素人のおいらよりは絶対に上手いけど)それほど上手いとは思えませんでした。
スミマセン。スミマセン。スミマセン。(^^ゞ
後日、公式系(?)の予告編動画を見つけたので貼ってみた。
日本版の予告編動画は、本田美奈子さんの歌声だよ。(^^)
この映画に描かれている内容は、あくまでも外国の昔話の出来事ではあります。

しかし
外国人労働者の大量受け入れという形で
移民受け入れ政策を始めてしまう今の日本にとっては、必ずしも他人事とは言えないでしょう。


今度の外国人労働者受け入れ政策は、メディアによっては“今日の奴隷制度”との報道すらもあるようです。
この映画で指摘されている人道的な問題は、一歩間違えれば、日本にとってはまさに今とこれからの問題でもあります。





こんな不吉な予感は勿論ハズれる方が良いのですが、日本社会で“これから起こるリアルな問題”として捉えるべき映画か? とも感じます。
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