『
機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』を年末大晦日のABEMAでの配信で観た。

また、1月2日のTOKYO MXでの地上波OAも一応併せてチェックしました。

個人的には初見。意外に良い出来栄えでした。
この機会に『機動戦士ガンダムNT』(以下、『
NT』)のごく個人的な感想&5段階評価を少々UP。
内容的には『
ガンダムUC(ユニコーン)』(以下、『
UC』)の残り火のような物語なのかと。少し話の小さい短編、と言う感じであります。
『UC』が面白かった人になら充分にお薦めかと。個人的には『UC』よりも面白く感じた。
『UC』以外では『
1st』,『
Ζ(ゼータ)』,『
ΖΖ(ダブルゼータ)』,『
逆シャア』の辺りのガンダム作品を押えれば、それ以外のガンダム作品の内容を押えていなくても、『NT』を観る分には殆ど問題は無いと思います。
クワトロ・バジーナ大尉(要するにシォア・アズナブル)のダカール演説の場面(ΖTV版37話)もあるので、『Ζ』に関しては映画版の『ΖV』ではなくTV版の33話目以降でのチェックをお薦め。
また、アクシズに現れたサイコガンダムMk-Uとフォウ・ムラサメの関係性も踏襲されている(ΖTV版48話)ので、『Ζ』に関しては劇場版の『ΖV』ではなく、やはり同じくTV版の33話目以降でのチェックをお薦め。
1991年
(平成3年)の『
ガンダムF91』の公開以来、宇宙世紀0093年の『逆シャア』
(1988年,昭和63年公開)と宇宙世紀0123年の『F91』との宇宙世紀の30年の間では、
サイコミュ関連の技術に
ロストテクノロジーが多いようにも感じられます。
『逆シャア』後の『UC』や『NT』に至っては、サイコミュがSF過ぎて、もはや心霊アニメかと!? モビルスーツで“幻魔大戦”って感じ? ^^;
その辺りのオーバーテクノロジーな所を、脚本家は本気で『F91』や『
Vガンダム』に向けて、“
宇宙世紀”の歴史の辻褄を合わせて来ているようにも感じます。
辻褄を合わせるという意味では、シャアのクローン人間を仕立て上げようとする描写には、後の『ガイア・ギア』が感じられるし、
解明不能なテクノロジーを封印しようとミネバが志す場面には、後の『ターンAガンダム』における“黒歴史”の萌芽が感じられます。
物語的には、
遠藤明範氏の『
フォウ・ストーリー』を踏襲している所にも、大いに好感が持てました。
『UC』が1人の姫君と3人の御曹子の物語であったのに対して、この『NT』は姫でも御曹子でもない3人の子供たちの物語であります。
『フォウ・ストーリー』のフォウ・ムラサメと同じく、1人の女の子が男の子と女の子を1人ずつ友達に持っている物語です。そして『フォウ・ストーリー』に比べれば、未だ少しだけ救いの残っている物語でもあります。
フェネクスが宇宙を駆けているうちは、サイコミュが悪用される技術は進まずに済むのでしょう。
人によっては好みの分かれる所かとは思いますが、脚本家には“ガンダム”に対する誠意を(少なくとも個人的には)感じられました。
ISの“ヤマト”に対する傲慢さとは、全く別次元のものであると感じます。
『機動戦士ガンダムNT』に登場する最低,最悪,最下等,最下劣な悪人・悪者は、連邦側のファシスト・
ティターンズの奴輩どもでしょう。
自らの私利私欲や欲得のためには子供や若者達を戦争で利用し抜き、そのためには子供への人体実験をも厭わず、用が済めば子供の命を何人でも使い捨てにする全体主義者とその手先どもの薄ら汚い大人達でしょう。
全く同じことが、ゾルタン・アッカネンを強化人間に仕立て上げたネオ・ジオン側のファシストどもにも言えるかと思います。
『Ζ』映画版では、ティターンズが“暴力としての巨悪”であることは描けておりましたが、よりタチの悪いティターンズの“人道に対する陰湿な邪悪さ,極悪さ”が『Ζ』TV版ほどには描けていなかったようにも思えます。
子供を戦争に利用し抜く全体主義者・軍国主義者たるティターンズどものゲスキモさが、この『NT』においても改めて糾弾されている所は大いに評価されるべきだと考えます。『劇場版Ζガンダム』でのその辺りの不足分が、この『NT』では実に良くフォローされていると思います。
そして実際の今の政治への監視を油断して怠っていると「我々もいつその黙認者,共犯者になってしまうか知れたものではない」という厳しい現実を、“ガンダム” という作品は、観る側の我々にいつも突き付けているのだと思います。
SFという形式で近未来の架空の物語の商業エンタメ作品には仕上げてはおりますが、もしかしたら現代の我々世代に投げかけられた現実の暗喩なのかも知れません。
そして現代の現実の我々世代は、作中の
ジオン共和国におけるナントカ大臣のような小物で小悪党な薄ら汚ない政治屋どもを、実際には何人も何人も何人も見落とし見過ごし見逃しているのではないか?という不安にも駆られます。
そこに気が付いてしまうと、“ガンダム”という作品には、底知れぬ毒や怖さ,恐ろしさが感じられるかと思います。
その意味では、この『NT』も“ガンダム”として『当世への批判』や『近未来への警鐘』という、SFとしての使命が充分に果たせている作品かと思えます。


最後にごく個人的な5段階評価を少々。
面白さ 4.0 前後
お薦め度
ガンヲタの方々 5.0 以上
非ガンヲタの方 3.5 前後
ガンダム初心者 3.0 前後
この出来栄えなら、劇場へ観に行っても良かったかも・・・。
アムロ派のおいらは、
アムロ・レイのいない『UC』に寂しさを感じるガンヲタだったので、『UC』の続編たる『NT』には個人的にあまり期待が持てませんでした。
そんな訳で、公開当時は「たいしたコトはないだろう」と予想してしまい、観に行かなかったです・・・。失敗したヨ。orz
公開前のチラシが残っていたのでUP。
(『リズと青い鳥』を観に行った時に貰って来た。)

チラシは貰って来たけど、結局 観には行きませんでした。
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