英国のTVドラマで
デヴィッド・スーシェ版『
名探偵ポワロ』の第64話『
オリエント急行の殺人』が今GyaO!で期間限定の無料配信中なので、この機会に観た。

折角なのでごく個人的な感想を備忘録的にUP。
以下、ネタバレあり、注意!!
原作を同じくする1974年の映画版『
オリエント急行殺人事件』と比べると、この洋ドラ版は非常にシリアスな切り口&重い展開です。
その分だけ映画版よりも娯楽性に乏しいようにも感じます。
宗教観が絡んで説教臭くなってる感じ?
単発,単品の商業娯楽映画では有り得ない,興行としては採算の成り立たない演出だと思います。



連続モノの長編TVドラマシリーズだからこそ可能な切り口だったのだろうと思えます。渋いです。
このTVドラマ版は大多数の視聴者が既に原作版や1974年の映画版を予めチェックしているのであろう事を前提として物語が作られているようにも感じました。
原作版や映画版に比べると、非常にシリアスで硬い脚本にしてあると感じます。

ゲスブタ野郎の惨めな死をオモシロ可笑しく滑稽に描いてこその商業娯楽映画ではあります。
この物語は世のゲスブタ野郎どもにとっては、シロートのカタギ衆がゲスブタ野郎には一族団結して牙を剥く、恐ろしい内容でもあると思います。
復讐を成功させる完全犯罪に軽快なカタルシスや爽やかな大団円が
アガサ・クリスティの原作版をも含めてこの『オリエント急行殺人事件』の物語にはあるようにも思えます。
しかし現実にはそれで本当に良いのでしょうか?人の道を踏み外してはいないでしょうか?
人が人を裁くと言うことは、実は大変に重大なことでもある筈です。
「時間をかけて本を読む」,「カネを払って映画を観に行く」と言うその行為は能動的な行為です。あくまでも本の中、劇場の中。

その限定的な数の行為者たちは能動的な分だけ、娯楽は娯楽,フィクションはフィクション、と割り切れるかと思います。
対して「テレビをつけっぱなしにしておく」という行為は先の2つの行為よりも受動的な行為にも思えます。

「よってたかって人を殺して爽やかなハッピーエンド」と言う内容を国中の全ての人にTVの電波で垂れ流しても果たしてそれで本当に良いものでしょうか?
そんな英国らしい紳士的な配慮を、この洋ドラ版の脚本には感じました。
そうは言っても、では国法を逃れ得た殺人鬼なら野放しにしておいても良いのでしょうか?
ポワロの怒りと逡巡が最後のシーンまで描かれているように感じます。TVドラマにこそ相応しい脚本にも感じました。
その意味でも原作版や映画版にある軽快なカタルシスを意識した批判的な切り口の脚本にもなっていると思います。
ガンダム的に判り易く説明すると、「人が人に罰を与えるなどと!?」 「エゴだよ、それは!!」(byアムロin逆シャア)ってゆー感じ? …ガンヲタでスミマセン
『オリエント急行殺人事件』の原作版や映画版の好きな人なら、見比べてみるのもお薦め、かも。

映画版や原作版とは対照的な演出になっていると思います。
個人的には原作版も映画版もドラマ版もそれぞれ好み。それぞれの良さがあると思います。
今度のリメーク版映画にもちょっと興味あるけど、お財布の都合もあるので個人的には評判待ち。(^^ゞ
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