シルバーリハビリ体操が始まって約10年が経ち、那珂市でも約8年間継続して体操の普及に努めてきました。今後の体操教室を楽しく、有意義な体操教室にし、その効果を定量的に把握するために、平成26年2月に市内体操教室に参加の皆様にシルバーリハビリ体操に関するアンケート調査を実施しました。アンケートでは参加者の皆様の参加の状況、体操教室に関する感想や要望、体操をやってどのような効果があったかを具体的に伺いました。その結果を報告します。
1.調査方法
主に一級指導士と研修委員で分担して、各教室にアンケート用紙(Wordファイル添付)を持参して、休憩時間に趣旨を説明してその場で記載して頂きました。参加者の皆様は非常に協力的でした。基本的には各教室1回のみとしました。
2.調査結果
調査結果のまとめを添付します(pdfファイル)。市内体操教室26ヶ所に参加の321名(男26,、女295)の皆様からアンケートの回答を受け取ることができました。
2.1 参加者の状況
「性別」、「年齢」、「体操継続期間」、「参加回数」、「教室時間」、「教室への移動手段」、「自宅でやっているか?」、「他の運動などやっているか?」、「シルバーリハビリ体操についてどこで知ったか?」についてお聞きしました。
参加者は60代から90代まで幅広く、70代の参加者が最も多く、教室時間は1時間、参加回数は月2回が最も多かったです。半分以上の方が自宅でもシルバーリハビリ体操をやっておられ、週1、2回のやっておられる方が多かったです。
2.2 体操教室について
「満足していますか?」、「適当な体操時間は?」「指導士の説明はわかるか?」、「教室に参加して楽しいですか?」、「知らなかった情報が得られたか?」、「今後も続けたいか?」についてお聞きしました。
ほとんどの方が体操教室に満足して、楽しいと感じておられました。指導士の説明もよく分かり、色々話が聞けて楽しいという意見が大半でした。少数意見ですが、無駄話が多いと感じる指導士もいるようで、今後は指導士も参加者の様子を見ながら喋る余裕が必要と感じました。
2.3 体操の効果
体操を続けたことでどのような変化を感じておれるかお聞きしました。
(1)からだの変化、(2)気持ちの変化、(3)日常生活の変化に関して、これまで教室で参加者から聞いてきた効果の具体例を記載して、各項目について「効果あり」「少し効果あり」「変化なし」を選択してもらい継続年数別、項目別に集計しました。継続年数別の評価では、「変化あり」を1点、「少し変化あり」を0.5点、「変化なし」を0点として合計し、全て「変化あり」で100点(100%)として計算しました。
シルバーリハビリ体操に参加して最初の一年程度はからだや気持ちの変化を感じやすかったようですが、これは新しいことに挑戦して新鮮な気持ちもあったためと思いますが、日常生活ではまだ感じ方が少なかったと思います。
2年目ではからだや気持ちの変化を1年目ほど大きな変化を感じていなかったようですが、体操に慣れてきたためか停滞期で感じ方が鈍感になったと思いますが、日常生活では1年目よりやや変化を感じたようです。
2〜3年で全体的に変化を大きく感じているようで、これは実際に効果を実感してきたものと推測します。この結果から全体的にあきらかな体操の効果がでるのは3年ぐらい継続することが望ましいと思います。
3年目以降は、以前ほどあまり変化を感じにくく、4年目以降でも変化を感じにくい傾向がありますが、人による差がさらに大きくなっています。逆に言えば3年目以降ではそれまでに十分効果が現れて現状維持ができているということで、これも体操の効果と言えると思います。
なお、日常生活の面での変化は体操の期間が長いほど変化を実感しているのはうなずけると思います。
しかし、基本的にこのようなアンケートは人によって感じ方が異なり難しいですが、データ数が多くなると、全体が平均化されそれなりの結果が出てきたものと思っています。今回の調査でも100人程度の段階で予備分析をしましたが、微妙に異なるもののほぼ同じ傾向がでました。しかし、アンケート対象者の人柄や考え方で体操の効果に対する感じ方が異なり回答に大きな影響があり(今回の調査でも全て変化あり、又は変化なしと回答した方も何人かおられました)、これらが偏ると多少違う結果にもなる可能性もあると思います。
次に、(1)からだの変化、(2)気持ちの変化、(3)日常生活の変化に関して、継続年数に関係なく、各項目について集計しました。
体の変化では、1位が「肩が軽くなった」、2位が「体力がついてきた」であり、誰もが感じやすく妥当と思います。痛みの改善などはもともと痛みがなく変化を感じないと回答した方も多かったと思います。「体が柔らかくなった」は7位と少ないですが、以前体操の前後で体力測定した場合には一番効果が出ていたので、本人には感じにくいが多分効果は大きかったと思います。
気持ちの変化では、1位が「楽しいと感じるようになった」、2位が「元気が出てきた」であり、誰もが感じやすく妥当と思います。
日常生活の変化では、1位が「自分の体に関心をもつようになった」がダントツの1位で、このことは今後の健康維持にもっとも必要なことだと思います。日常生活の変化では、参加者にはもともとできていた項目も多く、変化なしと回答した方も多かったと思います。また、「家族との会話が弾むようになった」が最下位なのは、一人暮らし参加者も多いためと思われます。
2.4 ご意見、ご感想
70人以上の多く方に、貴重なご意見、ご感想を記載して頂きました。その抜粋を紹介します。
(1)シルバーリハビリ体操について
@ハードな運動はついていけないのでちょうどいい(60代後半女性、1年5ヶ月)、
A時間がある時、一人でも運動できるのが良い(60代後半女性、2年)、自分のペースでできる(60代前女性、3年)
指導士の講習会で最初にシルバーリハビリ体操についての説明でも言われていることで、参加者は身をもって実感されていると感じました。
(2)体操教室について
@体操の日が楽しみです(70代前半女性、10ヶ月、他数名)、
A皆と会って楽しい(80代後半女性、1年)
色々話が聞けて楽しいし、新たな情報が得られてよかったとの意見が多かったです。この結果におごらず、まだまだ指導士間のレベルの差は大きいので、勉強会などにより指導士全員の指導能力を一層高めていきたいと思います。
少数意見ですが、無駄話が多い指導士もいるという意見もありました。今後、指導士は色々な体操や健康に関する情報を入手(那珂市では勉強会で時々紹介している)すると共に、教室では参加者の様子を見ながら参加者に興味のある話しの内容を変えるという余裕が必要と感じました。
(3)体操の影響、効果について
@姿勢を心がけるようになった(60代後半女性、10ヶ月)、
A自分の体に関心をもつようになり、日常生活の中で体に気をつけて行動するようになった(60代後半女性、10ヶ月)、
B腰痛をほとんど感じなくなった(60代後半女性、2年)、
Cころばなくなり、長く立って何かができるようになった(80代前半女性、3年11ヶ月)、
D50肩の腕が上がるようになった(70代前半女性、4年)、
Eいままで知らなかった友人ができた(70代後半女性、2年)、
F話し合いができるようになった(70代前半女性、5年)
50名以上の方の貴重な感想を頂きました。その方の年齢や継続年数、体力などに依存すると思いますが、腰痛や50肩が体操開始何年目ぐらいで効果がでてくるなどの参考になると思います。
以上、参加者の皆様のご協力により貴重なデータが得られたので、次回勉強会で指導士に紹介して、指導士のモチベーションをさらに高め、那珂市の指導士会の指導をさらによくしていきたいと強く感じました。
また、行政などにもこの結果を説明して体操の効果を定量的に理解して頂き、シルバーリハビリ体操を一層支援、普及に協力して頂くようになればいいと思います。
文責 三田敏男
apgp.docx
naka_2014.3.pdf

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