Polydor Japan London POCL-3826/7 2CD 1995
ヨハン・シュトラウス2世の「こうもり」である。収録は、1971年である。嘗てビクターでVHDで発売されていた事を知る人は懐かしいCDだ!これはテレビ映画のサントラ盤である。欧州は、文化水準が高い事から、この様な映像作品が目白押しである。我が国では、芸術でさえも事業仕分けの対象になる。それなら一層鎖国でもなさい!と思ってしまう!だが伝統芸能迄含まれるのは、誠に遺憾である。日本の役人や政府機関が芸術に疎いのは、今に始まった事では無いが、残念な事である。「あんな大衆が解からないものに予算は要らない!」とはっきり言う地方議員も居る程だ!実に嘆かわしい!それは文化に対する屈辱である。演歌みたいな貧乏たらしいものに現を貫かすな!と言いたい!伝統文化さえ理解出来ない者に意見を述べる資格は無い!それは文化水準の低さを暴露するに過ぎない!愚かなものだ!さて演奏だが、テレビ映画の演出は、オットー・シェンクだが、ここでは音だけなので演出の感想は御勘弁願いたい!序曲から巨匠の演奏は重心が低く風格を感じるが、もうその時点からオペレッタとは無縁の演奏である。これはグランドオペラと言っても差し支え在るまい!歌手に異質な者は居ない!なんの抵抗も無く耳に入ってくる。歌手を紹介すれば、アイゼンシュタインは、エバーハルト・ヴェヒターだ!ここでは甘い声を聴かせる。ロザリンデは、グンドゥラ・ヤノヴィッツである。ここでは風格のあるソプラノを聴かせる。レネーテ・ホルムのアデーレも良い!ファルケ博士は、ハインツ・ホレチェクだ!特に抵抗も無く聴ける。フランクは、エーリッヒ・クンツである。ここでも達者だ!冒頭のヴァルデマール・クレメントのアルフレートも上手いものである。異色は、あのヘンデンテノールのヴォルフガング・ウイントガッセンがオルロフスキー公爵であるのが楽しい!映像では、サルバトール・ダリを意識したメークだった!後は、イーダのシルヴィア・ラカンとプリント弁護士のエーリッヒ・クッヒャーである。ここで取りわけ見事なのが、グンドゥラ・ヤノヴィッツだろう!舞踏会では、ハンガリーの貴婦人として現れるが、ここで歌われるチャルダッシュの力強い堂々たる歌唱は素晴らしい!巨匠も意外と情熱的で渾然一体となっている。ここまで見事なチャルダッシュは、そう聴けまい!劇中演奏される電光と電雷も凄い迫力である。これは、肩を張らずに聴いていると、思わず身を乗り出す箇所がある。意外な演奏だ!勿論、楽団は、ウィーンフィルである。

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