Polydor Japan 20MG0588 (DG.2543 183) LP
これは全集からの分売で、没後企画のベーム2000と言うシリーズだが、
25番の交響曲は、映画「アマデウス」でテーマ曲として使われたのは御馴染みの事だ!あれも「のだめカンタービレ」の様にクラシック音楽を普及させるのに大いに役立った!只でさえシェアの少ないジャンルだけに見直される事は良い事だと思う!只、伝える側が間違ってはならぬのは話が幾らふざけていても肝心の音楽をふざけてはいけない!ここが実は肝心である。と言うのも解からない人は、ふざけて紹介された音楽でも知識が無い為に間違った認識のまま受け取ってしまう危険性を常に孕んでいるからだ!例えば調性をギャグにして変ロ長調を変な長調と言ってしまう様な他愛の無い事であるが本質はギャグである。音楽はふざけては成らない!これはモーツアルトの演奏にも当て嵌まる。歌手の歌い崩しもモーツアルトでは御法度である。これは巨匠も言っている事だが、ここだけは、どうしても動かせないテンポの箇所は、どんな曲でも在り、そこを崩すと曲が成り立たなく成ってしまうと証言している。つまり節度だが、これは何に対しても言える事だ!最近、世の中が上手く行かないのは「節度」の破壊ではないかと思う!巨匠の音楽は、正に節度が構成に関与しているのは明白である。これもそんな演奏だ!厳しい迄に均整の取れた演奏だ!25番から聴いてみるが、第1楽章は、弦の刻みの丁重に扱う事で他の楽器との和声の関係を明らかにしている。つまり曲の構成を示している訳で、これ程理の適った解釈は無いだろうと思う!テンポも遅めだが不自然さは無い!第2楽章である。これは作曲者が、17歳の曲である事も忘れさせる程深い演奏だ!小ト短調と言われるのも理解出来る後期に通じる共通性を音で示しているのが興味深い!それは第3楽章の厳格さにも表われている。そして集大成が終楽章と言う事である。厳格なる節度が作品の真価を明らかにしたと言っても良いだろう!次に26番であるが、これはイタリア風のシンフォニアである。作品としては25番より先に出来た曲である。ケッヘルのミスであろう!第1楽章は、多感な時期のモーツアルトらしく時に無邪気だが力強い低弦部によって曲に豊かさを与えている。第2楽章も優美だが有機的で厚い!終楽章もそのまま進む。終始厚い響きで通す巨匠は立派である。27番は幾らか鮮やかな印象を受ける。重厚なのは変わり無いが音が弾んでいる。第2楽章である。素朴で抒情的だ!木管を聴いていると後年のセレナードやディベルティメントを感じさせる程優雅である。そして終楽章は品良く終わるが、揺ぎ無い構築された音楽造りをする巨匠に感服する。収録は、1968年2月から3月始め迄行われた。

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