Polydor Japan MG 2176 LP
これこそウィーンフィルでやって欲しかったと思う、シューベルトの交響曲全集からの分売である。発売当時は、8番だった未完成交響曲から聴いてみよう!充実した低弦部が印象的な導入部である。一聴して構成が万全なのが解かる位、剛直な響きが聴かれるがスケール感も在り、モノラル期にDeccaに残したウイーンフィルの演奏とは断然密度が違う!時折、闘争的な響きが聴こえるが、それはベルリンフィルの特質だろう!ここでも内部に燃える炎は健在である。重量級の響きが全体を支配するので圧倒感もある。そのままの雰囲気を引き摺りながら第2楽章に突入するが、ここでは、第1ヴァイオリンの高貴な音色が素晴らしい!だが足取りは重い!オーボエの寂しい表情も曲想を生かしている。全体に直向きな演奏だ!さて次は、5番だが、8番の深刻な表情が嘘の様な気楽な始まり方だ!とても能天気である。だがイザと言う時は巨匠の目が光る演奏と言える。ここでは提示部の繰り返しは楽譜通りである。極めて古典的だが骨格はしっかりしている。第2楽章もそんな感じだが、情感が在り、品性の高い音楽が流れる。一見、単純そうだが懐は深い!第3楽章である。メヌエットと在るが、厳しい演奏だ!ここでも低弦部が物を言っている。だが暗い中にも優しさが在る。終楽章である。曲想のせいも在るが、軽く始まる。響きは適度に明るい!だが、どんどん凄くなる。怒涛の中と言う程では無いが、内部に秘めた情熱が噴出さんばかりになり、曲は終わる。収録は、1966年である。

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