DGG 413 733-2 1981 CD
晩年特有の演奏だが、まだ矍鑠とした処を聴かせるのは嘗てバイロイトやウィーンで取上げた作品が列挙されている事も其の要因だろう!最初に「さまよえるオランダ人」序曲が在るが、ウィーン・フィルの好演も在り、スケール豊かな演奏を聴かせてくれる。確かにバイロイト盤と比べて鋭さとか追い込みに足りない点も在ろうが、荒れ狂う海も時に色々な表情を見せて色彩感は、こちらの方が在る位である。振りながら昔日の想いを募らせている様にも聴こえ、ファンには感動ものだろう!ウィーン・フィルの同曲録音では名演のひとつでも在る。続く「ローエングリン」のふたつの前奏曲は、巨匠の基盤に楽団が乗った様な演奏だ!第1幕の前奏曲は、精妙な音色で浄化した響きが特色で美しく、既に巨匠の境地に変化が在る様に思える。天に向かって音楽を奏でているとも思え、繊細な表現に感動してしまう!第3幕前奏曲も最後の意気込みを見せた様な演奏である。最後に「トリスタンとイゾルデ」から第1幕前奏曲と愛の死が在るが、虚無の中から始まる様な神経の細かさが在り、全てを音楽に託している演奏である。前奏曲は経過が極めて繊細で、纏わり付く様な音色が美しいが、続く愛の死は、正に絶頂迄感じさせる。先に出た第1集よりは、こちらの演奏集の方が出来が良い様だ!

0