Polydor Japan 92MG 0752/5 4LP 1984
3枚目である。曲は、3月25日のJ・シュトラウスのプログラムが組まれた日だが、当日の演奏会では、最初にモーツァルトのジュピター交響曲が演奏されている。巨匠のJ・シュトラウスは独DGGと録音した公式のレコードが在るが、その評価は、イマイチなので結局未だに聴いていない!そこでこれが、その代わりになるレコードとなったのだが、聴いていると凛とした演奏で意外と好感が持てた。一言に言えば、純音楽的な表現で、ウィーンフィルを振っていながら表現自体は、決してウィーン風では無い!とは言いながら聴かれる音色は、やはりウィーンフィルである。曲への接し方も交響曲でも振っている様な感じなので、とてもシンフォニックである。だから「南国の薔薇」の序奏部も、とても壮大である。次のワルツ部分も気品が高く天上の音楽の様だ!勿論、ウィーンフィルの美音も生きている。「アンネンポルカ」も同様だ!優美な演奏には違いないが、巨匠は、自身の音楽を奏でているだけである。規律の正しい即物的な表現である。「皇帝円舞曲」も題名通り貴族的な演奏である。しかし「常動曲」は、寧ろ楽団の自発性を活かしている様だ!結びの巨匠の言葉も今と成っては御愛嬌だろう!だからと言って「ピツィカート・ポルカ」は、何の遊びが無いのも巨匠らしい!この日のプログラムは、「こうもり」序曲で閉めたが、この演奏も質実剛健で構成重視である。だけど意外と窮屈な感じがしないのは、実演ならではと言う気がする。沸き立つ音楽への情熱は、終止部で昇華するかの様だ!アンコールは、「トリッチ・トラッチ・ポルカ」だったが、これは、ウィーンフィルの独壇場で言う事も無い!巨匠や楽員の笑顔が浮かぶ様である。尚、このレコードには、「美しき青きドナウ」も収録されているが、これは別の日の演奏で、3月17日のアンコールである。実は、このレコード購入時に一番感心した演奏である。勿論、ウィーン風では無いが、正調で、巨匠が、キッパリとやっているのが流石だと思う!其れ程、純度が高く完成されている。襟を正して聴くべき演奏である。そして最後は、3月22日のアンコールで演奏されたR・ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が収録されているが、気字壮大で在りながらも熱狂的で聴いていると胸が高鳴る名演である。これで巨匠とウィーンフィルの伝説の1975年来日公演の記事も終えるが、聴き返してみて如何に巨匠の存在が大きかったかが充分に伺い知る事が出来て良かった!

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