Polydor Japan MG1199(2531 098)
新世界と言えば大阪が浮かぶが嘗ては新天地としてアメリカが世界の憧れの地であった。それは当時の作曲家にとっても同様だったようで、それを題材とした作品も多々在る。此処で紹介するレコードはドヴォルザークの新世界交響曲である。現在は9番としている曲だが嘗ては5番と呼ばれた。さて巨匠もこの交響曲を録音している。しかしながら独境系作曲家の作品を得意としているので正直印象も薄かろう!私もこのレコードを始めて購入した当時は「ドヴォルザークねぇ〜?」と不思議に思ったものである。後から解かった事だが、演奏会ではそれなりに取り上げているようだ!1951年のベルリンフィル演奏会の音源からレコード化された物も過去に存在していた。それは大変な熱演だったらしいが残念ながら未だに入手していない!尚、このレコードの収録年は1978年である。楽団もウィーンフィルと在って美感を備えた品の良い演奏である。映像も残っているのでビクターで発売されたVHD等で御覧になった御方も居るかも知れない!その点ではとても懐かしい演奏である。針を下ろすと冒頭からピンと張り詰めた緊張感が在る。しかし窮屈になる程では無い!随所にウィーンフィルの美音が光る。ウィンナホルンがいい例だ!程好い推進力で曲が進むが要所の壷は、ちゃんと抑えてある。だから迫力不足も無く理想的なバランスで鳴り響く極めて老巧な演奏と言うべきであろう!だから第2楽章の家路は曲想の中に風景が浮かぶ!聴いているとチェコフィルを振った晩年のターリヒのレコードを思い出すが、巨匠のこの演奏も程好く肩の力が抜けていて聴いているとホッとする。第3楽章の品の良い色彩感も良い!此処では録音が優秀な事が、とてもプラスになっている。確かに推進力は薄れているが造型がしっかりしているので安定感が在る。勿論演奏の壷はしっかり抑え揺らぐ事は無い!注目の終楽章も序奏から堂々と始まるが重圧と言う程でも無くバランスはしっかり保たれている。知性的な構成力が素晴らしく、此処でも過度と言う事が無い!改めて聴き返してみたが、この曲のスタンダードな面を表したレコードと言えると思う!

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