DG Japan SMG-9019 3LP 1967
ハイドンのオラトリオである。曲は、四季だ!巨匠のレコーディングで残念なのが、宗教音楽やオラトリオが少ない事だ!1960年代にバッハのマタイ受難曲を振ってる巨匠で在りながらである。中には映像で残っているものも在るが、実際のレコーディングに反映されてないのは残念である。その中に於いて、この様な大作が在るのは言わば奇跡と言って良い!調べると1965年のウィーン芸術週間の初日に取り上げたのが、このレコーディングの発端らしい!つまり、その時の反響が反映されてる訳である。音感に敏感で男性的に逞しい無駄の無い、ダイナミクスな当時の指揮振りは、この様な大作には、打ってつけである。これは2年後の1967年4月23日から6月3日の間にウィーンの楽友協会大ホールで行われた。プロデューサーにハンス・ヒッシュ博士、ディレクターは、ヴォルフガング・ローゼ、録音は、カラヤンで御馴染みのギュンター・ヘルマンスである。ここでは、ウィーン交響楽団が演奏している。それと楽友協会合唱団とある。ソプラノのグンドラ・ヤノヴィッツはハンネ、テノールのペータ・シュライヤーはルーカス、そして、バスのマルティ・タルヴェラはシモンである。チェンバロは、クルト・ラップが弾いている。さて演奏だが、序奏は冬から春への移り変わりを表しているが、冬の嵐の描写が只者じゃなく激しく、引き締まった響きが一層厳しさを物語る。そして春を向かえシモンとルーカスが喜びの声を上げると村人の合唱が始まる。淡々とした表現ながら喜びを謳歌している。若者達の神への合唱も素晴らしい!タルヴェラの声も風格が在り立派だ!続く夏は夜明けの描写が何とも重たく始まるが、朝を告げる鶏の描写が面白い!羊飼いの角笛はホルンが模倣してるが、のどかな光景が浮かんでくる。ヤノヴィッツも中々良い!日が昇ると合唱が入るが壮大である。そしてどんどん暑くなる様をシュライヤーが歌っている。ここでは細かい擬音描写をオケから聞き取れる。夏の気だるさを在る時はのどかに、蒸し暑くなると音型が世話しなく動く、そして雷雨がやってくる。雷は、ティンパニーの一撃から始まるが、ビックリする程である。合唱と共に凄い演奏効果である。さて秋である。ここでは収穫の喜びを表している。ホルンは豊かさを表し、木管の暖かさも自然に対する感謝で一杯である。狩人の合唱も勇猛果敢である。ここでのホルンも効果的である。そして「喜べ、酒だ!」と酒宴の合唱が高らかに歌われる。聴いていると一緒に呑みたい位である。正にバッカスの狂乱である。冬の描写は、深い霧に覆われた様な序奏で始まる。これが、ハイドンならではの寒さの表現とも取れる。聴いていると寂しい気分になる。作曲家が晩年に近い作品なので、そうなったとも言われる。小生の住む土地は北国なので聴いていると実感が湧いてくる。冬は嫌だ!特に雪の降る地方は大変だ!そんな事を考えながら全曲を聴き終えたが、これは充実した演奏である。周りの評価は判らないが、私個人では同曲のベスト演奏である。

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