Polydor Japan 20MG 0400(2543 148) LP
たまにマーラーでも聴いてみようかと言う時には、どうしても交響曲に食指が伸びるので歌曲を余り聴く事が無いが、これは巨匠が指揮したと言う事で珍しいレコードだ!実際のレパートリーもこれ位じゃなかろうかと思うが?それは実演でも同様だ!さて、このレコードは、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウと共演したものだが、ディースカウと巨匠の結びつきも古く、キャリアの始めから在る。どう言う経緯で収録に至ったかは不明だが、少なからず結びつきが在った事も起因して実現したのかも知れない!楽団は、ベルリンフィルである。インテリ同士とも言える組合せなので気になる処だが、巨匠自身、マーラーに接する要因もディースカウとの出会いが関係しているのかとも思う!「亡き子をしのぶ歌」から聴いてみたが流石にディースカウには十八番とみえて表現が細かい!巨匠の指揮も意外に堂に入っていて風格の在る伴奏と言う感じがする。それは「いま太陽は明るく昇る」を聴くと、そんな感じだ!歌手に引っ張られた印象も無い訳では無いが、ディースカウの歌唱を何等邪魔する処が無いのは、歌劇場経験の長い巨匠ならでは共言える。「いま私には分かるのだ」では独特のうねりが在る。スコアから見出だした巨匠なりのマーラーと言えるだろう!「おまえのお母さんが」でも素朴ながら時に厚い響きで歌手を充分にサポートしている。ひなびたホルンの響きも良い!「よく私は考える」でも、そんな感じだ!そして終曲の「こんなひどい嵐の日には」では冒頭のシンフォニックな表現が巨匠らしい!ディースカウの劇的な歌唱も、その表現に合っていて巨匠は奥が深いなあ〜と感心する。この演奏に、もう少し踏み込んだ処を望むのは欲と言うものだろう!次は「リュケルトの詩による歌曲」である。基本的には余り変わらぬ表現だが曲のせいか、もう少し巨匠の指揮に雄弁さが在っても良いのではと思う!「真夜中に」は、素朴なだけでは無く鋭さが欲しい!だが終りは壮大に締め括る。「僕は快い香りを吸い込んだ」では曲が精密なので巨匠には得意なのか微妙な音色のバランスが絶妙である。「私の歌を覗き見しないで下さいね」では、愛情と拒否(嫌よ嫌よは...)を表しているが、もう少し茶目っ気が欲しい!「アレッ!終わっちゃったの?」て位、素っ気無かった。終曲の「私は世の中から姿を消した」は、伴奏は綺麗だが表現が単調だ!もう少し込み上げるものが在ってもいいのにと思い、物足りなかった。

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