Nippon Grammophon MG 9410 LP(見本盤)
巨匠のレコードに「カール・ベーム・プロムナード・コンサート」なるものが、嘗て国内盤で在った様だが、その中にカップリングの関係から何時も洩れていた録音が在った。その曲とは、R・シュトラウスの楽劇「ばらの騎士」第3幕のワルツなのだが、再三と再販されたものにも何故かカップリングが見送られて遂には、アナログ時代には国内盤では、復活しなかった。それは、楽団はベルリンフィルで、1963年4月8〜20日にベルリン・イエス・キリスト教会で収録された一連のR・シュトラウス管弦楽集の一曲なのだが、これは、現在に於いてもCDと言う形で国内盤は在るのだろうか?私が持っている其の演奏は、「2001年宇宙の旅」のサントラ盤に実はカップリングされていたので未聴では無いのだが、御馴染みのDGGレーベルでは拝見した事が無かった!それなら別に聴けたのなら良いでは?とこの文章を読んで思う方も居るだろうが、残念ながら其の音質は擦れ気味で音質も極端に悪くて「どうしてこうなった?」てな状態だった。それでマトモに聴けるものを探していたと言う事である。拘りとは、得てしてそう言うものである。そんな事も在り、R・シュトラウスの管弦楽集を以前に紹介したのだが、この曲だけ抜けていたと言う事である。さてこのレコードだが、調べてみるとDGGで、ウィーンフィルとの録音が始まる前のカタログには、確かに存在していた。それを見るとSKG−1052と言う番号で発売されている。まだモーツァルトの交響曲全集が進行中だった時代である。番号から推察するとどうやらEP盤みたいだ!つまり比較的カップリングから抜け易い曲だったみたいである。さて「プロムナード・コンサート」なるレコードに話題を戻すが、私の所有しているものは見本盤で実はレコード・ジャケットさえ無いのだが、音質も良く録音会場として使用したベルリン・イエス・キリスト教会の響きも素晴らしい!収録曲目を一応紹介するとR・シュトラウスの管弦楽集で、A面に「ティル・オイゲンシュピューゲルの愉快な悪戯」、そしてB面に「ばらの騎士」第3幕のワルツと「サロメ」から七つのヴェールの踊りが収録されている。もしかしたら当時は、2枚に管弦楽集が分かれて発売されていた事も在った様である。此処から演奏の感想だが、既に紹介している曲以外の「ばらの騎士」第3幕のワルツについて述べよう!単体の録音としては、戦前のザクセン・シュターツカペレとのSP盤以来だが、アクセントの強さに差が在るとは言え基本的には似た演奏である。つまり硬質でいきなり背後から刀で斬りつけた様な演奏だ!それと重戦車が脇目を逸らさず向かって来る趣がある。金管も隆々と響き渡り時に怒涛の騒乱みたいな音響で優美さとは正反対な印象を残す。求心性も強く、このワルツからは想像も出来ない尋常では無い緊張感が支配した異色の演奏だ!正に強烈の一言に尽きる。

0