2007/11/23

山麓温泉/十衛門氏  霊魂補完計画

以下はI.MAGiCレイアウトコンテスト2007参加作品のレビューです。作品は結果発表のページからダウンロード可能です。

レイアウトコンテストの受賞作というモノは、驚嘆の対象ではあっても、楽しいモノではなかったりする。コンテストである以上、やはりそれは“勝負”であるからして、ある種の緊迫感が漂っていて、凄いけれども楽しくはないのだ。

一方で、レイアウトコンテストには楽しい作品がある。一口に“楽しい”と言ってもいろんな意味があるが、“サプライズな楽しさ”が昨日取り上げた「SD・東京ぬりえ」にあるとすれば、理屈抜きに“これが好き!”という楽しさは本作にある。

余談だが、“思わずお茶を吹く楽しさ”は、明日取り上げる「WAMU-HACHI ADVENTURE」に尽きる。他の何についてレビュワー各位と意見が分かれようとも、この一点については皆が賛同するものと確信してやまない。

閑話休題。

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本作は、いわゆる定尺(1,800×900mm、畳一帖に相当)サイズの、リアル鉄道模型準拠の作りがなされた作品であり、同じ作者の昨年の作品のことを思い出すに、これが十衛門氏の作風(=敢えて実施工可能な設計でレイコンに勝負する)なのだろうということがわかる。

その戦略の是非はともかく、本作「山麓温泉」はリアル鉄道模型レイアウト設計としても、そしてVRMレイアウトとしても、極めて優れた作品であり、仮に「VRMレイアウトは鉄道模型レイアウト設計であるべし」というドグマが審査員にあったならば、間違いなく本作こそが大賞作品に選ばれたであろう、と断言したい。

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作中の白眉は、表題にもあらわれている「温泉」で、列車から覗き放題だったり、露天風呂へいくのに轢断のリスクを負ったりするのはともかく、見事な構成である。特に、上掲スクリーンショット左手の、煙突や温泉タンクなどの小物、さらには駅前から温泉宿までのアプローチが、限られた面積の中で見事にドラマを作っているのが素晴らしい。これぞ箱庭の醍醐味、見ていて思わず頬が緩む。

そして、強調しておきたいのは、本作は、リアル鉄道模型レイアウトの定石に準拠しつつも、VRMレイアウトとしての魅力を追及している点である。たとえば、以下に掲げるような作りこみは、ポジション的にリアル鉄道模型レイアウトではしても意味のない作りこみなのだ。

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「覗くな!」

いや、作者は覗いて欲しくてコレを作ったに違いないのである。そして、こういう作り込みこそが、VRMレイアウトならではのモノなのだ。

加えて、本作には大賞作のそれほど緻密ではないにせよ、あって然るべき踏み切りや信号のギミックが堅実なスクリプトで実装されており、十衛門氏のリアル/VRM双方の鉄道模型に精通した底知れぬポテンシャルに、空寒い感すら覚えるのだ。

もし、割り切って十衛門氏が“飛び道具”を使うことを決断されたならば、氏は間違いなく翌年のレイアウトコンテスト大賞候補の一人に数えられることだろう。逆に言えば、本作は、翌年のレイアウトコンテスト大賞を目指すものが、必ず乗り越えねばならない試金石である。そのように心得て、各自精進されたし。
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2007/11/23  23:26

投稿者:笑天
覗くな!
と言われても・・ズームインしたい気持ち抑えられない!
座布団 大進呈!

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