2007/2/13

ポータブル編成とTatsuo翁の知られざる関係  VRM4ポータブル編成
について書いてみます。
今VRM界で一番はやっていることといえば、ポータブル編成という造語があったりしますが、リソースを編集して、列車のヘッドマークを変えたり方向幕を作ったり、車輌番号を変えたりする、という楽しみ方ではないでしょうか。

Tatsuo氏は、ネットVRM界隈の中でもかなり特異な作風の御仁であられます。一言で言えば、氏は現実の鉄道を模することにはほとんど関心がなく、鉄道模型シミュレーターという3DCG表現ツールの可能性の極北を目指しておられます。

氏自身は、上引用部の次下において、“ポータブル編成”という試みに内包されるリアル指向と対比させながら「あり得ない編成や変なレイアウトを作って公開している人間が約1名」と、ご自身のスタンスについてやや卑下気味に語っておられます。が、ポータブル編成の唱導者であるボクに言わせれば、実はTatsuo氏がいなければ、ポータブル編成をボクが唱導することはなかったと思っておるワケで、そのことをちょっと書いておきたくなりました。


今回の氏の「あれこれ」には、キーワードとして“リアル”が頻出しています。ポータブル編成を筆頭に、m-4-gラインで交わされている[VRMサウンド議論]や、VRM4第5号収録車両への駄目出し等が“リアルさを求める”という切り口で括られています。で、実はその渦中にいるボク自身は(他のVRMユーザーがどうかはわかりません、と言うか、ボク以外の人はTatsuo氏のおっしゃるようにリアル指向だと思います)実はまったく異なる視点でこれらを捉えています。

ボクの最大の関心事は“VRMユーザー間の相互交流”であり、より具体的に表現するならば、VRMユーザーがお互いの成果物を与えたり受け取ったりする際の技術的な壁を壊すことです。

そもそも、なぜボクは“ポータブル編成ギミック一発組み込み”を開発したのか、その唱導に(作例の公開も含めて)なぜこれほどのコストを投入したのか、さらに、なぜコレを“ポータブル編成”と名づけたのか。実はこれの発端も、Tatsuo氏の「あれこれ」にあります。
VRM4の場合はその編成に伴ってスクリプトがあちらこちらに設定されていますので、今までのように編成を削除したり編成を入れ替えたりすると、このスクリプトがレイアウト上に残ってしまいビュワー起動時にエラーになってしまいます。(例えばセンサーが残るなど)

編成の削除や入れ替えに合わせてそれに関わっているスクリプトすべて修正できればよいのですが、実際問題としてはどこにどのようにスクリプトが組まれているかは第三者には判らないため、見る人がこれを修正するというのは非常に難しいことだと思います。

このため折角レイアウトが公開されても、持っていない車両がひとつでもあると、そのレイアウトをまったく見ることが出来ないということになるので誠に残念なことです。

2005年3月頃の「VRMへの想いあれこれ」より
愚かしいことに、出典の初出日を記録していなかったので、引用元表記がいい加減なものになっています。かつ、これは孫引きで、こちらの拙稿で引いたものを改めて引用したものです。

ボクの知る限り、Tatsuo氏は、ご自身でVRMスクリプトを駆使しつつ、VRMスクリプトのユーザー間交流における上記の弱点を指摘した、最初のVRMユーザーです。実のところ、本日までに至るボクのすべてのVRM4関連の活動は、この弱点をユーザー自身で克服できるか、という問題意識に端を発しています。

ポータブル編成はその最たるものであり、技術的な着想は、この仕組み誕生のもう一方の立役者である由羽氏との議論から得たものですが、これを“ポータブル”、すなわちパッケージ構成の異なった環境であっても(車両さえあれば)編成ファイルを持ち運んでいける=ポータブル、と呼ぶことにしたのは、Tatsuo氏のこの問題提起を受けてのことです。

つまり、VRM4においては、スクリプトを積極的に利用した場合、レイアウト製作者と同等あるいはそれ以上のパッケージ環境を持っていないと、ビュワーの起動すらできない、という問題があり、これがレイアウトファイル公開の(ひいては、ネットを介した成果物シェアの)大きな足枷になっています。この問題に対するカウンターとして、スクリプト機能をフル活用しつつ、使用パッケージ単品さえ一致すれば成果物をシェアできる実践例として提唱したのがポータブル編成、というワケです。

ポータブル編成が、結果的に“リアル指向”の急先鋒になったのは、その方がVRMユーザー諸兄の耳目を引くのに有効であったからに過ぎません。真の目的は、ネットVRMユーザーをして、技術的な問題に深入りすることなく、他のVRMユーザーと分かち合うことが可能な何かを作るフレームワーク(枠組み)を提供するところにあったワケです。

で、同じことがVRMサウンド議論や製品のエラーに関しても言えて、前者については、リアルな結果を追求し過ぎた結果、突出したスキルのあるユーザーにしか参加できないものになってしまわないようにすることがボクのかの議論への参加の目的であり、後者については、ボクが指摘する製品バグはすべてユーザー間相互交流を阻害する可能性があるものであって、考証上のエラーはすべて無視しています。

*     *     *

以上のことから申し上げたいことは以下の2点です。

第一に、Tatsuo氏の実践を伴った問題提起があってこその、現在のネットVRM界隈である、ということ。個々の作品が多くのVRMユーザーや一般のネット上の閲覧者に注目されるか否かは、これは好みの問題でもあり、また、見せ方の問題でもあります。好みの点では現実の鉄道を模した方が理解者は増えますし、見せ方の点では、閲覧者が限られるVRMレイアウトファイルよりも動画の方が圧倒的に有利です。

が、そのことは、Tatsuo氏の活動の本質的な価値とは独立した問題です。少なくとも、ボクはTatsuo氏から多くの触発を受けましたし、今も受けています。他のVRMユーザー諸兄にもそのことを知って欲しいと思うし、Tatsuo氏におかれては、卑下などなさることはない、と申し上げておきます。

第二に、VRM公式サイド(I.MAGiCおよびスーパーバイザー)に、この視点に関しての建設的なアクションが今日に至るまで皆無に思える(ボクがアホで気づかないだけなのかも知れませんが)のを残念に思っている、ということ。現時点では、とりあえずこれだけを言っておくことにします。
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