2007/6/10

月イチ図書館・一気読み  

『ミーナの行進』小川洋子 中央公論新社 
借りてきてすぐに一気に読んだ。そして主人公の朋子と従妹のミーナに嫉妬した。
それは朋子が1年間預けられた伯母の家が芦屋のお屋敷だからではなく、
伯父と従兄がやたら男前だからでもなく、
ミーナがカバのポチ子の背中に乗って通学していたからでもなく、
ミーナの文才にでもなく、朋子とミーナの淡い初恋話にでもない。
2人の女の子が大人になる直前の貴重な思い出を確かな記憶として留めていることにである。
掌に握り締めた小さな宝石の欠片のように。
手を開けばいつでもキラキラとした結晶を目にできることに。

ふつうの大人はこんなにうまくいかないもので。
昔の記憶なんざ、辛くって、悲しくって、恥ずかしくって、思い出したくもないもんだ。
リセットボタンがあれば人生最初からやり直し、もっと真っ当な人間になりたいと望む。
伯母が活字の誤植の中に、ローザばあさんが鏡台の化粧品に、米田さんが懸賞応募葉書に、
それぞれの宝石を求めたように。

図書館司書の言葉「何の本を読んだかは、どう生きたかの証明」に救われる。
本を読もう。映画を見よう。そのうち掌紋の隙間に塩化ナトリウムの結晶ぐらい現れるだろう。

もう一冊。こちらも一気読み。
『アンフェアな月』 秦兼日子 河出書房新社
前作に比べて随分と読みやすい。(前のは途中棄権しました)
ドラマ化後に書かれてるのでキャラクターがはっきりしているせいだろうか。
伝わっているつもりでも伝わっていないこと。母と娘の関係もまた同じ。
間に挟まれる黒地に白抜きのページが不気味。
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