2009/4/18

『黒百合』  

予約していた本が一斉に届く。1ヶ月で9冊か・・・。
読みきれるかどうか心配だったけれど、1日あれば1冊読めると分かった。
邪魔になるので読んだらさっさと返してしまおう。
貸し出しの順番を待っている人もいるようだし。

『黒百合』多島斗志之 東京創元社
1952年(昭和27年)、夏の六甲。
父の知人の別荘に誘われ東京から来た14歳の進。
その家の同い年の一彦ともすぐに仲良くなる。
2人が近くの池で遊んでいると「池の精」と名乗る少女が現れる。
彼らはその少女・香に恋をした。その複雑な生い立ちも知らずに。

戦中・戦後の混乱も落ち着きを取り戻し、ゆとりある生活を送る中流階級の人たち。
「デカダンス」の言葉がぴったりな、けだるい一夏の少年の思い出。
・・・最後の5ページまでは。
途中、昭和10年のベルリン、16〜20年の神戸のエピソードが挿入される。
登場人物は重なっているはず。けれど故意に名前が明かされず、
その人物がいったい誰を指しているのか読者を不安に陥れる。
条件の当てはまる、つまりミスリードを誘う人物も上手く配置。
そして戦争がいつまでも終らない悲劇を生むことも。
よくできたミステリー。タイトルが少女趣味なのが惜しい程。

それぞれの育ちが判る関西弁の使い分けもいい。
香の相づち「ふん」。ひらがなにすると、こうしか書きようがないけれど。
「ん」を鼻に抜けるような感じで「ふぅ」。いかにも若い女の子らしい。
当時の神戸や梅田の様子も詳しく調べられていて、目に浮かぶよう。
夏の六甲なんて下々の者には縁のない世界ですが、
名門・六甲山ホテルには一度行って見たいもんだ。
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タグ: 多島斗志之



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