森田監督の流れで、最後は
優作の話を書かねばなるまい。
村川透とのコンビの
<遊戯>シリーズ(日活ニューアクション
『最も危険な遊戯』、東映やくざ映画
『殺人遊戯』、フィルムノワール
『処刑遊戯』と3本ともタッチが違う。)、<大藪春彦>原作もの
『蘇る金狼』『野獣死すべし』で
アクションスターとして確固たる地位を築いていた
松田優作も、
演技に関して、それだけでは飽き足らず、当時、清順の
『陽炎座』に出たりして個性派俳優への道を模索していた。
で今日は、その時期、優作と<天才>森田芳光が出会った
『家族ゲーム』 のアートシアター。
ダヴィンチの
最後の晩餐を思わせる横一列に並んだ食卓の崩壊の後、
(初めてTV放送された時、2時間枠におさめるために尺数のカットを要求した日本TVに抗議し、監督はこの重要なシーンをバッサリ切った。)
優作はなぜか、来た時と同じように
船で去っていく。
優作の一連の作品には、
数多くの謎が存在する。
共通のキーワードは
<死>と<再生>。
『俺たちの勲章』のラスト、田舎に還っていく五十嵐(中村雅俊)とカットバックしながら、
なぜ、中野刑事は
笑いながら(あるいは泣いていた?)拳銃(鳴海昌平も使っていた44マグナム)を撃ってるのか?
『探偵物語』(もちろんTVね。)最終回(監督は、優作が映画で降板させた小池要之助)
工藤ちゃんは、
ナイフで刺されたにもかかわらず、雨の中、傘も棄ててどこに行こうとしているのか?(スーツの色が変わっている。)
(流れるは、宇崎竜童率いるダウンタウンブギウギバンドの名曲<身も心も>)
前記の大藪春彦の2本も、
原作では主人公が生き残るのに映画では唐突な死で終わる。
『ヨコハマBJブルース』(優作版
『ベニスに死す』)の
追悼のレクイエム。
自ら監督した
『ア・ホーマンス』での石橋凌の死と再生に流れる
<After´45>
(優作はアンドロイド?レプリカント?これも原作と全く違う。)
ジーパンの壮絶な死(マカロニは事件と関係なく、立ちションをしながら通り魔に刺された。これはこれでショーケンらしい。)を例にあげるまでもなく、優作のまわりでは、
常に
<死の影>がつきまとう。
そもそも、念願のハリウッド進出の
『ブラック・レイン』で、
手錠をかけられた優作が合掌しているのは、我々に送った何かのサインではないか?
船で去っていく優作に、
葬列を見たのは私の錯覚か?
兄と慕った原田芳雄(
『竜馬暗殺』の設定と全く同じ)が、年をとってもいつまでも
自然体の原田芳雄であるのに対し、
松田優作は、
あきらかに生き急いだ。
とゆうわけで、
石橋凌の記事から巡り巡って、見事にオチがつきました。
地獄めぐりか、死者(?)を弔う旅、みたいだったと自分が優作の享年(40歳)を過ぎて改めて思います。
お後がよろしいようで…(『の・ようなもの』風)
本作のオークションは終了しました。
森田芳光監督の
『39 [刑法第三十九条]』のパンフレットもあるよ。

0